【JRA GⅠ参戦海外馬分析④】オーギュストロダン
恐らく一番ニーズがあるであろう馬なので、すみませんが最後に持ってきました。
①戦績分析
戦績から分かること
戦績は15戦8勝。GⅠ6勝でマイルGⅠを追い込んで勝利していたり、英/愛ダービー勝っていたり、ドウデュースと重なる部分がありますね。
よくムラ駆けがあると言われますが、そういうことではなく、スタミナが問われるレースは大の苦手という理解が正しいと思います。
例えば、欧州の競馬場の中でもアスコット競馬場は以下のような高低差になっており、中盤以降ひたすら上り坂を上り続けるため、とにかくスタミナが問われます。
この競馬場で3戦1勝。負けた2戦はいずれも2,390mなんですよね。
英2000ギニーでの大敗はちょっと解釈が難しいですが、要因は複合的と考えていて、相手関係の強化もありますし、ラップもフューチュリティの時より中盤速くなっているんですよね。これについてはまたラップ分析で言及します。
ドバイシーマクラシックの大敗は?
ここで1つの疑問が浮かびます。コースは平坦、良馬場発表だったのに、何故ドバイシーマクラシックであんな大敗したのでしょう?
当初はラップがキツかったのかな?と思っていたのですが、ブリーダーズカップの時の方が前半1,000mは4秒も速く走っているんですよね。なのでこの説は説得力に欠けます。
で、色々探していたところ、中内田調教師のこのコメント。
アーモンドアイが勝っているので、これまであまり馬場の重さを意識していなかったのですが、メイダン競馬場は洋芝なのでタフだということなのでしょう。
こう考えると結構色んなことに合点がいくんですよね。それも1つのレースだけでなく、他のレースでの結果に対しても。
こう考えれば、オーギュストロダンのドバイシーマクラシックでの凡走も、やはり「スタミナが問われたことで凡走した」という仮説が成り立ちそうです。
ちなみに、2023年にBCターフが開催されたアメリカのサンタアニタパークは、「暖地型」に分類されるバミューダグラスという芝が採用されています。
(出典『馬場のすべて教えます2~JRA全コース徹底解説~』小島友実著)
なんのこっちゃと思うかもしれませんが、日本の野芝は「暖地型」に分類されると言われれば、なるほどと思いませんか?
②ラップ分析
これまで見てきた海外馬と違い、ラップに緑(11秒台後半)が多く、そうしたレースでの好走実績があるのがこの馬の特徴と言えます。
これも欧州育ちとは言えディープインパクトの血のなせる技なのでしょうか。
③総括
以上をまとめると、これまでのレースでのパフォーマンスを見る限りは以下のような特徴を持っていると思われます。
・スピード能力は高い。特にロングスパートに対する適性はかなり高い。
・スタミナが問われると脆い。道悪だけでなく、ラップ或いはコース地形上のキツさが要因の場合もあり。
・野芝でのパフォーマンスが非常に高いので、日本の芝も向く。
・上がり勝負への対応力は未知だが、4Fロンスパで10秒をたたき出しているので、可能性は十分
・テン1F/3Fは割と速い
(最速テン1F12.14/3F34.91 平均テン1F13.15/3F36.75)
逃げ馬不在で難しいですが、上記の通り、テンは結構速いので思い切って逃げるという戦い方もアリかもしれません。前半から速いラップを刻んで後ろに脚を使わせれば、ドウデュース対策にもなり得ます。