チューリップ賞(GⅡ)・各馬評価

(3/4 14:55更新)
テンの比較のところに、枠順に合わせた予想隊列を追加しました。
また、各馬評価に基づく個人的評価を追加しました。

いよいよ本格的にクラシックのトライアルの時期に突入して参りました。
今週は桜花賞、皐月賞に向けて重要なレースとなるチューリップ賞と弥生賞が行われるので、真面目に各馬評価を書いていきたいと思います。

展望

チューリップ賞は上位3着までが桜花賞に出走する権利を得られるトライアルレース。
昨年は阪神JFの上位3頭が全員賞金持ちだったため、まとめて出てこないというなかなかな事態になり、レースレベルがだいぶヤバかったのですが、今年は勝ち馬サークルオブライフを始め、有力馬が軒並み出走してきました。

また、クイーンCで4着だったラリュエルの参戦もあり、阪神JF組とクイーンC組の比較が出来そうで、牝馬戦線を正確に把握する上では重要な一戦となります。

テンの比較

テン1F/3F比較表

今回、阪神JFと大きく違うのは、1,400以下組は差し馬しかいない点。ウォーターナビレラが一番速いですが、ここまで逃げ続けているジャマンが続いているので、ジャマンを行かせるであろうことは想像に難くありません。

ジャマンは新馬でマイルを経験してはいますが、新馬戦らしい超スロー。
むしろエリカ賞の方が速かったくらいで、それでもマイル馬からすればスローのペース。今回もそこまで速いペースを刻むとはあまり思えません。

チューリップ賞は、トライアルレースと言っても実力馬がいるために、未勝利・条件戦組も下手に冒険しづらく、結果的にスローになりがちです。

昨年は逃げ馬不在で結局テンが速かった馬が逃げる形になり前半3Fはスロー(道中息の入らない展開になりましたが)になりましたし、その前は阪神JFでガン逃げしたレシステンシアがお試しでスローに落とし込んだレースに。

最後にペースが速いレースになったのは2017年ですが、この時期は馬場も良いので、前半3Fが34.2秒と速かった割に、上位馬は皆上がり33秒台。
2着に7番人気馬が突っ込んできましたが、結果的にその後も重賞で活躍する馬だったことを考えれば、人気が間違っていただけ、という具合でした。


各馬比較

凡例

各馬の細かなデータは以下をクリックしてご覧ください。

アンジェリーナ

7戦して1月末にようやく初勝利。
これまでに、1,000m60秒台オーバー、中盤12秒台に緩むレースが4度もあったにも関わらず、最速の上がりが34.2秒。
1,800mでは最後の1Fで甘くなって差されていますが、1,600mのスローぺースですら33秒台が1度もないということを考えると、1,400mくらいが適距離なように思います。

また、勝ち上がりにこれだけ時間を要した割に、戦ってきた相手は昇級して活躍しているわけではなく、阪神JF上位勢を脅かす程のレベルにいるとはあまり思えません。

ウォーターナビレラ

阪神JFで本命にした馬。
超スローのサフラン賞と、厳しいペースのファンタジーSとで全く質の違うレースにも関わらず、どちらも勝っている点を評価しておりました。

阪神JFの時は、陣営も認める程に調教があまり良くなかった?ようなのですが(知らなかった…)、それであのパフォーマンスでしたからこの世代では上位と言えるでしょう。

なお、阪神JFでは中盤が緩み、残り400mまでペースが上がらなかったのが助けになったことは否めず、緩まないペースになると厳しくなってくるかもしれないなと思います。

今回は「テンの比較」でも書いた通り、ペースはそこまで上がらないと見ていますので、自分のペースで走れれば馬券内は確実と言えるのではないでしょうか。

オーソレミオ

新馬戦でウォーターナビレラと戦って3着。その後5ヶ月経過して未勝利を一発で勝利しました。

対ウォーターナビレラで考えると、新馬の上がり3Fは

ウォーターナビレラ 12.2-11.2-11.4
オーソレミオ    12.0-11.7-11.5

となっており、逃げたウォーターナビレラになす術なく敗れているので、スピード面で完全に負けている印象です。

復帰初戦となった小倉1800m未勝利戦では、道中ほとんど息が入らないレースで先行押し切りを図って勝利しており、中距離の方がスピード面で優位に立てて良いのかなと思いました。

今回どうかといえば、未勝利戦では相手に恵まれた面も大きく一枚足りない可能性も否めませんが、テンの速さはここでも劣っておらず、スローになれば前残りも。

サークルオブライフ

アルテミスS、阪神JFと連勝。阪神JF勝ち馬は直行が普通になりつつある近年では珍しく前哨戦参戦。

賞金面では足りているので、ここは叩きですが、チューリップ賞の後はそのまま栗東滞在するようなので、戦略的な参戦と言えます。

この馬については特に言うことはないですね。
阪神JFでも書いたように、アルテミスSで前も残るような展開の中を、後ろから差し切った時点でケチをつけるところはありません。阪神JFの勝利も納得のいくものです。

ちなみにその阪神JFでは、前半3Fをこの馬自身は35.5秒で運び、上がり33.9秒。
推移を見ても12.0-10.6-11.3と最後まで脚色もあまり衰えていないので距離延びても大丈夫かもなと思わせます。

この馬の唯一の不安点で言えば鞍上でしょう。
馬自身はナミュールのように、目立った出遅れをこれまで見せてはいませんが、鞍上のスタートの癖が常に出遅れリスクと隣り合わせです。

スローが濃厚な今回、あまり大きく出遅れるといくら前残りを差し切る力を持っていても間に合わない可能性もないとは言えません。
特に今回は叩きですから、鞍上が間に合わないと思えば無理に追わない可能性もあり、こだわってここから入る必要もないのではとすら感じます。


サウンドビバーチェ

未勝利勝ち以降は安定した戦績となっていますが、いかんせん出走した1勝クラスのレースレベルがかなり低い。

特に菜の花賞は前走掲示板外という馬が大量に出てきていて、今年の3歳馬のレベルの低さを窺わせるものがあります。(他の1勝クラスでも前走二桁負け/前走掲示板外の馬/未勝利馬 出走例多発)

新馬~未勝利勝ち上がりまでの3戦を見る限りでは、上がりの掛かるレースじゃないと上位は厳しいかと思ったのですが、白菊賞では一応上がり33.9秒。

成長は窺わせますが、白菊賞で負かされたルージュラテールは、前で運んでいたママコチャやアルーリングウェイ相手に、最後方から運びながら上がりの差がわずか0.3秒差。全く見せ場ナシでした。

テン1Fを見た感じでは先行出来そうですが、さらに相手が強化されてどこまで粘れるかというと…。

シークルーズ

阪神JFは1秒以上離されての負け。春菜賞はサウンドビバーチェでも書いた通り、レベルがかなり低い馬が集まったレース。

阪神JFでは12.2-10.6-12.1と一瞬加速してすぐにバテている一方、春菜賞では11.0-11.3-11.4と持続していたことを鑑みると、パフォーマンス的には1,600mよりも1,400mの方が良さそう。

今回は後ろからになるので特に強調出来る材料はありません。

ジャマン

新馬戦はスローペースで運び、瞬発力を活かして後ろを出し抜き勝利。

エリカ賞はこの馬が逃げると見て、一応△で押さえましたが、中盤ほとんどラップが落ちていないことを考えると、思った以上に粘ったなという印象。

最後の1Fは13.0秒まで落ちているので明らかにバテていますが、1,800mまでは11.9-11.9と11秒台を維持している点は見逃せないところ。結構スタミナはあると思います。

同型が不在の今回、楽逃げは必至。
同じくテンが速いウォーターナビレラ相手はどうかも、後方からの有力馬も多いので、出し抜ける可能性は十分ありそうです。

ステルナティーア

サウジアラビアRCでは本命にし、阪神JFでは消した馬。

スタート後200m通過辺りで「ぶつけられてリズムが乱れた」というのが陣営の言い分なんですが、パトロールビデオを見た限りでは「接触した」という表現が近く、派手にぶつけられたという感じではありません。(この辺は各々見て判断してくださいませ)

大出遅れしたナミュールの方が相当にリズム乱れてますからね…言い訳にしてはちょっと無理があるなという印象。

上がりの推移を比較しても、

サークルオブライフ 12.0-10.6-11.3 
ラブリイユアアイズ 11.9-10.8-11.5
ウォーターナビレラ 11.9-10.8-11.8
ナミュール     11.8-10.3-11.5
ステルナティーア  12.1-10.8-11.7

阪神JF上がり3F推移比較

前にいたウォーターナビレラやラブリイユアアイズ相手に最後の400mで完全に負けてしまっている以上、実力差があるのは明らか。

今回はスローが予想されるため、この馬の得意なレース質になると見て押さえても良いと思いますが、人気馬全部が飛ぶことはなさそうですし、変に人気するなら無理に押さえなくても良いかもなぁとも思います。

スプリットザシー

朝日杯FS、フェアリーSと2戦連続大敗。流石にここから巻き返すのはムリでしょう。

ツッチーフェイス

小倉の1,800mの重馬場を勝っての参戦。ペースもレース質もすべてが違いますし、ラップ推移も特にこれといった点も見られず。追走するだけで終わる気がします。

ナミュール

阪神JFでは大出遅れをして、馬場が悪い内を立ち回って差し損ね4着。2勝馬ではありますが、賞金面から上位人気馬の中では、最も3着内が欲しい馬の1頭でしょう。

中間はゲート練習もしており、横山武史騎手をわざわざ阪神に呼び寄せる程ですから、陣営の気合の入りっぷりは想像に難くありません。

今回はスローが見込まれるだけに、スタートを決めて好位から競馬をする形を狙っているでしょう。

1点だけ気になるのは、36秒より遅い時計で進んで上がり33秒を出していたので、位置を取った時に上がりの脚が削がれないかという点ですが、今回は流石にそこまで気にすることはないかもしれません。
(むしろ気にするなら確実にペースが速くなる桜花賞)

出遅れリスクが消えたわけではないので軸には出来ませんが、相手には入れないといけない馬ですね。

ピンハイ

新馬戦はいかにも前潰れ差し有利のレースで、あまり評価は出来ません。

中盤もほとんど緩んではないラップなのですが、前半36.5秒で運んで上がり35.0秒はちょっと遅過ぎ。

スプリットザシーの朝日杯の戦績と比較するとよく分かりますが、朝日杯FSの方がペースも速く、スプリットザシー自身もピンハイより速く走ってかつ200m余計に走ってるのに上がり差0.5秒。

スプリットザシー
朝日杯FS 芝1,600m 馬場差 -0.5

レースラップ 前半3F 34.3秒 前半5F 58.3秒
個別ラップ  前半3F 35.8秒 上がり3F 35.5秒

ピンハイ
新馬戦 芝1,400m 馬場差 -1.1
レースラップ 前半3F 35.2秒 前半5F 58.9秒
個別ラップ  前半3F 36.5秒 上がり3F 35.0秒

しかも馬場差も朝日杯の時の方が時計が掛かっています。

余程の成長力を見せているなら別ですが、スプリットザシー以下と考えると…

ラリュエル

前走はクイーンC4着で、いかにも穴人気しそうな負け方をしました。

レースを見ると残り400mを通過してからもなかなか内側で窮屈な状況が続いていました。

この不利をどう考えるかですが、ラップ推移を見ると、11.5-11.4-11.6。残り200mでは既に追い始めていたにも関わらずラップが落ちています。

瞬発力があれば、ここで追い出しを待った分、スパッと加速出来てもおかしくないのですが、ゴールしてからも3着馬にそのまま突き離されるようなスピードだったので、ジワジワと脚を使うタイプか、クイーンCのペースが既にこの馬には速い可能性も。

瞬発力がないとすれば、先行力があったとしてもジャマン辺りにつき離される可能性もあり、不利があったからこの馬だ~!と飛びつくには不安が残ります。

ルージュスティリア

新馬戦ではフェアリーSとクイーンC2着だったスターズオンアースを負かしており、相手関係的には申し分ない一方、現3歳世代は新潟で勝ちあがった馬がかなり不振。。

ただでさえ馬場が良い新潟で、馬場差-1.7という条件下で、前半3F 39.0秒、5F 65.9秒はいくらなんでも遅すぎです。

今回スロー想定ではありますが、それでもこの馬が経験している新馬戦からすれば5秒以上もペースが速くなるのですから、本命にするのは怖すぎます。

新馬だけでは何も分からないため、押さえまで。


ルピナスリード

如何にも切れる脚がないダイワメジャー産駒という感じ。

未勝利勝ちしたレースでは前半3F 36.6秒、5F 61.5秒とだいぶ遅い上に、この馬は前半3F37.4秒で運んだにも関わらず、上がりは34.2秒。

これって、前週のこうやまき賞を走ったウナギノボリと大して変わらないんですよね…。ペースはこうやまき賞の方が速いですが、それでもご存知の通り、ウナギノボリは重賞では全く通用していない。

エルフィンSでもルージュラテール相手には完全にスピード負けしていますし、あまり強調材料がないですね。


個人的評価

軸におススメ

ウォーターナビレラ

相手

サークルオブライフ、ナミュール、ラリュエル

見くびると怖い

ジャマン

オーソレミオ、サウンドビバーチェ、ステルナティーア、
ルージュスティリア

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