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ばあちゃん

私はばあちゃんっ子。私と54歳差のばあちゃんは、20年以上前にすでに亡くなっている。 

ばあちゃんは、54歳のときに、産まれてすぐの私を預かって育てたらしい。
いつも「よく寝るおとなしい子やったよーあんまり泣きもせんし」って言ってた。2~3歳になったら、ずっと座って絵を描いてる子だったらしい。大人しすぎてあまり友達とは遊べなかったといってた。

52歳でステージ4の癌の手術を受けたと言ってたから、病み上がりでいきなり子育てだった模様。じいちゃんは、私が8歳の時に亡くなったので、あまり記憶がない。絵がうまく、よく絵を描いてくれた気がする。

ばあちゃんと二人暮らしだったが、私はほんとに全部何もかも、ばあちゃんにやってもらっていた。一日3食作るのもばあちゃんだったし、洗濯も掃除もばあちゃん。 私の高校の制服は、ばあちゃんが毎日プリーツスカートを押しアイロンするため、いつもきれいにプリーツがついていた。
就職後のブラウスも、ばあちゃんが毎日クリーニングに出してくれていた。

ばあちゃんの家事はいつも完璧

食事も弁当も完璧に栄養を考えて作られていて、私はいつも健康診断で褒められた。料理上手だったので、いつも美味しいご飯だった。
洋裁も上手く、とてもよく手入れされた裁ちばさみで、洋服を裁断し、私に服を作ってくれた。ばあちゃんと二人暮らしの家に、私はよく友達を招いたが、ばあちゃんは嫌な顔ひとつせず、私の友人たちにご飯を作ってくれた。

いつも豪華なばあちゃんのご飯

23歳で嫁に行くまで、私はほんとにばあちゃんに頼り切りだった。ずっと二人暮らしだったので、働いて家にお金を入れるのは、若い私の仕事だと思い、16歳の時からバイトしたお金をばあちゃんに生活費として渡していたが、ばあちゃんは、私が渡したお金を1円も使わず、貯金してくれていて、家を出る日に渡してくれた。

嫁に行った先が、外国だったため、ばあちゃんにそれまでみたく会えなくなったが、ばあちゃんが教えてくれた料理とか、家事はとても役立った。

ある夜、3日間連続で、母方の亡くなった曾祖母と、祖父が夢に出てきた。
ばあちゃんは、私の父方だが、私の両親はいとこの子同士なため、母方も親戚だ。 3日も連続でとてもリアルに二人が出てきたため、何かあると思い、電話してみた。すると、ばあちゃんが癌が再発し、体調が悪いという。 私は遠くに住んでいたが、ヘルパーを手配した。私の高校時代の友人たちが、「ばあちゃんには一食一飯の恩義があるから。」と、ばあちゃんにご飯を作りに行ってくれた。ほどなくして、ばあちゃんは入院。

私は最期の日に病院にいってばあちゃんと話をした。ばあちゃんは、最期までしっかりと、親戚一同に「ありがとう」と感謝の言葉を言った。

これは運命やから仕方ないねん


って、亡くなった日、私の枕元に立って言う、亡くなったばかりのばあちゃんに、私は「 こんなにちゃんと育ててもらったのに、まだ恩返しができてない。今度は私の孫とか、妹の子供でもいい、私の近くに生まれてきて。また会えたら今度は私がばあちゃんの世話するわ。」 と言ったら、ばあちゃんは、笑顔で消えた。

亡くなって14年くらいはちょくちょく私の夢に登場していたが、最近めっきり出てこなくなって10年以上が過ぎた。久しぶりに見た夢のばあちゃんは、女の子の赤ちゃんを抱いていて、私に渡した。その1か月後、娘が妊娠してることがわかった。

私の孫娘がもうすぐ生まれる


娘の予定日が近づくにつれ、この最期のやり取りを思い出す。 私のところに来てくれる子なので、ばあちゃんが私にしてくれたように、お世話をしようと思う。とても同じように完璧にはできないが、これがペイフォワード。私の子供たちや孫たちが今度はその子供を世話する・・・そうやって血は続いていく。

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