凱旋門賞・出走馬評

お久しぶりでございます。

最近noteを書く体力がなくてサボっておりましたが、今週は凱旋門賞に毎日王冠、京都大賞典、サウジアラビアRC、と重賞目白押し。

というわけで、少しでも予想の一助となればと、凱旋門賞の各馬評価でも書いてみようと思います。


§1 凱旋門賞を知る

ロンシャン競馬場|コース解説

コース全体図
コース断面図

凱旋門賞は芝2400メートルの外回りコースを使用して行われ、レースはスタンドから見て左奥にある風車の付近に置かれたゲートから発走する。
スタート直後の約400メートルは平坦で、向正面では最大斜度2.4パーセントの上り坂が続く。3コーナーを過ぎてからは下りに転じ、1000メートルから1600メートル付近までは600メートル進む間に10メートルを下がるコース設計になっている。

その後、競馬場の名物であるフォルスストレート(偽りの直線)と呼ばれる直線を250メートルほど走り、最後の攻防が繰り広げられる実際の直線は平坦でその距離は東京競馬場とほぼ同じ533メートル。
10メートルの高低差はJRAでもっとも勾配のある中山競馬場(5.3メートル)のほぼ倍に相当する。

スタート直後の密集した馬群の中でのポジション争いはし烈で、勝つためには前半の折り合いも大切。行き脚のつきやすい下り坂でもゴールまで脚を温存するためリズムよく走ることが求められ、人馬の呼吸が勝敗を分けるポイントとして挙げられる。

JRA HPより

個人的に考えているロンシャン競馬場の難所は、中盤にある10mもの高さの坂。当然ここはペースも緩みやすいですが、ここが速くなってしまうとかなり厳しい消耗戦を敷かれることになります。

2022年のタイトルホルダーの時がそうですが、そこそこ重い馬場だったにも関わらず、上り坂でそこまで緩まず、12秒台のペースを持続して走っており、これが崩れてしまう要因になったと個人的には考えています。

もちろん重たい馬場で、ロンシャンはヌチャヌチャするなんて表現もされるくらいなので、スピード<<<スタミナとなったのはあると思いますが、重たい馬場で前半にこんな坂を1ハロン12秒ペースで上ってたらしんどいよねと思うわけです。

3角あたりにある京都の2mの坂ですら、そこで加速して直線で沈むような馬が多いのが日本ですから、タフさという部分においては欧州馬は日本馬の比ではない、ということです。


過去の傾向

過去の凱旋門賞レースラップ

スタート~1Fの計測の仕方が日本と海外とで違うので、1Fの14~15秒は無視しても、馬場が重たいと最後まで13秒台が続くめちゃくちゃタフなレースだというのがよく分かると思います。

一方で昨年は逃げ馬不在、珍しい良馬場だったことで、日本でも見られるようなラップになっていました。

全体の傾向としては、スタートしてから600mくらいで上り坂に差し掛かってペースが緩み、下り坂になるにつれて徐々に加速していくような推移。

過去5年の凱旋門賞のラップでは見られませんが、それ以外のレース、例えばパリ大賞や凱旋門賞の前哨戦(フォワ賞、ニエル賞、ヴェルメイユ賞)などでは、フォルスストレート辺りからスパートを始めるケースもあり、スローの瞬発力勝負にしたくない馬などは、この辺りから仕掛けてロンスパになることはよくあります


軸馬選びで大事なこと

海外のラップデータを用いて本気で予想するようになった2021年以降、軸馬はすべて馬券内ですが、軸馬選びにあたって重要視しているのは、とにかく「スピードもそこそこあって、バテない馬」です。

ロンシャンの中盤の高低差10mの坂、最後の500mの直線、馬場、とこなすべきことが多いコースなので、例えば、

シャンティイの最後の直線にある10mのキツイ坂を11秒台で走り続けて持たせた。しかも欧州にしては珍しく前半1,000mが60秒を切るレースで先行。
(2022年2着ヴァデニ)


同じロンシャンのGⅠ、パリ大賞で先行してロンスパで押し切った&最後の1Fも後続の馬より速かった。
(2021年3着ハリケーンレーン)

といった具合に、スピードだけでなくスタミナもあるなこの馬、というのをラップから根拠を持って選ぶことで、ここ3年は的中出来ているなという感じです。
(2021年はトルカータータッソはワイドのみで三連で拾えませんでしたが…)

あと、バテない、とは少し主旨が違いますが、昨年の穴馬だったオネストについては、アイリッシュチャンピオンSで2F目から11秒台が1,000m以上も続くような超絶ラップを先行した、というところに目をつけて拾いました。

単純に展開不利、ですからね。そしたら凱旋門賞では追い込んでスルーセブンシーズを見事に差し切ったわけです。

で、今年は?

巷では混戦だと言われていますが、まぁ確かになという印象。
昨年はさすがにエースインパクト一択でしたが、今年はこの辺かなという馬はいつつも、実績面で物足りなかったりするので、軸馬選びも悩ましいです。

10/5(土)の日本時間14時時点でのロンシャンの馬場は重(Souple)。ペネトロメーターは3.7なので、フォワ賞、ヴェルメイユ賞などが行われた時の馬場とほぼ同じと言えます。

§2 各馬評価

正直、ラップだけではなかなか見えづらい部分も多く、あさ~い分析になってしまっている感もあります。

ここがポイント!みたいなのは書きますが、結論は皆さんの方でそれぞれレースなどを見て頂ければと。。

1枠:ザラケム

分析が難しい戦績ですが、ガネー賞で逃げて大負けしたり、英インターナショナルSで前よりも遅く走っていたのに大バテしたりと、スタミナ不足な面が垣間見られます。

プリンスオブウェールズSは前が潰れての展開利ということを考えると、色々恵まれないと厳しいのではないかという印象。

重賞出走するようになって、2,000m以上での好走がないのも×。

2枠:ファンタスティックムーン

基本はドイツの競馬場を主戦場としており、重たい馬場の方が適性は高そう。昨年のニエル賞を勝ったものの、凱旋門賞では2桁負けを喫している。

ニエル賞は4Fロンスパに対応していたことを考えると、凱旋門賞の時のように上がり33秒台の決着だと厳しいが、34秒台後半~35秒台まで時計が掛かるような展開になればあり得るかもしれない。

3枠:ブルーストッキング

出走馬の中でレーティングトップの馬。戦績を見ても分かる通り、デビューしてから大きな着順が一度もなく、すべて4着内というのは評価が高い。

ラップの観点で出色なのは2023年のヨークシャーオークス。4着と馬券外ではありましたが、5Fロンスパ勝負となっています。
最後は少しバテてしまっていますが、そもそも今年の凱旋門賞で5Fロンスパ経験している馬自体がほとんどいないので、経験があり、かつ4着なら評価できるレベルだと思います。

ちなみにヨークシャーオークスを勝ったウォームハートは、その後も昨年のヴェルメイユ賞を勝ち、ブリーダーズカップフィリー&メアターフ2着、香港ヴァーズ3着、ペガサスワールドカップ勝ち、と良い成績を残しています。

4枠:アヴァンチュール

ヴェルメイユ賞でブルーストッキングに次ぐ2着。

同日、同距離・コース施行のニエル賞と比べると、前半が多少流れてはいるので、ヴェルメイユ賞>ニエル賞という評価ではありますが、最後の1Fではブルーストッキングが速い。

位置どりはブルーストッキングのすぐ後ろをついて回るような形だっただけに、力の差がそのまま着差につながってしまったように感じます。厚い印には出来ませんが押さえるかどうか。

5枠:ソジー

鬼門のニエル賞勝ち馬。現地でも人気は高いようですが、それも納得で、ちゃんと評価出来るポイントはパリ大賞です。

重馬場、3.5というペネトレメーターながらラスト4Fは11.64-11.09-10.96-11.60とロングスパートへの対応がしっかりと出来ています。

仏ダービーでは前半に追走スピードが問われたことでルックドゥヴェガに後塵を拝しましたが、ニエル賞では逆に完封しており、前半ゆっくり→ロンスパへの適性はかなり高い可能性があります。

6枠:シュルヴィー

ヴェルメイユ賞7着と大敗。

最後結構ガクッとラップが落ちているので、前半のラップに13秒台がほとんどない(ペースがそこそこ速かった)ことが要因かなと考えています。

が、この馬より前にいたアヴァンチュールよりもバテている(12.73まで低下)ので、好走には色々注文がつきそうでちょっと厳しいのでは?


7枠:デリウス

この馬もソジーと同じくパリ大賞→ニエル賞組なので、ソジーを評価するのであれば自動的にこの馬も評価しなくてはなりません。

ただ、デビューが遅れて今年からという点と、欧州馬のトップレベルホースがマイルなどを経験している中で、未経験というのはちょっとマイナス。スピード面の担保が出来ていない状態で評価をする必要があります。


8枠:ルックドゥヴェガ

ニエル賞ではかなり期待されていたようですが、期待を裏切る3着。

逃げたとは言え、ほとんど同じ位置で外々回ってたソジーとの個別ラップを比較すると分かりますが、最後の600mは完全に負けています。いかにも距離が長いのでは?という負け方で、変に人気するようなら軽視しても。


9枠:アルリファー

武豊騎手が騎乗することで注目されています。

差し追込の馬の割には最後甘くなる印象。

ガネー賞を見ても、最後まで11秒台が続けば評価も出来ますが、レースラップよりも落ちているので微妙。
エクリプスSは最後方からなのに、最後の1Fは先行していたシティオブトロイと0.1秒差。

スピード勝負よりも、スタミナ勝負の方が望ましいと思いますが、そもそもこのようなズブい馬との相性は、この鞍上の場合最悪だった気がしますが…。

10枠:ロスアンゼルス

ブルーストッキングに次ぐ、5Fロンスパ経験馬。

愛ダービーとその次のグレートヴォルティージュSでは残り1,000mから12秒を切るラップを連発するレースでしっかりと勝っています。

また、英ダービーでは3着に負けていますが、1着馬シティオブトロイ、2着馬アンビエントフレンドリーはどちらも後ろにおり、ロスアンゼルスはずっと先行を続けていました。

英ダービー比較

なお、2021年に3着したハリケーンレーンも英ダービーに出ていましたが、その時のスタートから1,000mのレースラップは71.47秒。今年は70.00秒で1秒以上速いレース展開となっていました。(ちなみに馬場状態はどちらもGood to Soft、稍重相当)

特に上のエプソム競馬場の断面図を見ると分かりますが、14秒まで落ちることなくひたすら30mもの高低差の坂を上り続けていたわけです。

そう考えるとこの馬のタフさは結構なものではないでしょうか。R.ムーアがこの馬を選んだ理由も分かります。

11枠:シンエンペラー

特に血統的なところでは異論はないですが、さすがに欧州勢とは厳しい競馬の経験が違い過ぎるので、そこがなんとも。
また、愛チャンピオンSでの好走で、注目を集める形になった分、欧州の名手たちにギチギチに寄せられて対抗できるか否か。鞍上のエスコートもかなり重要になります。

どうやら特別にロンシャンで試走が出来たようですが、とは言え横山和生騎手が上り坂でペースを落とすべきところ、あまり落とせずに走ってしまったように、コース経験はかなり重要。

12枠:セヴェナズナイト

デビュー戦の1,500mでは13頭中12着。
2,800m以上でしか勝ち鞍なし。

不良馬場にでもなれば別ですが、スピードが無さすぎるのではないでしょうか。さすがにデータがあってもラップまで更新する気力はありませんでした。

13枠:アヤザーク

多分距離長いんじゃないですかね?
去年良馬場で欧州馬でも33秒出せる馬場だったのに、最後12秒台まで失速していますからね…2,400m以上での戦績が悪すぎです。

14枠:コンティニュアス

昨年の凱旋門賞5着馬…の割にレーティングは最下位なんですね苦笑
去年もこの馬押さえていたので、個人的には押さえます。

2023年凱旋門賞 入線時

スルーセブンシーズのすぐ後ろにいたのに、日本の皆さんはこの馬評価しないんですか?それはおかしいですよね?っていう。

評価ポイントは、グレートヴォルティージュS。レースは4Fロンスパ戦ですが、この馬自身は5Fロンスパをしており、それを追い込んで差し切るのはスピード能力がないと出来ません。

また、エースインパクトの評価を一気に高めた仏ダービーでは、先行して残り300mくらいまでは食らいついていました。
東京の1,600m~1,800mみたいなペースで2,100mのレースを先行して、最後の400mでは高低差10mの上り坂を上り続けるのですから、かなり過酷な条件を走っていることはお分かりいただけるのではないでしょうか。

15枠:サンウェイ

ラップ的に特に評価できる部分はないですし、長距離の2,910mの英セントレジャー3着では厳しいですね。。

16枠:マルキーズドセヴィニエ

ラップ予想家泣かせの2,400未経験馬。
ただ、4年前の凱旋門賞ではペルシアンキングという馬が同じような戦績で3着に入ってきました。

マイルを主戦にしているため、ロングスパート能力というか、速いペースを追走する能力、速い脚を使い続ける能力は出走馬の中でも高いことは確か。

押さえておくに越したことはないでしょう。

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