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日本ダービーを考える~前哨戦と各馬評価

【更新情報】
5/23(木)14:16 枠順を反映しました
5/24(金)11:05 メイショウタバル取消に伴い、枠順を更新しました


桜花賞、皐月賞、NHKマイルC、そしてオークス。いずれも上位人気で決着するケースが多く、今年の3歳GⅠは堅い決着が多いですね。

その分、強い馬がしっかりと実力を発揮しているとも言えるので、個人的には昨年のようなことがない分、どのレースも納得できる決着だなと思っております。

馬券としては面白くないかもしれませんが、やはり競馬を盛り上げるためには、それぞれに特徴のある強さを持った馬が活躍してくれないと困ります。

特に古馬勢は化け物クラスがどんどん引退してますし、現4歳世代の力が疑問視されている分、今の3歳勢が日本競馬を引っ張って欲しい限りです。


さて、いよいよ春のGⅠは最大の盛り上がりを迎えます。

安田記念をちゃんと書きたいので、今年のダービーnoteはもういいかな~と思ったのですが、振り返ると2018年から毎年日本ダービーは記事を書いていたので、ここで止めてしまうのも勿体ないなということで書くことにしました。

例年、皐月賞に対する文句や愚痴や、こういうバイアスがあった!とか言ってから本題に入るのですが、今年はそういった変なバイアスなどはなく、正々堂々とした決着だったように思うので、前哨戦の分析とそこからの出走馬に対する評価を書いていこうと思います。


データの見方

前哨戦① 皐月賞

レース概況

このレースはものの見事に事前に書いたコラム通りの馬場状態になりました。手前味噌ではありますが、これまでの馬場研究の賜物かなぁなんて思っております。

レースは、メイショウタバルが行くとは思ったものの、やや制御不能状態に陥ったこともあって、出走馬全馬が経験したことのない未知のラップに突入。

皐月賞 レースラップ
馬場差 -1.8
12.2-10.5-11.5-11.7-11.6-11.8-12.0-12.1-11.7-12.0
前半5F 57.5秒 上がり3F 35.8秒

5月の京都の超高速馬場だと、たまにこういう狂ったラップで逃げる騎手を見かけますが、開催最終週の中山で、スタートして200m通過以降、11秒台が1,000mも続くというのはなかなか見かけないケース。

レース上がりは35.8秒と掛かっていますが、300mちょいは逃げていたメイショウタバルのラップ。上位馬の上がりは33.9~34.8秒の間に収まっており、ホープフルSよりも追走力の高さと速い上がりの持続力が問われたレースと言えます。

以下は、各馬の皐月賞におけるパフォーマンスです。

皐月賞出走馬走行データ

1~7着馬(と12着馬)は最後の1Fが12秒台まで落ちておらず、12秒台に落ちた9着以下の馬との実力差がかなり浮き彫りになったと言えます。

ダービーで前半から11秒台がずっと続くようなラップになることはまずないものの、後半はロンスパになりがちなので持久力は必要です。

そういう意味では、少なくとも前にいた馬よりも、上がりが使えていない馬はかなり厳しいのではないでしょうか。

各馬評価①ジャスティンミラノ

共同通信杯で上がり32秒台を出せる程度に上がり性能が高いのですが、皐月賞では追走力、持続力面でも能力の高さを見せました。

上位馬の中で600m時点での走破タイムは最も速いにも関わらず、最後の1Fも垂れていません。
ただし、後方待機馬は残り600m区間から11秒台前半を使ってスパートしている中、この馬は11.5秒。先行出来た分だけ後ろの馬よりも思いっきり加速する必要がなかったことで、最後の200mまで持たせられた、という側面はあります。

とは言え、東京の方が良いことは事実ですし、共同通信杯で上がり勝負にも対応できた馬ですから、死角はかなり少ないと言えます。

なお、一部でマイラー説が出ているようですが、新馬戦のラップを見る限りはあまりに短絡的です。

新馬戦は1,000m通過63秒⇒3Fの上がり勝負という典型的中距離型のレースで、そこでちゃんと脚を溜めて、上がりは11.3-10.8-11.3という推移になっています。持続型のマイラーであればこういう推移にはなりません。
だいたい、加速に手間取って11.3-11.2-10.8といった推移になります。


各馬評価②コスモキュランダ

アルアイン産駒というだけあって、持続力が高く、上がりの掛かるレースでこその馬。皐月賞もスピードを持続させるマイルのようなレース質になったことがこの馬の好走につながりました。

上がり34.2秒はこの馬のキャリアハイ。それだけに、東京の上がり33秒台レベルまでくるとさすがに対応しきれないのではという疑念が大きいです。

実際、この世代のアルアイン産駒は、この馬以外の賞金上位馬を見ると、
・ダート馬
・短距離馬(1,200~1,400m)
・重馬場
など、スピードの持続力が生きるレースでの好走が非常に目立ちます。

また、アルアイン産駒の東京コース成績が酷く、
0-1-0-23
という状況。2着に来た1頭はワイマングという馬ですが、新馬戦でのもので、その時の1着馬がバードウォッチャー。1勝クラスで掲示板にも載れていないレベルですし、ワイマング自身も3戦目以降はボロ負けしている状況なので、たまたま相手が弱くて2着に来れただけという感じが否めません。

2021年の時のような5Fロンスパのえげつなくキツイ競馬にならないと、なかなか厳しいかもしれませんし、溜める競馬をしても良いことはないと思います。


各馬評価③アーバンシック

百日草特別でロンスパをぶっこ抜くだけの脚力の持ち主。
皐月賞は直前の一頓挫情報で、個人的に本命候補から下げましたが、それでも4着はかなり立派です。

前半3F36.8秒は、この馬のキャリア最速。コスモキュランダより後ろにいながら、上がり差が小さいので前半はあまり急かしてはいけないタイプでしょう。

また、京成杯でも2着に取りこぼしているように、加速したいところでコーナーがある中山よりも、直線が長い東京の方が持ち味が生きると思われますし、いかにも2400で来そうなタイプ。

なお、去年のような3F戦よりも4~5Fのロンスパになった方が、この馬にはおあつらえ向きの展開と言えるでしょう。


各馬評価④シンエンペラー

皐月賞は、8番手と中団からの競馬になったにも関わらず、前にいたジャスティンミラノよりも0.1秒上がりが遅いという結果。

11.3-11.7-11.8という推移を見ても、追走力も問われるレースでは、なかなかバテないが、11秒前半を連発できるようなタイプではない(33秒台が使えない)ことを露呈しています。

やはり皐月賞のnoteで指摘した通り、上がりの掛かるレースで好走するタイプと言えます。

京都2歳S、ホープフルS、弥生賞、と重賞で連対が続く実力馬。
この馬で一番引っかかるのは、やはり上がりの掛かるレースで常に上位という点。

東京1,800mも経験していますし、勝ってはいるのですが、馬場がかなり軽い中で上がり33.8秒というのは物足りなさもあり、基本は時計が掛かる方が良いタイプと見て良いと思われます。

ペース経験はあるので、もちろん追走力面で不安はありませんが、かつ速い上がりも求められるとなった時に脆さを出しそうな馬です。

皐月賞(GⅠ)・各馬評価(簡易版)より

距離が長くなって追走ペースが落ちること自体は問題ないと思うので、先行すれば2022年のアスクビクターモアのように前残りはあり得ますが、先行しないのであれば、上がりが使えないだけにあまり買い要素はないという印象です。

各馬評価⑤レガレイラ

ホープフルSでの勝ち方から、「11秒台のラップが続くようなロンスパに対応できるかどうかについては未知数。」と評価しましたが、やはり厳しかったですね。

上がり推移が11.0-11.4-11.5とバテていない点は評価できるものの、あくまで前に行かなかった(前半600mはジャスティンミラノよりも1.3秒も遅く走っている)ことで生まれた末脚ですし、それで上がりが0.8秒差しかないため、ジャスティンミラノとの差はかなり決定的だと思います。

牝馬のダービー制覇と言えばウオッカですが、そもそもウオッカはマイルの厳しいレースを先行して押し切れるようなレベルの脚力の持ち主です。桜花賞こそ取りこぼしましたが、勝った阪神JFは今見ても2歳としては珠玉のラップです。

また、近年で言えばサトノレイナスが2021年にダービーに挑戦して5着でしたが、サトノレイナスだって阪神JF、桜花賞で好走していた馬です。

そういった意味では、残念ながらウオッカはもちろん、サトノレイナスと比べても力不足だと言わざるを得ません。

いくら使い分けでのローテとはいえ、マイルが合わないから中距離を使っていることが前提になっている以上、過去出走した牝馬よりは1枚落ちるという印象です。

一方で、横の比較(今回の出走馬同士)では、アーバンシックと同等の脚色はあるため、完全には消せませんが、皐月賞同様にポジションと追走力が課題。ルメールマジックでポジションを取れたとしても、皐月賞より速く走ったことがないため、その分脚が削がれるかもしれません。

各馬評価⑥エコロヴァルツ

溜めに溜めて、レガレイラよりも0.5秒遅く走って、上がりがレガレイラと同じ。

武豊騎手が「次走のダービー見据えた差し競馬」をして上がり最速出した馬は期待できる、という言説もあるようですが、この馬より前にいた馬と上がりがほとんど変わらないのが3頭もいるので、馬券内は厳しいでしょう。東京2400に変わって条件好転となるとはあまり思えません。

似たような話で「皐月賞で上がり33秒台を出した馬はダービーで巻き返す」というのも聞きますが、

コスモキュランダが34.1秒、アーバンシックが34.2秒、とほとんど変わらない上がりの馬が他にもいる中で、「33.9秒」がどれだけ評価できるものかを、もう少し相対的に考えた方が良いのでは?と思います。


各馬評価⑦サンライズジパング

この馬は以前から指摘している通り、軽い馬場、11秒台が連続するようなラップに対して対応出来ないタイプ(というかダートの方が良いと思います)。

ペースが遅かろうが、速かろうが、距離が短かろうが、長かろうが、馬場が悪かろうが、良かろうが、35秒より遅い上がりしか使っていないので、ダービーは皐月賞よりもさらに適性がかけ離れます。

各馬評価⑧ミスタージーティー

ジャスティンミラノと同じ位置で運んで、差をつけられた形で皐月賞は完敗。

これまで最後の1Fまでバテることがなかった馬が、皐月賞でバテたことを考えると、追走能力不足ということでしょう。

そもそも、母リッスンの子供は、そのほとんどが時計が掛かる決着を得意としており、前半は多少ゆったり入り、後半ロンスパというのがこの馬に最も合う条件と言えます。逆に、ペースも速くて上がりも速いといったレースは全く不向き。

そういった意味では、追走が楽になるダービーは少なからず条件好転とは言えるものの、速い上がりは使えないので、東京だと共同通信杯のようにキレ負け必至。後半ロンスパの持続力勝負になることが絶対条件です。


各馬評価⑨サンライズアース

前半3F36.7秒で上がりが35.2秒。
前半と上がりを見比べても、サンライズジパングやミスタージーティーよりもさらに下という結果で、ここから巻き返すのは厳しいでしょう。

また、皐月賞を含めて過去3戦すべて35秒台の上がり、というのも買える要素とは言い難い。

レイデオロ産駒はなかなか厳しいですね。


各馬評価⑩ビザンチンドリーム

前半600mを37.4秒で運び、上がりは34.7秒。同じ最後方にいたエコロヴァルツは33.9秒を出していますし、シンエンペラー以外の上位5頭には上がりでも劣っている状況では、さすがに逆転は厳しいと言わざるを得ないのではないでしょうか。

皐月賞では、4角でサンライズアースに前を横切られるという不利はあったものの、上がり推移は最後の1Fで12.0秒まで落ちており、不利がなければ馬券内があったとは言い難い状況でもあります。

皐月賞の時の各馬評価では、以下のように書いていますが、

きさらぎ賞は、下り坂の600~400m区間が12秒台で全くペースが上がっていなかったところを、後方勢が差を縮めてきた⇒ヨーイドンの上がり勝負。

こうなると後方勢の方が有利になるので、完全に展開に恵まれた感が強く、全体のペースが上がるとどうか。

重賞でもかなり恵まれた状態で勝利しており、厳しい競馬の経験が不足していると言わざるを得ません。


各馬評価⑪メイショウタバル

「ゲート入りに手間取ってテンションが上がった」と浜中騎手。
完全に暴走ペースとなってしまいました。

初輸送、さらに気持ちよく逃げた毎日杯から中2週ということもあり、調整も難しかったのではないでしょうか。

皐月賞の時には以下のように評価。


つばき賞で4Fロンスパに対応して先行押し切りをしていたように、長く脚を使う能力に長けているタイプで、スタミナタイプの馬たちにとっては厄介と言えるでしょう。

ややスピード寄りの血統?のようですが、
母系を見ると母親メイショウツバクロ(ん?)の母親ダンシングハピネスは京都大賞典勝ち馬を輩出しているので、全くダメということは無いはずです。


今回も明確な逃げ馬がいないため、この馬がハナを切る形になりそうですが、中間は馬の後ろで走らせて我慢させる調教をしたり、メンコや馬具周りのも色々と工夫をしているとのこと。

これらに加えて、輸送、当日の落ち着き、スタンド前発走などダービーで好走するには、クリアするべき条件がかなり多いように思いますが果たして。。


各馬評価⑫ダノンデサイル

皐月賞は出走直前に回避となったため、皐月賞の各馬評価を編集してお届けします。

この馬のポイントはスタミナ、と言っても、シンエンペラーのように時計の掛かるレースよりももう少し軽めの方が適性は高そうです。

というのも、上がり3F推移を見ると、どのレースでも最後の1Fが12秒台まで落ちてはいません。特に、京都2歳Sはシンエンペラーとほぼ同じ位置で上がり推移もほぼ同じです。

京都2歳Sは前が塞がったり、ちょうど隣にシンエンペラーが一緒に進出していて外に出せなかったりとスムーズさに欠いていたことを考えると、シンエンペラーとの差は世間的な評価程離れているとは思えません。

また、そこそこ厳しいペースも経験しているので、追走力面でもそこまで問題はないのでは?と思います。


前哨戦② 京都新聞杯

レース概況

ダービーへの最終東上便と呼ばれるレースだけに、前が厳しくなりやすいレースですが、ここ数年はそうでもなくなりつつあり、今年もスロー。

馬場差を見れば分かりますが、京都は超高速馬場。逃げ先行勢でも、力があれば残れる展開となりました。

京都新聞杯 レースラップ
馬場差 -2.6
12.5-11.1-12.1-12.2-12.4-12.7-12.6-11.8-11.2-11.3-11.3
前半5F 60.3秒 上がり3F 33.8秒

昔、ダービー展望の際に書いたのですが、ここ10数年の京都新聞杯からの好走馬を見ると、厳しいペースで前で残った馬が馬券に絡む傾向があります(キズナは例外)。

該当するのは、2012年のトーセンホマレボシ、2015年のサトノラーゼン、そして2019年のロジャーバローズ。いずれも、1,000m60秒を切る厳しいレースで、5番手以内で先行していた馬です。

なので、印を厚くするならばこの条件をクリアしている方が良さそうです。

各馬評価 ジューンテイク

ジューンテイクは3~4番手を先行、最内枠の利を生かし、勝負所で最内を突いてそのまま押し切っていますが、超高速馬場で内をじーっとして勝負所で追い出すだけで勝てていることを考えれば、枠、ペース、馬場に恵まれたことは確かでしょう。

好走と凡走の傾向を見るに、どうも時計が掛かるレースや持続力が求められるレースが不得意なよう。兄も姉も、母親も短距離に良績が偏っているため、元々あまりスタミナがないのではないかと思われます。

これがダービーにつながるかというと、ちょっと難しいところですが、この馬自身は高速馬場でのロングスパートに対応は出来る点は評価したいところ。

ダービーでも、前半スローで後半ロンスパ、という図式はよくあるので、内枠に入り、かつ中盤も含めてキッチリとペースが緩めば、馬券内の可能性はないとは言えません。


前哨戦③ 青葉賞

レース概況

青葉賞 レースラップ
馬場差 -2.5
12.6-10.9-12.1-12.1-11.8-11.8-12.2-12.2-12.3-12.1-12.4-11.7
前半5F 59.5秒 上がり3F 36.2秒

前半59.5秒は速いなと思うかもしれませんが、これは大逃げをしたパワーホールのラップで、実質的な逃げ馬となったのは3番手のシュバルツクーゲル。

パワーホールが1,000m地点を通過してからおおよそ0.5~0.6秒後にウインマクシマムが通過、さらにそこから1秒1~2遅れて3番手のシュバルツクーゲルが通過しています。つまり、実質1,000mは61秒3くらいでスローペースと言えます。

以降、ウインマクシマムも追いかけるのを止めていますが、パワーホールとシュバルツクーゲルとの差は変わらずに進んでおり、残り600mの時点でも3番手の馬から1.8秒くらい前にパワーホールがいる状態でした。

レース上がり3Fが36.2秒(12.1-12.4-11.7)とかなり遅くなっていますが、これは残り200mまでがパワーホールのラップ。パワーホールは残り400-200m区間で大きく垂れてしまい、ウインマクシマムに捕まります。

つまり、パワーホールは完全に捨て置かれてしまい、番手より後ろがスローペースのレースだったということです。

残り400m地点
残り200m地点

最近、東京ではこの手の展開がよく見られますので、ラップを見る際には注意した方が良いレースです。先週のオークスも記憶に新しいところですが、昨年のジャパンカップ、さらに昨年の日本ダービーも同じような展開でした。

なので、ラップだけ見ると速いなんて思うのですが、4~5番手を追走していたシュガークンでも前半3Fは36.7秒とだいぶ遅いですし、むしろ先行勢は恵まれたとも言えます。

各馬評価①シュガークン

年明けデビューしてこれだけ恵まれた馬もなかなかいないなという印象。

中盤で13秒台まで緩んだレースしか経験がないため、ペースが上がって青葉賞ではどうかなと思いましたが、青葉賞も前述の通りスローペースに。

馬場差を考えても追走力がそこまで求められなかったため、しっかり追いかけないといけないようなラップになった時にどうか、というのがついてまわります。

ロンスパも経験していませんし、厳しいペースでのパフォーマンスも見えないのでこれ以上はコメントのしようがありません。

各馬評価②ショウナンラプンタ

ホープフルS3番人気だっただけあって、順当にダービーへと駒を進めてきました。

この馬のポイントはロングスパートを経験、差し込んできているところ。アーバンシックもそうですが、前が速いラップを刻んでいるところを差すというのは能力がないと出来ない芸当です。

新馬戦は残り200mがこの馬のラップですが、4Fロンスパを残り200mで捕まえ、そのまま極端に垂れることなく11.7秒でまとめていますし、その相手がサトノシュトラーセ(京都2歳S3着、青葉賞4着)だったというのは一定のレベルが担保できていると考えます。

また、東スポ杯も前がかなり速い状況で後方から4着まで追い込んできていて、その時の最後の1Fが11.8。さらに距離が延びれば差し切っていたとも言えるラップです。

青葉賞では残念ながら3F戦になったため差し届きませんでしたが、ダービーでは後半ロングスパートになることが多いため、むしろ競走レベルが上がるダービーの方が対応しやすくなる可能性があります。


前哨戦④ プリンシパルS

レース概況

プリンシパルS レースラップ
馬場差 -2.2
13.1-11.7-12.1-12.2-12.5-11.8-12.0-11.0-11.5-11.7
前半5F 61.6秒 上がり3F 34.2秒

前半1,000m通過は61.6秒と遅いですが、それ以降は11秒台連発(1Fだけ12.0が混じっていますが)しているように、5Fロンスパに近しい推移になっています。また、中盤も京都新聞杯に比べると、12.5が最遅ラップと極端な緩みはない状況です。

馬場差は-2.2とかなり軽い部類ですが、ダービー当日も同じような馬場になるため、再現性としては問題ない範囲と言えます。

各馬評価 ダノンエアズロック

アイビーSでレガレイラを負かしたことで注目を集めましたが、弥生賞は凡走、プリンシパルSでダービーへの参戦を決めました。

弥生賞の敗因は、追走力と距離の2つだと考えています。

①追走力
馬場については-1.0とそこまで重たくはないものの、前半3F35.2秒、5F60.4秒は、この馬にとっては一番速いペースで、スタミナの要る追走になったことは確実。
特に800~1,000m地点では12.8秒にラップが落ちたものの、その後は極端に緩まなかったため、負荷はかなり重かったと思われます。

②距離
お母さんがモシーン、ということで最も活躍したプリモシーンが1,600m前後で良績を残していることを考えると、マイル前後に適性がありそうな血統です。

実際、弥生賞では最後の1Fが12.4秒まで落ちており、垂れていることが窺えます。一方の勝ち馬であるコスモキュランダは最後の1Fが12.0秒。
最初の600mではコスモキュランダよりも1.1秒程前にいたので、本馬の方が負荷は大きかったことは確かですが、それでも物足りない数値ではあります。

とは言え、例えば兄のモーソンピークは2,400~2,500mでも走ってはいるので、必ずしも絶対に合わない、というわけでもありません。
プリンシパルSはほとんど出来ていないような状態で勝っていますので、上積みが見えれば前進はあり得ます。

骨折の件については、手前を替えなかったなど影響はあるようですが、具体的な数値で推し量れないため、参考程度とします。

※なお、母系を重視しているのは、ミトコンドリアが母親からしか遺伝しないためです。ただし、ミトコンドリアの数はトレーニングによって増やせることが分かっているので、距離の融通は多少つけられるようです。

前哨戦⑤ NHKマイルC

レース概況

NHKマイルC レースラップ
馬場差 -1.8
12.3-10.7-11.3-12.0-12.0-11.4-11.2-11.5
前半3F 34.3秒 上がり3F 34.1秒

今年はレベルが高い、ということで注目度が高かったレースですが、ジャンタルマンタル、アスコリピチェーノと人気馬での決着、3着馬も不当に人気がなかっただけで、まったく不思議はありませんでした。

前半3Fが速く、中盤の12.0-12.0は例年と比べれば緩んだなという印象で、1着~3着馬は皆4角で6番手以内という前目決着。
かなりの高速馬場だったこともあり、ちゃんと位置を取ること、速い上がりの脚、の2つが大きなカギとなったレースでした。

各馬評価 ゴンバデカーブース

ホープフルSで感冒により回避、その後喉頭蓋エントラップメント手術で休養が長引き⇒NHKマイルCぶっつけというローテで、さすがに厳しいと思われましたが、それでもモレイラが4着に持ってくるあたり、能力が高いという印象です。

ただ、NHKマイルC自体は上記の通り、中盤は例年と比べてやや緩んだため追走自体は楽だったり、ロジリオンより0.4秒遅く走って上がり差が0.1秒しか違わなかったりと、世代一線級かと聞かれれば、やや疑問が残るところ。
もちろん、あまり仕上げてはなかったと思いますが。。

また、母親がアッフィラートというところもネック。芝のマイル以下で活躍した馬で、2,000mの経験もありますが、条件戦で3着まで。いきなり2,400mで対応できるかは疑問が残ります。

脚の使い方を見るに、ブリモル産駒らしく10秒台になるような瞬発力はなく持続力型なので、昨年のようなレースになれば厳しく、4F~5Fロンスパになって、距離がもてば或いは…という具合です。

マイラーでも対応できるかは何とも言えませんが、サリオスのような例もある一方で、ダノンプレミアムには長かったりもしているので、


前哨戦⑥ スプリングS

レース概況

スプリングS レースラップ
馬場差 -1.0
12.7-12.2-12.6-12.7-12.9-12.6-12.0-10.9-10.8
前半5F 63.1秒 上がり3F 33.7秒

解説する気にもならない空前のスローペース。ただただ上がりだけの勝負で、このレースでは速い上がりが使える馬はほとんどおらず、勝ったシックスペンスだけが瞬発力勝負に対応したことで、後続を突き放して勝った形。それ以外はほぼ位置取りそのままでの決着となっています。

11秒台以下が最後の2FしかないというのもGⅡレースとしてどうなのかという思いです。

各馬評価 シックスペンス

今回は東京の2,400m戦なのでそこまで気にする必要はありませんが、シュガークン同様にここまで厳しいペースでのレース経験なし。

マイルのひいらぎ賞も前半3Fが36.5秒、5Fで60.5秒で、特筆すべきポイントはありません。

スプリングSと比較するとすれば、同じスローの共同通信杯ですが、大きく違うのは600~400m区間。スプリングSはこの区間ですら逃げ馬がゆったり12.0秒で走っているような状態でした。

そのため、11秒台のラップを4F以上刻んで走った経験が一度もない、というのがネックになると思います。

これまでに必要がなかっただけで、いざそういった状況になれば対応できた、なんてこともないとは限りませんが、いきなりGⅠ本番でどうか?

いずれにしても、ラップからは取り立ててこの馬が良いとは言えませんし、むしろ未知のことが多すぎてとりあえず押さえる以外に手立てがないような状態です。

テン1F/3F比較と隊列想定

個々のパートは枠順確定後に更新しますが、テン1F/3F比較表だけ先に置いておきます。

テン1F/3F比較

メイショウタバルが最も速いかと思いきや、シュガークン、ゴンバデカーブース、シックスペンスも同程度。ですが、いずれも何が何でも前に、という馬ではないので、先行争いが激化する感じがしません。

また、メイショウタバルも、前に馬を置いて調教をしているため、誰も行かないなら行くが、誰かが逃げるならその後ろにつける、というくらいのスタンスじゃないかなと思っています。

テン1Fからの想定位置取り

テン1Fからの位置取り想定

こう見ると、極端にテンが遅い馬はそこまで多くなく、全体的に団子状態。最初の1コーナーまでのポジショニング争いがかなり見物になるのではないでしょうか。

有力馬で最内なのはレガレイラ。
レガレイラにとって困ったのは、周囲にマークできる有力馬が不在であること、そして周りの方がややテンが速いことでしょう。

こうなると、プランは2つ。
1つは出来るだけスタートには気を付けて、前目につけて内枠の利を生かした競馬。中途半端な位置になると外から押し込められてしまいますし、何より前があまり強くない馬だと、垂れてきた時にどうにもならなくなります。

2つ目は、思いっきり後ろに下げて外枠にいる馬のところに陣取る。幸い外の馬も皆テンが速いので、少し後ろになれば外に移動しやすくなります。そうすれば、離れた有力馬の後ろからマークすることが出来ます。
ただ、これは出遅れた場合のプランとして持っておくような気がします。

その他については、各馬の談話などを見てから。。

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