新潟2歳S(GⅢ)・各馬評価
札幌記念が終わり、いよいよ夏競馬も終盤ですね。今年は波乱が多い年のような印象ですが、皆様の調子はいかがでしょうか?
今回は函館2歳Sに続く、夏の2歳重賞第二弾、新潟2歳Sです。
例年の傾向
例年のラップを見ると、よもやマイル重賞とは思えない、12秒台連発のレース。最後の3Fが薄緑~青が多いように、とにかく上がり勝負のレースになりがちです。
過去12年の馬券圏内馬の、位置取りや上がりを見ても、1着馬は上位の上がりばかり。差し・追込馬がほとんどです。中でも差し馬は36頭中20頭が馬券圏内に入っており、差し馬を狙うのが最も的中確率を高めると言えます。
また、次いで多いのが9頭で先行勢(追込馬が6頭なので、ほとんど差はないですが)。基本的にスローペース、直線平坦なので、当然ながら昨年のビッグクインバイオのようなスローからの上がりにも耐えられるような先行馬は残りやすい傾向にあると言えます。
また、1,400m~1,600mの流れるペースを勝ってきた馬にとってみれば、全く質が異なるレースとなります。普段なら速いペースで押し切ったことは非常に高く評価したいところなんですが、キツイペースからの持続力勝負が得意な馬にとっては、キレ負けしかねないという点も考慮したいですね。
で、今年は?
今年は11頭が登録しており、2018年並の少頭数。ただし、前走逃げた馬が2頭おり、1,200~1,400mからの転戦馬もいることを考えると、2018年水準のスローとまではいかないのでは?とも。
何より予想を難しくしているのは、6月~7月が雨ばかりで道悪馬場で勝ってきた馬がいたりして、能力の比較も上がりの脚の比較も非常に難しい点。
さらに、不良馬場での開催もあったように、今年は馬場の傷みが例年に比べて早い可能性が高いことも考慮すべき点です。実際、先週の開催では、多くのレースでスローでも上がり34秒台がせいぜい。1,800mの1勝クラスで1分3秒までペースが落ちてようやく33秒台の上がりという具合です。なので、「キツイペースからの持続力勝負が得意な馬にとっては、キレ負けしかねない」とは書きましたが、究極的な上がりがそこまで求められない可能性が高い今年は、。
11頭だから、もう1頭だけ消してあと全部買ってしまいたいとまで思ってしまいます苦笑
逃げ候補は2頭。
東京の不良馬場を逃げ切ったロードマックス。そして同じく東京で逃げ切ったジュラメントでしょう。テンが最も速いのはショックアクションですが、逃げなくても良いので、他の馬を行かせそうです。
2歳戦の予想について
今年の2歳戦は初記事となりますが、自分が2歳戦において最も重視するのは「相手関係」です。
新馬戦や2歳戦前半(秋くらいまで)の未勝利戦というのは、将来オープン級の馬と未勝利で終わる馬とが一緒になって走る、力関係がはっきりするレースです。この特性を活かし、強い馬と競った馬は強い・・・という考え方に基づいた、至極シンプルな予想方法が「相手関係」というものになります。
ただ、昨今、予想家のメシ馬氏の影響でこの考え方はかなり浸透してきており、「本当に強いのか」、「展開に恵まれたから接戦になったのか」をしっかり見極めることで、もう1段、2段精度を高めていくことが大事になってきています。
今回は、各馬の新馬戦から、2着以下10着くらいまでの馬の次走以降の成績も一緒に記載し、相手関係を把握することも行っていきます。
また、ラップ推移についてですが、古馬の場合は何戦もしているため、多少誤差があっても何戦もの傾向から「こういう馬だな」というのが分かりますが、1戦しかしていない馬がほとんどの今回、多少の誤差が大きく影響しますので、あまり絶対視しないようご注意ください。
シュヴァリエローズ
アジュールローズ、ローズミラクルなどを輩出した一族。想定では1番人気と目されます。
新馬戦はスローからの上がり勝負となりましたが、11秒台の脚を使いながら最後まで加速をし続けており、新潟の長い坂にも耐えられる脚力を持ち合わせていそうです。
ただ、いくらスローとは言え、新潟2歳Sは前半3F36秒前半~35秒台前半にはなりそうなので、この馬が経験した3F36.7秒よりもペースが上がってもしっかりと脚が使えるかが課題になりそうです。
また、レースレベルについてですが、次走ホウオウアマゾン(フラーズダルムが新馬戦で負かした馬)に軒並み皆がやられているんですよね。この点は気になるところ。フラーズダルム組は上位3頭が抜けて強いように思われるので…。
ちなみに、新馬戦の公式ラップの内、400m~200m区間が10.7秒となっていますが、どう測っても11秒台のはずなんですよね…。でないと、先頭を走るサトノをあんなじわじわ追い詰める感じにはならないのでは?と疑問。
ショックアクション
新馬戦は阪神1,400mを経験し、きついペースながら3着に好走。この時点で買いだなと思って未勝利戦は軸にしていました(ワイドでしたが相手来ず…涙)。
面白いのは、既に新馬戦で見せた持続力の高さ、そして、未勝利戦で見せた先行して上がり1位を繰り出した点です。
稍重で前半3F35.5秒と割と流れた中で11秒台の上がりが続けて使えるのであれば、今の馬場なら多少ペースが落ちて上がりの速さが求められても対応できる可能性は十分にあります。
新馬戦のレースレベルですが、2着だったシゲルセンムや4着のキトゥンズワルツなどの差し馬が次走でショックアクションに負けているように、明らかに差しが優位だったと言えます。実際、2番手で追走していたフリードは次走1,200mで勝利をしていますし、少し後ろですが7番手で追走していたテーオーブレイブも1,200mで3着と好走。このレースは先行勢を狙うのが良いことがうかがえます。
ジュラメント
新馬戦はPOGでも注目されていたサトノレイナスをあわや負かすかのような好走を見せ、未勝利戦で逃げて後続を完封して勝利。
この馬については、2戦ともにさすがに前半のペースがちょっと遅すぎます。先行しながらスパッと11秒台の脚が使えていますが、前半3Fが2秒近く速くなる中でショックアクションと同じように脚が使えるかは疑わしいところ(素質馬ならこういう不安点を平気で突破してきますが)。。
新馬戦のレベルについては、未勝利戦で3着馬と再対決し、2頭でワンツーフィニッシュをしていますが、4着以下の馬は全くパッとしません。未勝利戦の3着以下は3着~掲示板辺りをウロウロという具合で、少なくともレベルが高いとは言いづらい戦績ではあります。
セイウンダイモス
1,200mからの距離延長組。ラップ推移を見ると、前半3F35秒を切るペースながら、先行して11秒台を連発。前半が遅くなることによる気性面での対応と、位置取りによっては10秒台の脚が使えるか否かがカギになりますが、クリア出来ればちょっと怖いなと思う1頭ではあります。
※1,200m戦は比較がしづらいため、新馬戦のレースレベルは出しません
タイガーリリー
新潟の1,400m戦をハイペースで差して勝利。新潟経験はあるものの、内回りの1,400mですし、レースの質が全く異なるため、ちょっと怪しいところ。
また、上位に中団から後ろで控えている馬が多い点もマイナスポイント。前が潰れたおかげで勝てた、つまり展開に恵まれたと見るべきと言えます。
新馬戦は、上位で未勝利戦に出走している馬がいないため、レースレベル判定は割愛します。
ハヴァス
アカイトリノムスメがいたことで話題となった新馬戦ですが、1.2秒差で先行押し切りました。
この馬は気性面が課題。当初は中団くらいにいましたが、抑え切れずに前へ進出。3角へ進入するまでは以下の写真の通り、大外を通っており、3角で内へもぐりこむような進路を辿ります。(その後もコーナーの道中に首を振ったりする動きが見られます)
そのためか、上がり3F推移は最後に失速するラップ。※400m地点を通過した辺りでグンと伸びているので、1F⇒2Fは実際は上がっているかもしれません
新潟2歳Sではもう少し全体時計も速くなるので、この馬にとっては楽な運びになるかもしれませんが、この週までは馬場状態が良かったことを考えると、失速の度合がどれくらいになるか…。
なお、この新馬戦、上位は待機勢が占めているので、先行押し切りは展開的に恵まれたとは言えず、実力はありそうです。また、上位で未勝利戦に出ているのは5着のオーケーパッションのみ。ですが、1着馬に2.2秒もの差をつけられており、果たして…。
ファルヴォーレ
唯一の3戦経験馬で新馬戦はダディーズビビッドの6着、0.6秒差。2戦目以降は1,400mに距離短縮をして徐々に着順を上げていきました。
距離短縮の2戦はペースも流れており、時計も多少掛かっている中での差しのため、何度も言っている通り新潟2歳Sのレース質に合うかは疑問で、後方待機で前が止まらずに終わる可能性が高そう。
フラーズダルム
新馬戦のレベルは、出走馬の中では恐らく最も高いと思われます。0.7秒負かしたホウオウアマゾンは、次走で番手から上がり最速を繰り出す強い勝ち方をしています。
ネックなのは、新馬戦が稍重馬場で時計が掛かっている点。キズナ産駒は渋った馬場を得意とするケースが非常に多いため、新馬戦での好走は適性によるところが大きい可能性もあります。馬場状態からMペース判定されている中で、最後の1Fが最速になっていますが、その手前まで12秒台というラップ推移なのもどうか。
ブルーシンフォニー
レースレベルに関しては何とも言えませんが、傾向はあって、カランドゥーラを除く上位先行勢は次走で大敗、差し勢が善戦という具合です。次走の敗因は色々だと思いますが、前半3F37.6秒とか中距離みたいなラップというところから、先行勢が有利であることは自明です。なので、先行勢を過信するのは危険。
そういった意味では前残り決着となるところを上がり最速で差し切った点は評価できます。
気がかりなのは時計が遅い点。新潟2歳Sでは前半も速くなりますし、何より後半3Fは11秒台前半~10秒台後半…上がりが掛かる今の新潟の芝でどれだけ対応できるかがカギとなりそうです。
ブルーバード
唯一の2勝馬ですが、新馬戦もダリア賞も前が潰れるようなレースを指してきており、2戦とも恵まれた感がある上に、レース質も異なります。
ただ、この馬の見どころはダリア賞での上がり推移で、12.9⇒11.4秒へと一気に加速しており、瞬発力が高いことがうかがえます。また、途中200m切る辺りまでは前が塞がった中で脚を溜め、残り200mでビュンと差し切っています。
ロードマックス
新馬戦は雨の不良馬場ということもあり、先行での決着。上位も先行勢で占められており、明らかに馬場バイアスが働いています。
実際、先行勢ではリーブラテソーロが唯一勝ち上がっていますが、コスモス賞は4着(2着に能力があるとは言え、未勝利馬が入るレベル)、ヴォワドアンジェも2着ですが、1着馬と1秒以上突き離されている状態で、そこまで好走しているとも言えず。
レースラップや上がりも不良馬場で全く参考にならないので、結構判断が難しいところですが、バイアスを考慮するとそこまで評価するのは厳しいか。
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