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物流の「2024年問題」が、中小企業のネット通販に与える影響について考察

18年に成立した働き方改革関連法により、24年4月からドライバーの時間外労働に年間960時間(月80時間)の上限規制が適用される。
野村総合研究所は、この問題により予想される国内の荷物量のうち35%が運べなくなる可能性があると試算。物流網を維持するには「料金割り増しや運送頻度低下が生じる恐れがある」と分析。

というニュースがあちこちで聞かれます。
そこで、物流の「2024年問題」が通販にどんな影響を与えるのか?
考えてみました。

代替輸送(貨物列車・飛行機・船)の可能性

貨物列車については、すでに県内でも、貨物列車ターミナルの建設が進んでおり、今後ポピュラーな輸送手段になるかと思います。実際にJR貨物グループの長期ビジョンを見ても、2030年には、貨物駅の物流結節点機能向上を目標にしているのと、鉄道を軸にしたサプライチェーン構築し、物流生産性・付加価値向上を実現するとあります。
飛行機による貨物輸送サービスは、元々価格が高く、日本国内ではあまりメジャーではありません。これは今後も燃料高騰などが続くことを考えると、国内の通販にはさほど影響は出ないと思われます。
船による輸送は、モーダルシフト(Modal Shift)の観点からも、コストの観点からも、今後伸びる注目の輸送手段だと思われます。まだまだ大型輸送のイメージですが、今後は国内の船による輸送も伸びてくるのではないでしょうか?

大手モールによる自社倉庫運営&貨物輸送

Amazonや楽天等大手モールは自社でロジスティックサービスを展開しています。輸送コストが通販にどれだけ影響するかわかっているからです。2024年問題以降は、よりこういった、自社ロジスティックサービスを持っているモールへの出店が加速するかと思われます。ロジスティックサービスに向かない、冷凍食品や温度管理が必要な商材のオンライン販売がよりむつかしくなると予測されます。

ECシステムに与える影響

新たな配送方法が増加するのに伴い、発送システム・プラグインの変更を余儀なくされるのが、私たちのIT業界。 発送プラグイン仕様変更に伴い、B2や、受発注システムのパッケージソフトを使っている企業様は、カスタマイズが必要になると思われます。ハッカーが増えているネット上で、お金を取り扱う決済機能つきシステムであるECショップ。このような仕様変更にカートのシステムを対応させるのにはとてもコストがかかります。
送料高騰で、ECをやめる中小企業も多く出てくるのではないか?と思われます。中小モールで、これらのシステム変更についていけずに、モールごと辞めるサービスも出てくるのでは?と思われます。

通販で買うものと実店舗で買うものに大きく分れる?


1000円のものを買うのに、送料2000円みたいな状況では、通販で買うものと実店舗で買うものに大きく分かれそうです。「とても軽い常温の小型郵便に入るもの」と、「重たくて冷凍または管理温度が決まっている商材」では、相当に送料面で違いがでてきます。冷凍食品はお店で購入、常温食品はネットで購入・・・のような差も出てくると思います。
メーカーや一次産業者さんでなくては、送料+手数料負担に耐えられない状況になり、「小売店」「卸売店」のネットショップ様が一番影響を受けると思われます。食品が苦戦する一方で、アパレルは軽くて常温配送ができるため、伸びていく可能性が高いです。

家具・アパレル通販と、食品・飲料品通販

特に家具については、郊外にある大型家具店で家具を選ぶ大変さに比べて、ネットで簡単に注文できるサービスであるため、ネットでは今でもすでに大きな市場です。送料負担の増加については、今でも送料が高価格であるため、さほど影響を受けないのでは?と思われます。
食品については、よっぽど特徴があるものでない限り、高い送料を払ってまでネットでは買わない顧客も増えそうです。常温で送料が比較的安い、ヒット商品開発が急務になるかと思います。

物流2024年問題対策として、今中小企業ができること

・決済&配送プラグインが変更になる可能性を視野に入れる
・冷凍・冷蔵商品の内容及びパッケージの見直し
・受発注一元管理システムを使っている企業様は仕様変更または買い替えが   起きることを視野に入れる。
・常温食品の商品開発
・ネット販売にかかわるコスト増加を視野に入れる

ほかにもあるかと思いますが、このあたりが思いつく対処法かと思います。

個別相談受け付けてますのでお気軽にメッセージ・ご連絡ください^^





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