如何にして天才は凡才に殺されたのか 第2話 (全3話)

月も霞むネオンライトに照らされた常夢の街、煙草の煙に真実を隠し、アルコールが夢と現実の境をうやむやにする。黒い蝶を思わせる派手な女と、下品な声で光へと誘う男達。猥雑な喧騒を撒き散らす者達は、自分を酔わす毒の正体に気付かぬままに、高価なアルコールを煽り、小さな自尊心を充たす。

東央都 音苑町 一番街。

この世の極楽と呼ばれる地の獄。

一歩足を踏み入れたが最後、頭の先まで沼の底に沈む街。この街で夜を過ごした人間は口を揃えてこう言う。「あれは夢だったのかもしれない」と。

もしくは、この街すらも私の、、、。

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