弥生賞(GⅡ)・各馬評価

展望

弥生賞と言えば、
頭数揃わない、ペースが速くならない、皐月賞と直結しない
の3ないでお馴染みのレース(知らんけど)。

今年も11頭と頭数は揃っていませんが、逃げそうな馬が2頭おり、その2頭の逃げ方にも特徴があります。例年のようにスローの瞬発力勝負になるかというと…どうでしょうか。

テンの比較

というわけで、テンの比較。
明らかに、ボーンディスウェイ、メイショウゲキリンのいずれかが逃げそうな形ですね。

ただ、前述の通り、この2頭は例年の逃げ馬と大きく違う点があります。
それは、ロンスパの逃げを使うという点です。

ボーンディスウェイは葉牡丹賞で逃げて1,000m通過直後から11秒台を刻み続けて勝利していますし、メイショウゲキリンも1,000m通過以降ラップを落とさずに逃げて3着に粘っています。

となると、例年のようなスロー瞬発力勝負になるとはあまり考えづらいなというのが私の見解。

実際、メイショウゲキリン陣営は「前々に行ってどれだけ粘れるかだろう」とも言っていますし、梅花賞でスローに落とし過ぎるのは良くないということはもう分かっているはずですから、鞍上にペースのさじ加減を伝えると思います。

※個人的にはボーンディスウェイに逃げてもらった方が理想的なペース刻みそうな気がするんですが、まぁこればかりは。。

各馬比較

データの凡例

各馬の細かなデータは以下をクリックしてご覧ください。

アケルナルスター

密かに書いた共同通信杯の回顧にて、この馬のことを書いていますので詳細はそちらをご覧ください。(勝った未勝利戦が全く評価出来ない理由も書いています)

相変わらず最後方確定のテンの遅さですし、途中からロンスパを仕掛けられるとそれで脚を使って終わりそうですから、切って問題ないと思います。

アスクビクターモア

イクイノックスと戦ったアサヒと二度接戦を演じた馬。その割にnetkeibaの想定では人気なさそうですが、果たして…。

この馬は、前半スローながらも上がりが掛かるレースに強いという印象です。つまり、前半スローの後半ロンスパのレースや、或いはスローでもあまり速い上がりが求められない長距離レースですね。

勝った未勝利戦は前半こそ1,000m62.7秒とかなり遅かったのですが、1,000m通過以降は11秒台が続くラップ(馬場差が-1.7なのでだいぶ軽かったようですが)になりました。

この時のアサヒとの上がり3F推移比較がこちら。

アスクビクターモア 11.4-10.8-11.9
アサヒ       11.0-11.2-11.9
2021年9月20日 中山4R 2歳未勝利戦

アサヒの方が後ろにいて先に位置を上げていった分、消耗してしまった感は否めません。ただ、1,000m通過以降、11.3-11.6と速いラップからの3Fで11.4-10.8と10秒台が出せているという点は見逃せません。
前半余裕があった分、後半もスタミナを維持していたというわけです。

一方で、アイビーSではあっけないくらい簡単にドウデュース、グランシエロに負けています。

このレースはスローで瞬発力&上がりの速さが求められたのですが、そこでの上がり3F推移が11.5-10.9-11.8。
東京のスローからの3F戦になった割に、中山の未勝利戦と同じようなラップ推移なんですよね。             

ただ、この時の本馬の前半3Fが36.2秒で、それ以外の3戦は38秒ないし39秒台で走っているため、この馬にとっては前半3Fを最も速く走っているレースだったというわけです。

それが上がりにも影響し、10.9秒まで加速するも、その後すぐに11.8秒までガクンと落ちてしまったのではないでしょうか。

出走馬の中では好位につけられそうですし、この手のタイプは弥生賞でも好走は出来そうです。ただ、皐月賞になると厳しいでしょうね…。

馬場の軽い1,800mの東京で最後に0.9秒も減速してしまうようでは、速いペースについていく&200mの距離延長はかなり響くように思います。


インダストリア

ケイデンスコールの弟ということで、1,600~1,800mを中心に使われてきましたが、今回初の2,000mに挑戦。母親のインダクティは未勝利戦ではありますが2,000mを勝っている実績もあるので、こなせなくはないと思われます。

とかく末脚が非凡ですね。これまでの3戦の上がり3F推移がこちら。

新馬戦   東京1,800m 11.3-10.9-11.2
未勝利戦  東京1,800m 11.4-10.9-11.2
ジュニアC  中山1,600m 11.7-11.3-11.3
インダストリア過去3戦上がり

正直、新馬戦と未勝利戦はスローで馬場も軽い中でのものなので、あまり当てになりませんが、ジュニアカップは前残りを好位から差し切っての勝利。

出遅れて5着だったとは言え、京王杯2歳Sで2番人気だった馬を難なく負かしたわけですから、一定の評価は必要でしょう。
また、上がり推移を見れば分かると思いますが、坂があるにも関わらず11.3-11.3と400m地点からスピードを維持しています。

レースでは坂を超えてから加速しているように見えるのですが、実際は他の馬が坂を越えてスピードが落ちただけだったわけです。

この時点で「1,800mを2戦しているものの、いずれも1,000m61秒超のスローペースなので、もっとペースが上がった時にどうか」という不安点を払拭していることにお気づきでしょうか。

ジュニアカップは1,000m通過が60.1秒ですから、それで最後までラップ推移が落ちていないならば200m延長しても問題はなさそうと考えられるわけです。

あとは、さらにもう200mに延長+後半ロンスパになった時にどうか。

ジャスティンロック

京都2歳Sでは、前残りレースを早めに捲っていき、差し切り勝ちをおさめました。

京都2歳Sはちょっとラッキーだったのでは?というのが個人的な印象。

ビーアストニッシドが逃げる形になりましたが、全体的にかなりペースが遅くなりましたし、何より阪神の2,000m内回りコースだったにも関わらず、600m地点まで全くペースが上がりませんでした。
この馬が難なく捲り切れたのも内回りコース特有のロンスパが起きなかったことが大きいように思います。

しかし、今回はロンスパが発生する可能性が見込まれるレース。アケルナルスターに次ぐテンの遅さで果たして捲れるかというと怪しいところ。

しかも、京都2歳Sでの上がり3F推移を見ると、11.9-11.1-12.3と最後ガクンと落ちているんですよね。いくら強風で馬場差がプラスに転じたとは言え、後ろにいた割に足を維持できていないとなると、ロンスパで脚を使わされて余力をなくしそうな気がします。

ドウデュース

朝日杯FS勝ち馬が弥生賞に参戦。

正直なところ、この馬についてはラップ推移を見ても、あまり強さが見出せません…。
アイビーSもどちらかといえば、「このペース、このコースで上がり34.0秒は遅くない?」という印象です。(馬場差が-0.6なので、多少時計は掛かってるんですけど、、、それにしても)

しかもアイビーSの上がり3F推移を見ると、アスクビクターモアとよく似ていて11.4-10.8-11.8と最後ガクンと落ちるんですよね。

前半が遅いにも関わらず最後の1Fでのラップの落ち方はあまり良いとは思えません。アスクビクターモアと違って、そこまでテンが速いわけでもないので、2,000mへの距離延長とロンスパを強いられると、ラップを維持するのが限界で位置を押し上げるところまでは難しいかもしれません。

GⅠ馬ということで人気するのは確実ですが、人気ほど抜けた存在かというと疑問。個人的には押さえはしますが馬券外でも驚きません。

ちなみに、何度も言っていますが、この馬が勝った朝日杯FSはレースレベルが高かったと思えず…。

実際、3着のダノンスコーピオンがああいう負け方をしていますし、共同通信杯の回顧記事でも書きましたが、上位ランカーでマイル以下の馬がセリフォス以外におらず、1,800m経験馬で上位を占めているのは偶然とは思えません。

ラップも、前半3Fこそ速いものの、その後残り400m地点までペースが全く上がっていないですからね…通常600mから速くなるものなのですが…。

ボーンディスウェイ

勝った未勝利戦や、葉牡丹賞は前半スロー⇒ロンスパというレース、そしてホープフルSは中盤も極端に緩むことなくひたすら12.0~12.2秒のラップを刻み続けるレースでしたが、いずれのレースにも対応出来ていた辺り、特に後半ロンスパに対する適性の高さが窺えます。

今回自身が逃げるのか、メイショウゲキリンが逃げるかは分かりませんが(枠的にはメイショウゲキリンが2枠なのでメイショウが逃げそうですが)、どちらにせよロンスパになる可能性が高いので、割と上位に入ってくる可能性が高い馬だと思います。

なお、この馬とマテンロウレオとで予想されている人気がだいぶ乖離がありますが、ちょっとおかしくないか?というのが個人的な印象です。

マテンロウレオ

ホープフルSでの後ろから追い上げてきていた脚色に注目が集まり、きさらぎ賞では人気の一角となり勝利。

既に賞金も持っていて直行でも良いのですが、コース慣れ?のためか珍しく弥生賞に参戦。

きさらぎ賞までの3戦を見る限り、この馬もロンスパ戦が得意な印象。どのレースも中盤がそこまで緩んでおらず、12秒前半~11秒台を持続するようなラップになっています。

そういう意味では今回のレースも合うかもしれませんが、如何せんホープフルではボーンディスウェイを差せていませんからね…。
それに、中山2,000mのロンスパ戦は、結構な脚力がないと後ろから差すのは至難の業です。

ホープフルSを比較すると、

マテンロウレオ   前半3F37.2秒 上がり35.6秒 12.0-11.7-11.9
ボーンディスウェイ 前半3F36.2秒 上がり36.5秒 12.2-11.7-12.6
ホープフルSの比較

このような具合で、前半3Fで生じた差を縮められたのも、ほとんど残り200mでの話。これでは差し切れるわけがありません。

また、レースレベルという意味ではこの馬が勝ったきさらぎ賞はあまり高くありません。
1戦しかしていない馬が人気になったり、そこまで強さを見せていない馬が1番人気になったりと、出走馬の世間的な評価もだいぶチグハグだったわけですから、堅軸となる馬がいなかったことが窺えます。

メイショウゲキリン

当初はダートを使っていましたが、昇級後芝に転身。きさらぎ賞では8番人気という低評価ながら3着に好走しています。

楽に逃げられたとは言え、黄菊賞では、後にホープフルS2着となるジャスティンパレスや、1勝クラスを勝ちあがるグランディアと戦って2着を確保しており、世代の中で一定の強さは見せています。

また、既に展望でも書いた通り、逃げ候補の1頭。
梅花賞がスローからの3F戦になったのに対して、黄菊賞やきさらぎ賞がロンスパ戦。前者はあっさりと2頭に抜かれて不甲斐ない競馬になっていましたが、後者では善戦しているように、スローで逃げて途中からロングスパートを仕掛けて後続に足を使わせる競馬が得意だということが分かります。

ボーンディスウェイとどちらが上かは測りかねるものの、前で戦える脚質は侮れませんし、鞍上が横山武史騎手。こういうジワジワ型の馬の方が、手は合うので、消してはいけない馬だと思います。

ラーグルフ

芙蓉S勝ち馬で、ホープフルSでは8番人気ながら3着と善戦。にも関わらず、今回もまたそこまで人気なさそうですね。

出走馬の中では、マイルを走ったドウデュースを除くと、唯一1,000m1分を切るペースを経験しており、そこでしっかりと勝ち切っている点は評価したいところです。

ホープフルSの時には、芙蓉Sを以下のように評価。

厳しいペースでの差し、というとどうしても恵まれたイメージはあるのですが、この馬の前半3F走破タイムが36.2秒なので、出走馬の中ではかなり速い方であることは比較表を見て頂ければ分かると思います。

また、上がり3F推移が11.8-11.5-11.8と減速がなだらか。新馬戦の新潟で11.5⇒10.4とギアチェンジ能力を示していたので、瞬発力の馬かとも思いましたが、持続力勝負にも対応できているのは面白いところです。

ホープフルSを見ても、上がり3F推移が12.3-11.9-12.3となっており、ラップがそれ程ガクッとは落ちていません。(内でジッとしていたのが良かった気はしますが)

今回も、出走馬の中でドウデュースに次いで前半3Fが速いですし、先行勢もそこまで多くないので楽に好位はとれそうで、人気がないからと侮ってはいけないと思います。

リューベック

若駒Sは人気のリアドを退けての勝利となりましたが、リアド自身が内に閉じ込められ、動くに動けないタイミングが直線向いてからも200m近く続いていたので、相手の自殺点で勝った面は否めません。

レースラップも600m通過以降12秒台後半までは落ち切っていないのですが、12.3や12.4というラップも混ざっており、ロンスパというには若干中途半端。
どちらかというとスローからの上がり勝負になったと見てもおかしくありません。そうなると、ただの前残りと見る形になります。

故に、このレースを以て、ロンスパに強いとまでは言い切れないのが困りもの。

前には行ける分、押さえておいた方が無難だとは思いますが…。

ロジハービン

京成杯2着馬。

新馬、未勝利とも追い出しが遅れながら、最後の最後に突っ込んできているのが印象的で、その最後の伸びが評価されているように思います。

が、レースラップを見ると、600~400m区間が緩んでいて400m戦になっているのがかなり大きいなという印象。

しっかりと600mスパートした京成杯では、4角で捲り、早め先頭に出る勢いでしたが、残り200m過ぎ辺りで捕まっており、そこまで持続力はないことが窺えます。

実際、この時の上がり3F推移が11.8-11.2-12.0で、最後にガクッと落ちています。

テンも遅い方なので、出遅れて後方⇒ロンスパになると前を捕らえられずに自身がバテてしまう恐れが大きいように思います。

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