若葉Sは信頼できるのか?

若葉Sは正直世間が言っている程、力を信頼できるレースだとは思えません。確かに、アドマイヤビルゴが見せた末脚はなかなかだとは思いますが、多分コントレイルならもっと速い上がり出せていると思うんですよね。

それに何よりも2着馬。正直、この時点で相当な前残りバイアスが起こっているのではないかと思いました。

で、日曜日のレースを見ていたところ、その「前残りバイアスが起こっている」という仮説が見事なまでに当たっているように思いましたので、若葉Sについて日曜のレースと比較してみます。

もちろんこれはあくまで私の意見にはなるので、本番でもしかするとキメラヴェリテが好走することもないとは言えませんが、私はその可能性は随分低いのではと考えています。

まず、結論から言いますと『前残り馬場と競走相手が味方した』、これが若葉Sというレースの本質です。前半59.9秒と決して遅くはないのですが、2着馬が上がり35秒だったことを考えると、そこまでキツいペースではなかったと言えます。

前残りが顕著な馬場

これが最も大きい要因ですが、阪神は15日からずっと雨が降らない状態が続いています。冬の“あの京都”でも一瞬ありましたが、雨が降らない状態が続くと、馬場が速くなる傾向にありますね。

その結果、かなりの高速馬場になってきています。実際、未勝利戦で芝2,200mを1,000m通過59.7秒と1分を切るペースで走っているのに、先行馬で上がり35秒を出している状態です。中山は金曜(雨が降った翌日ということもあり)に差し馬でも37秒近くかかっているのに、です。

以下、土日の阪神の上位馬の位置取りです。

【3月21日(土)阪神】

キャプチャ1

【3月22日(日)阪神】

キャプチャ2

なんだ、「差し」「追込」あるやんけ、と思われると思いますが、日曜5Rは差しが3頭来ていますが、

キャプチャ4

このように、上位3頭ともあと2~3頭交せば馬券内!っていう位置にはつけていたわけです。

これは8Rも同様。追込になっていますが、コーナー曲がった時点で最後方にいたわけではなく、鞍上も届かないと見て早めに前には進出しているわけです。(あと、全体的にメンツのレベルが低すぎたのも差し切れた要因だと思いますが)

キャプチャ6

蘇る若葉Sの再現

あと、日曜にはデジャヴのようなレースがありましたよね。阪神9R須磨特別。このレースでは障害帰りの人気薄メイショウモウコが逃げ、前半1,000m59.1秒で後続を突き離して逃げました。

【須磨特別】

キャプチャ

【若葉S】

キャプチャ2

逃げ馬が後続を離した逃げ、そして1,000m1分を切るペース。全く同じですね。これが“普通の馬場”なら前は残りづらくなります。

しかし、片や2着、片や押し切った。こんなことが2度も続く、ということは再現性があるということであり、バイアスがかかっているという証左に他なりません。

若葉Sの結果を受けて、前が残る馬場であろうことは予測がついていたので、当然メイショウモウコはしっかり拾っていました(というかむしろ重視)し、後ろからの馬は切るか、押さえる程度にしていました。

【若葉S】

キャプチャ4

【須磨特別】

キャプチャ3

距離は200m違いますが、須磨特別の方がペースが速いことを考えれば、まあまあ似通った結果、上がりになっています。

若葉Sの1分58秒6という時計は確かにすごいですが、果たして額面通りに受け取って良いものでしょうか。須磨特別のメイショウモウコで1分46秒1、+12秒しても若葉Sより速い時計になります。

似通っていた後続勢の上がり3Fの質

もう1つ、実はレース前にちょっと懸念していた点がありました。

アドマイヤビルゴは新馬戦だけではなにも分かりませんでしたが、サーストンカイドー、ディアマンミノル、アメリカンシード、オールザワールド、エンデュミオン、アルサトワ・・・皆そこまでキレる脚を持っていませんでした。

具体的には、1F10秒台に突入するような脚がないということです。上がり3F33秒台を出す場合、色んなパターンがあるのですが、11秒台をダラダラと使うタイプもいれば、ビュンと10秒台まで加速するタイプもいます。今回は後者がアドマイヤビルゴ以外にいなかったのです。

オールザワールド、エンデュミオンは道中で失速しているので、それ以外の4頭を並べると、

画像7

画像8

画像9

画像10

こんな具合です。皆ダラダラと11秒~12秒前半の脚を使うタイプで、アメリカンシードが唯一、他の馬よりちょっとだけキレる脚が使えるという具合。

このことは、レース結果からも分かります。

図1

面白いですよね。道中の位置取りは違うのに、上がりが皆34.5秒前後。これは極めて普通ではありません。

前走がダートだったナムラカミカゼやイロゴトシ、ハンメルフェストは前走までの3F推移を測ってはいませんが、ダート馬って確かダラダラ脚使うタイプが多い(?)ですよね。ムーンショットも前走小倉のボロクソな重馬場で勝っているので、恐らくダラダラと脚を使えるタイプだと思われます。

なので、後続がこれだけキレる脚がないのに、あんな悠長に後ろに構えていたら届くわけがないのです。これが先に話した「競争相手が味方した」ということの意味です。

なお、アドマイヤビルゴは若葉Sの上がり3Fのラップを計測すると10秒台の脚を使えています(実測値11.3-11.6-10.8)。つまりキレる脚を持っていると言えます。これがキメラヴェリテを捕まえられた理由です。

以上が若葉Sのレース分析になります。

こう考えると、世間が言っている程「アドマイヤビルゴ強い!」と言えるかは甚だ疑問です。もちろんそれなりに素質はあるでしょうが、上がりが掛かるメタクソキツイ競馬でも勝っているコントレイルやサリオスと肩を並べる程かと言われると、どうかなと思う次第です。


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