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うたがわきしみの宇宙Ⅱ

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140文字では収まりきらなかった、うたがわきしみの世界観。コラムやエッセーやうわごとじゃない。あくまで、なにかしら、きしみの宇宙を匂わす作品になっているものたち。主に詩。ギャグ系…
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2019年6月の記事一覧

雨を飲む子供がいなくなった #自由律俳句

風がにやけた #自由律俳句

ささない傘 寄り添ってひとつ #自由律俳句

よごれた体だから よごれた人に抱かれ 安心しようとしてた もうよごれてないことには出来ないし よごれ過ぎたし よりよごれていく方が楽… なのにどうして こんなにみじめで こんなに虚しくて 震えてるんだろう 温かくありたい けれど太陽は眩しくて 壊したくなる 私の月はどこ?

『ガンジス川で3歳の頃考えていたこと』

インドの聖地バラナシを流れるガンジス川。 観る人が観たら、業を洗い、人の生死まで司る神秘の川。 しかしまた観る人が観れば糞と小便と死体が流れてくる病原菌の塊みたいな川。 日本人で入る人は少ないだろうが、インド人なら死ぬまでに1度はここで沐浴したいと願ってやまない聖なる川と言われ、実際、日々大勢の人々が沐浴に訪れている。 観るレンズが違うだけで世界の眺め方は180度変わり、それによって世界の受け取り方が変わり、生きてる日々の実感もそれぞれに異なってくるのは至極当然の道理であ

ずいぶんと苦い星だ #自由律俳句

もう溜め息じゃ追いつけない #自由律俳句

『白い会社』 とにかく何もかもが白かった。ビルの外装や内装はもちろん制服や備品に至るまで、オフィス内の一切合切が真っ白だった。余りに白すぎて壁と天井の境目や自席の位置すら見失いそうになる。業務は各々真っ白な席に着き、一切何もしないこと。つまり会社の存在意義までが真っ白なのだ。

『時代の中のひと』

時代の中の人を知りたくて 時代の扉をノックしたら 「呼んだ?」と出てきてくれた (この人が時代の中の人かあ…) 感心してしまって眺めていると 「あなたー? どなたかいらっしゃったの? もうご飯冷めちゃうから早く食べちゃってよ!」 と奥から声がした (え!? 時代って家族持ちだったんだ…) 更に驚いて言葉を失っていると 「オギャー…オギャー…!」という赤ちゃんの泣き声が扉の奥から響いてきた 「はいはい、今あげまちゅからねー…あなた! もう早くこっち来てちょうだいよ!」

『月を肴に』 もしも「月を肴に…」って 一等先に考えたのが君なら 今頃とっくに ボクの隣で寝ているべきだ だってそれはもう 詩の始まりだ 言葉が風に乗って 夜の帳をはらみ 明るい月がとろけて 杯に光が溢れだす 歌い酒が喉を潤し 星が落ちて 詩人は眠る 君よ ここにいたまえ

みんな地球に恋すりゃ済む話 #自由律俳句

繭から産まれたなんて言えない #自由律俳句 #シュール

引き揚げ、繰り出す 血の奔流 鼓動は一番小さな生死のリズム

さしみの気持ちなら知ってた そんな時のためのズワイガニ 唾液が出るまで待って もだえても秋 肉屋が集まりすぎ 傘の裏でだって光れる雫は 自殺も他殺もひとごろし 雨は空を裏切れない 子供には透明な雲の話をしてほしい 競争社会が競争してる会社で白目 #自由律俳句