コラム【1】データは詳細に検証すると、より条件が見える

阪神JFの予想があちこちで始まっていますが、その中で見かけたデータについて、ちょっと取り上げてみたいと思います。

先週もそうですが、今年はとにかく「関東馬は来ない」とか「3歳馬は2着まで」とか個々の馬の能力を無視したデータが披露され、それらが悉く打ち破られた年となりました。

自分はあまりそういったデータは信じないんですよね。それは上記の通り、個々の能力を無視しているから。データも扱い方を間違えれば、オカルトやサイン予想と五十歩百歩だと思ってます。

アーモンドアイなんて典型ですよね。これまでのデータをとにかくぶん投げて崩そうとしている人を見かけましたが、そもそも「ある程度ペースも流れている中で、2400mを先行して上がり33.2秒を出した馬」っているんですか?っていう。

自分は競馬歴は短いので、昔のことは知りませんが、ジェンティルドンナですら後方から競馬していたなら、そんな馬、ほとんどいないんじゃないですか?先行して上がり最速を出す馬というのは、基礎スピードが桁外れに高いわけですから。

だから、オークスのような先行する競馬が出来れば、どんだけキセキがペースを上げようが、アーモンドアイに通用はしないし、アーモンドアイが勝つと思ってました。そして実際、そうなったわけです。2角の時点での位置取りで「あ、勝ったな」って思えるわけです。

これまでに出てきた馬達と全く違うのに、これまでのデータを当てはめようとしていること自体おかしいわけです。


さて、そんなわけで、そういったデータは詳細に検証した方が、より具体的に条件が見えて馬券検討がしやすくなる、というのを実践してみました。

検証「阪神JFは1800mからの距離短縮組がいい」

これが意味するところ自体は分かります。中距離をこなせるスタミナがあればマイルにも耐えられる、ということですね。

でもそれって「マイルで追走できるスピードがある」ということも必要じゃないですか?1,800mでゆるゆるな2,000mとか2,400mみたいな競馬してて、マイルのスピードについていけるんですか?っていう疑問を持った方が良いと考えます。

先日1番人気で吹っ飛んだサトノマックスが良い例です。どんだけ切れる脚があっても、距離短縮でついていける脚がない(=基礎スピードがない)と、途端に脚が削がれる。

で、調べてみました。過去12年分(外回りが新設された2006年以降)の阪神JFに出走した馬。
ただし、条件は以下の通り。

○前走1,800m以上を走った
○前々走以前にマイル以下を走ったことがない
○対象は阪神JF10着まで

マイル経験があって1,800mからの距離短縮はそりゃ走ると思いますので、今回はクロノジェネシスが該当する、マイルを経験していない、純粋な距離短縮馬を検証。当てはまったのは以下の5頭でした。

2007年阪神JF1着 トールポピー

2008年のオークス馬。
前走は黄菊賞で、今と違って距離は1,800m。
でもこの時、1,000m通過は59.3秒とハイペース。
1,800mの激流で好走出来ているならマイル通用もうなずけます。

2008年阪神JF9着 メイショウボナール

前走は京都の新馬戦で1,800m。
1,000m通過63秒で先行して上がり最速もJFでは通用せず。

2014年阪神JF8着 ロカ

前走は京都の新馬戦で1,800mに出走。。
1,000m通過64秒。上がり33.2秒で前残りの中を唯一差してきた形
阪神JFではそれが評価されたのか1番人気になりますが、通用しませんでした。

2016年阪神JF1着 ソウルスターリング

クロノジェネシスに近い、新馬戦⇒アイビーSで阪神JFへ。
新馬戦はかなりのスロー、アイビーSは1,000m通過62秒とまあまあなスロー。これで通用したのは素質故か?

血統的な面で言えば、フランケル産駒はきついペースになると走りやすいというのもあるみたいですね。

2017年阪神JF9着 ロックディスタウン

この馬の場合はペース云々よりも、気性的な問題も孕んでいたように思いますが、敗因を見る限りは先行してペースについていけず凡走。
新馬戦、札幌2歳S共に1,000m62秒を超えるスローなので、当たり前っちゃ当たり前。

とまぁこうやってデータをただ鵜呑みにするのではなく、色々な条件を付けて検証することで見えてくることもあります。

過去12年、1,800m以上しか経験がない中で阪神JFに挑んだ馬で、
○ミドル~ハイペースを経験している馬は、1頭いて馬券内
○スローペースしか経験していない馬は、4頭いて3頭が凡走

と言う風に、より具体的な条件が見えてきます。

あとはクロノジェネシスの評価。後者の条件にあてはまるのをどう考えるか、ですね。

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