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伊達巻宗

おせち料理に入っている品々、それぞれ意味や願いが込められています。例えば、黒豆はマメに働く。きんとんは黄金色なので金運。海老は腰が曲がる程の長寿。数の子は子宝。
巻物を模した伊達巻は学業向上。ということで自分流伊達巻を作った記録。

材料

卵 3
長芋 適量
豆腐 半丁
蜂蜜 大匙 1
醤油 小匙 1
塩 一つまみ

料理をする人の中には、この材料を見て、?と思われるかもしれません。
通常、伊達巻とははんぺん等、魚のすり身を用いる料理。しかし今回は敢えて外しています。何故なら、スーパー等で売っているはんぺんにはph調整剤等の添加物が入っているケースがあり、出来るだけ添加物フリーを目指しているので、信用出来る店から買った豆腐と山から取れた自然薯を使用。


写真がブレブレ

豆腐をキッチンペーパーで包み、重しを乗せて水切り。10分位。その間に皮を剥いた長芋をすり下ろす。
そんなことをしていると妄想が始まる。
伊達と言えば、政宗だろ。と思っていたら、どうやら本当に伊達政宗が考案したという説があります。
仙台名物の笹かまぼこも政宗が考案したとの説あり。ずんだ餅も政宗が考案。といった具合に伊達政宗は食に対するこだわりが強く、自分で料理したり配膳したりということもあったとか。
江戸時代、政宗は厠に籠って長々と書き物をするのが日課。それが書き終わると、家臣に紙を渡すのですが、何が書かれていたかというと晩飯の献立。
そろそろ10分か。

ミキサーに卵3,すり下ろした山芋、豆腐、調味料を分量入れて、滑らかになるまで攪拌。

伊達政宗と言って、多くの人は独眼竜と呼ばれた仙台藩初代を思い浮かべると思いますが、実は伊達政宗という人物は日本史上、複数人存在。
奥州の大名、伊達家は代々、足利将軍家から名前を一字もらって名乗りとするのが通例。政宗の父、輝宗は足利義輝から、祖父の晴宗は足利義晴からという具合。
ところが輝宗の嫡男、梵天丸が成人する頃は織田信長が天下人に近い存在。今更、衰微した足利将軍でもなしという判断から、数代遡った先祖に、伊達家中興の祖と呼ばれる大膳太夫政宗という傑物がいたので、その名を襲名させることに。こうして梵天丸は伊達藤次郎政宗へ。
因みに大膳太夫政宗の子孫に当たるのが、お笑いのサンドイッチマンの伊達みきおと聞いています。


油を曳いたフライパンに生地を流し入れる。

派手な格好や行動を取る人のことを伊達者と言うことがありますが、これも政宗が起源。
彼が着ていた黒く、三日月の前立てが付いた甲冑はダースベイダーのモデルになったそうです。その上に着ていた陣羽織は水玉模様という派手さ。
朝鮮出兵時、伊達家の煌びやかな軍装は沿道の人々の目を奪ったとか。
秀吉の小田原征伐に遅参した時には、死を覚悟したことを示すために白装束で磔柱を持参。


アルミ箔で蓋、更に蓋。この状態で弱火で15分。

15分、たっぷり妄想。
今回、豆腐を使ったのにも理由あり。
政宗は若い頃から豆飯をよく食べていた。つまり茹でた大豆を入れた炊き込みご飯。又、仙台城下には御塩増蔵(ごえんそくら)と呼ばれる施設。これはいわば、官営の味噌工場。三年も熟成させる仙台味噌は大豆を多用、赤黒い。この味噌の真価が発揮されたのは朝鮮出兵時。
多くの大名が味噌を持参して渡海。しかし殆どの味噌が腐ってしまった中、仙台味噌のみは味と品質を保持。政宗は乞われるままに、この味噌を他の大名にも分けたそうです。
という風に政宗と大豆は切っても切れない関係。大豆由来の豆腐を使ってもよかろう。
政宗、実母の義姫に毒殺されかかったことがありますが、生き残れたのは食に対するこだわりから毒入りということを見抜いた?
15分は割と早い。

蓋を取ったら、こう。

後はひっくり返して、片面も5分位、焼けばいいのですが、ここでアクシデント。やわらかい故に崩れた。1/3と2/3位に分かれちゃった。取り合えず、何とかひっくり返して焼くこと5分。

2/3の方を巻きすに乗せてのの字に巻き込む。1/3の方はアルミ箔で同様に巻いた。

包丁で数か所、浅く切れ込みを入れると巻きやすい。

輪ゴムで留めて、巻き癖を付ける。

15分程、置いておくか。
伊達政宗があと10年早く生まれていれば、天下取りに名を連ねたかもしれないという人がいますが、私はそうは思いません。そのままの時代でもやろうと思えば、政宗は天下人に成れた。
理由は江戸に幕府が開かれたから。政宗の本拠地、仙台から江戸は十分に射程距離。それに彼の長女、五郎八姫(いろはひめ)は家康の六男、松平忠輝に嫁いでいましたが、忠輝は二代将軍秀忠に疎まれ、遠ざけられていました。娘婿を助けるということを大義名分に掲げることも可能。
家康の死後であれば、秀忠や家光では百戦錬磨の政宗を抑えきれるものではありません。そうして忠輝を将軍に就けて、自身は鎌倉幕府の執権、北条氏のようなポジションに就任して、実質的な天下人へ。
しかし、出来るけれど実行しなかったと思います。
徳川家の天下が定まり、多くの武士や民ももうこれ以上の戦乱は望んでいないことを悟ったのではないか。
それ故、自分が天下人になるという小欲を捨てて、世の平安という大欲に生きることを決意したのではないか。


伊達巻宗

見た目があまりよくないようですが、政宗公、
「朝夕の食事うまからずともほめて食うべし」という言葉を遺しています。
見た目や味がよろしくなくとも、感謝していただくべし。

食べてみると、これは一般的な伊達巻とは違う。
カステラのような食感がある伊達巻とは異なり、これはすごく滑らかな卵焼きといった風情。正にとろけるような食感。
これは伊達巻ではない。伊達巻宗という新たな料理誕生。
卵と豆腐で良質なタンパク質を摂取。
山芋に含まれる粘り成分は目や気管、腸等の表面を潤して正常な働きを促してくれます。
もう少し甘味を入れてもよかったかもしれません。今後の研究課題。
私はまだまだ政宗公には及ばないようです。
政宗公の遺徳を偲びつつ、伊達巻宗をご馳走さまでした。


以上が令和五年最初のお話。
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