『100万回目の溜息』
幼い頃「百万回溜息をつくと魂が抜かれちまうよ」と祖母が言った。そんな祖母は87歳で、今もぴんぴんしている。明るく強い人だから、あまり溜息をつかないのかもしれない。
迷信なのはわかっていたけれど、まだ幼かった僕にはそれがなぜだかとても恐ろしく、よせばいいのに、その日からついてしまった溜息をかかさずカウントするようになってしまった。
不思議なもので、気にすればするほど溜息の数はどんどん増え、その増えた溜息にまた落ち込み、更に溜息をつくという悪夢のような悪循環に陥った。その結果