青葉賞(GⅡ)・展望

いよいよ今週開催の競馬から5月に突入。今週から本番のダービーやオークスに向けてのトライアルレースが終盤戦に入ります。

早速青葉賞の展望をしてまいります。

(4月30日16時追記)コンドゥクシオンが入ってませんでしたが、この馬は馬場が悪いか葉牡丹賞のように全馬バテバテという特殊条件でしか走ってないので、よく分からないとここに書いておきます。すみません。

例年の傾向

最後の長い直線まで余力を残しておくために、前半から中盤にかけてはゆったり流れ、残り800m辺りからロングスパートになる傾向にあります。

そのため、トップスピードのヨーイドン勝負になることは少なく、過去11年の上がり3Fを見ても33秒台を出しても33.7秒以上、34秒半ばという上がりが多い傾向にあります。また位置取りも「差し」が最も多く、次いで「先行」⇒「追込」という順番です。

で、今年は?

今年はロールオブサンダーという明確な逃げ馬がいるので、誰が逃げるか分からなくてドスローに…みたいなことは起こらないと思われます。ただし、ペース自体は例年くらいか或いはもう少し遅くなるかもしれません。テンの速さではプリマヴィスタも速いので競りかけるなどして1,000m62~63秒という展開にならないようにして欲しいところ。

各馬評価

※エヒトは未勝利馬で除外濃厚のため評価対象からは外します

アイアンバローズ

エヴァーガーデンにかなり近いラップ推移を刻んでおり、上がりの掛かる競馬が得意な持続力型タイプです。

時計の掛かる馬場で逃げ先行させれば強いのですが、東京・新潟で起こるトップスピード勝負の環境、或いはスローからの瞬発力勝負の展開にはかなり不向きと言えます。実際、新馬戦はマイルにしてはスローだったこともあり、そこまでものすごいペースが流れているわけでもないのに、大敗しています。

内枠で先行すれば怖いのですが、先行出来ないとかなりキツイペースにならないと浮上出来ない脚のため、先行できるかがカギとなります。

アピテソーロ

降雨の連続で馬場がボロボロに傷んだ今冬の小倉で好成績を残した馬は、環境に影響を受けても勝てるくらい強いか、上がりがもの凄いかかるレースでしか来れない鈍足馬のいずれか。この馬は戦歴的にも後者で、かなり厳しいでしょう。

アラタ

雪が舞い、上がり37秒にもなるようなレースで勝ち、それ以前はお話しにならないような大差負け。まず向いていないでしょう。

ヴァルコス

とにかくズブい。ズブい馬の典型例と言えます。

未勝利戦2戦目では3角辺りからスミヨン騎手がムチを入れているのですが、全く動かず、最後の最後にようやく加速して4着入線という状態。セントポーリア賞はマーフィー騎手が早めに仕掛けるものの、勝負所でなかなか加速せず、残り200m辺りからようやく加速し始めたものの、瞬発力の差でセントオブゴールドに差をつけられます。

なので、未勝利勝ち時のように先行するか、距離延長が有効と言え、ゆきやなぎ賞は待望の適条件だったと言えます。

今回も適性距離で、阪神の稍重馬場に比べると東京の良馬場はよりスピードが求められる場ですが、セントポーリア賞で10秒台の脚が使えることも分かっているので、ここでも位置取りをしくらなければ上位に来れてもおかしくありません。

オーソリティ

ホープフルSではこの馬を以下のように評価しました。

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新馬戦はどスローで先行してブラックホールの差しをタイム差無しでしのぐ辛勝。

芙蓉Sは前半1,000m1分4秒というスローでのレース。ワーケア新馬組の1頭であるウインカーネリアンを差して勝ったのは評価するのですが…。

個別ラップは11.5-11.6-10.9(実測上がり3F34.0秒)で長い脚を持続するのには長けていると思われますが、前半がもっと流れると削がれる可能性はあり、どこまで評価して良いか悩ましいところ。。
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ホープフルSでは、上記で疑問視していた通り、流れる競馬に対応出来ず、ヴェルトライゼンデより後ろにいながら上がりは遅く、先行したラインベックすら捕まえられませんでした。

上がり3F推移は11.8-12.3-12.3で、恐らく600m地点からスパートをかけたことで脚がそれ以上伸びなかった模様。スローからのちょい差しがこの馬の勝ちパターンで、全体的にペースが上がるとそれについていけずに、終わってしまうものと思われます。弥生賞はまさにその通りになりました。

予想では人気上位になりそうですが、これまで戦ってきた相手が全く違うのでそれも納得のいくところ。弥生賞でもそこそこ流れる中で先行は出来ているので、この馬の得意な形に持っていくことは可能だと思いますが、下手な乗り方をすると沈みそう。足りない馬を上位に持ってくるヒューイットソンの実力が問われます。

サーストンカイドー

若葉Sではこの馬を以下のように評価しています。

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1,400m、1,600mと走って距離延長してきた馬。スローの競馬を一度も経験していないので、個別ラップはどれもワンペースというか、11秒後半~12秒前半を行ったり来たりみたいな形になっています。

これで後方からでも来れているわけですが、新馬戦はかなりのハイペースだったので、フラワーCのチェスナットドレス同様、前が潰れてワンペースでも前を捕まえられた形。
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若葉Sは距離を考えてか、控えて差し損ねという形。やはり上がりはワンペースで前を捕まえるに至らず、逆に1頭差されてしまいます。山吹賞は稍重がこの馬のワンペースの脚に向いたことと、早めに前を捕まえにいったことで後ろからの差しをしのぎました。

どう考えても先行させた方が良いでしょうね。マイルでも先行して粘れるくらいのスピードがあるだけに、控えるのはもったいないです。鞍上が芝ではほぼ信頼ゼロの騎手んおで、陣営の作戦コメントに注目です。

サトノフウジン

この馬は基本的に出ない方針の模様。netkeibaの想定からも外れています。ちなみに、個別ラップ推移を見る限りは2,400mは長いと思われます。というのも、1,600mでの勝利⇒セントポーリア賞での凡走を検証しましたが、レースラップ構成がほとんど変わらないんですよね。しかも1,600mの方が上がりが速い。

新馬のレースラップが遅い⇒次走ペースが速くなって上がりが落ちる、ということならまだよく見かけるのですが、レースラップがほぼ同じで上がりが遅くなっている、というのはあまりみかけません。つまり、距離が長い分上がりの脚に影響が出ているわけです。これは距離が長くなるとより遅くなる可能性が見込まれます。

しかも全兄は2,200mのセントライト記念で大凡走したギベオン。1,600mでの好走も共通していますし。。

ダノンセレスタ

これまで一度も馬券内を外していない堅実さ、どんなペース・馬場にも対応出来ている点は魅力。過去にはアイアンバローズ、ヴァルコスとも戦い、いずれも2着に来ています。

ただ、こういった馬は昇級すると強い相手が重なってしまって通用しなくなるということもままあるのでピンかパーみたいな扱いで考えた方が良いかもしれません。

4戦してますが、ちょっと特徴がつかみきれないですね。。ただ、控えれば小倉の馬場でも12.3⇒11.1秒へとギアチェンジして差すことも出来ますし、先行すれば流れるペースでも耐えられる(ラップがガクッと落ちない)ので、青葉賞のようなロングスパート戦にも耐えられそうな気はします。そういった意味では、相手関係次第というところでしょう。

ディアスティマ

この馬は友人のPOG馬ということもあって、ずっと気にかけていますがまぁ勝ち切れませんね…苦笑。。でもどんな展開でも馬券内には来る、非常に馬券孝行な馬です。

京成杯では以下のように評価しました。

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新馬戦では珍しく1,000m通過1分のミドルペースで流れたレースながら、残り600m地点で12秒台から11秒台前半へと一気のギアチェンジ能力も問われるレースになりました。
これを逃げながらやってのけたのが朝日杯FSで人気薄大激走したグランレイ。そして2番手からこれに対応し、なおかつ上がり3Fで0.6秒差をつけたのがディアスティマで、この馬のポテンシャルは高いと推測されます。

この時の2着馬も年明けに未勝利を脱出していて、新馬戦の上位のレースレベルの高さがうかがえます。

エリカ賞はあわや馬券外になりそうなところを何とか最後に加速して凌いだ形になりましたが、レースを見る限りこの馬はコーナーでの加速が苦手な可能性があります。

新馬戦ではそれ程加速せず、12秒台でコーナーを曲がったので特に気にはなりませんでしたが、エリカ賞では逃げたヒュッゲが11秒台でそのままコーナーに入って減速せずに曲がっているので、追いかけるパンサラッサ以外の後続がコーナー進入前よりも置かれる形になりました。
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京成杯を見る限り、ガシガシ鞍上が追っている割には、スカイグルーヴとロールオブサンダーに置かれていますし、大寒桜賞でも鞭をいれているディアスティマと、スッと内から馬なりで加速していくメイショウボサツとが上手く対比になってしまっているように思えますね。やはりコーナーでの加速はあまり良くないような気がします。

また、この馬もズブいですね。エリカ賞も大寒桜賞も最初に加速に手間取りますが、最後はグッと重戦車のように伸びてきます。菊花賞とか先行させたら面白いんですけどね。

コーナーがヘタな分をカバーするためにも、青葉賞では真ん中より内枠が欲しいですね。津村騎手であれば先週のハトホルみたく内を上手く捌いてきてくれるはずなので、内枠でロールオブサンダーの番手につけて直線で加速するというのがこの馬の勝ちパターンだと思います。

ディアマンミノル

この馬は後方になる限り厳しいなという印象。1勝クラスと若葉Sでよく分かりましたが、脚が遅い。1,800~2,000mの中距離はこの馬にとっては距離が足りないために、位置が最後方になってしまっているものと思われます。新馬戦の前半1,000m63秒というのはこの馬にとっては良かったんでしょうね…。

若葉Sでは以下のように評価していました。

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とにかく後ろからになる競馬が信頼できないですね。いくら上がり最速を出しても、前も同じような脚使ってるじゃんというのが2回の凡走。好走2回の内、1回は相手が弱かった新馬、もう1回は前が潰れ気味・外差し馬場バイアスだった梅花賞、という具合なので、ハマれば。
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ゆきやなぎ賞でも後方待機になってしまった上に、結局上がりは先行したヴァルコスと同じ。今回も先行して強い馬達が多いことを考えると、かなり戦局は厳しいのではないでしょうか。

フィリオアレグロ

共同通信杯3着の実績が光るサトノクラウンの半弟(サトノヴィクトリーの全弟の方が合っている気がしますが…)。

新馬戦・共同通信杯共に11秒台を持続しているものの、サトノクラウンの下らしくキレない印象。特に共同通信杯では、直線の勝負所でビターエンダーとダーリントンホールがスッと加速して前に出るも、この馬は完全に置かれています。両馬共にそこまでキレる脚はないにも関わらず、です。

これがこの馬の不安ポイントにもつながるのですが、前半600m37秒後半、1,000mが62~63秒というかなりスローペースしか経験がないことを考えると、ペースがもっと速くなった時に、どれだけ最後に脚が残っているか…。

フィロロッソ

マイルの芝経験があるので一瞬「警戒した方が良いかな?」と思いましたが、よく見たら1,000m65秒…これで中団より後ろの位置どりになるということは、そもそも追走する脚がなく、前を抜くだけの差し脚もないということ。厳しいでしょうね。

フライライクバード

ズブい馬、鈍足馬が多い出走馬の中では、1、2を争うキレる脚の持ち主。とは言え、スローを追い込んで前を捕まえる程ではない。

多少流れるペースでの先行経験もあり、トップスピードも高い。そういう意味では最も弱点が少ない馬と言えます。

ただし、4着になった未勝利戦のように、出遅れると差し切れない脆さがあるので、スタートがネックと言えるでしょう。また、これまでの出足を考えると中団くらいの位置になる可能性もある中で、今回は先行して押し切る能力のある馬達が集うため、付け入る隙がないとも言えない。

それでも位置取りさえしっかりしてしまえば馬券内は堅い馬だと思われます。

ブルーミングスカイ

この馬については、ホープフルSで以下のように評価しました。

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紫菊賞、黄菊賞で前を差せていないように、速い上がりが使えないので未勝利戦のように先行した方が良さそう。実際、新馬戦では先行していたルリアンすら差せていないですからね…。

黄菊賞は、下り坂からコーナーにかけてボンボン捲られて位置取りが悪くなったことも凡走の一因でしょう。下り坂でジッとしていたのは正解だと思いますが、4番手に控えたのは良くなかったですね…。
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ホープフルSは先行して厳しい競馬に巻き込まれた形。続く梅花賞は、位置取りが悪くなったものの、コーナーで捲り早めに進出してそのまま押し切りました。位置取りが悪くても早めに前に行くことでこの馬の良さが活きたと思われます。これは福永騎手のファインプレーだったと思います。

逆にすみれSはこの馬の弱点が露呈した形。5頭立ての4番手からで差そうとするも、前を抜くに抜けずに終わりました。しかもレクセランスは最後方からでさっと抜いてしまったことを考えると、明らかにこの馬の差し脚のなさが露呈したように思います。

プリマヴィスタ

新馬で先行経験があったので、ひめさゆり賞でも押さえてはいましたが、まだ3戦しかしていないので、この馬の能力が測り切れません。

ただ、勝ち上がった未勝利戦にしてもひめさゆり賞にしても、差し勢が有利になったレースです。そういう意味では展開に恵まれたと言え、前走の戦績を以て有力とは言いづらいところ。

メイショウボサツ

好走と凡走の落差が激しく、また中京だけやたら戦績が良いという困った馬。前走は対抗評価でしたので、1着は特に不思議ありませんでした。

基本的には中団~後方から差す競馬を得意としており、3戦目はマイルのスピードが合わず、4戦目は馬場、5戦目は勝ち馬にドスローに落とし込まれたことによるところが大きな敗因と言えます。

位置取りが後ろになるものの、馬場が重いと11秒台前半を使うのがやっとというところで、脚が削がれた分、1,800~2,000mの中距離馬の先行勢を抜けなかったり、重馬場でも脚が使える馬に抜かれる、という状況がこの馬の戦績に響いているものと思われます。

そういった意味では、相対的にスピード上位になれる長距離路線の方が、合っているかもしれません。

中京の戦績が良いのは、左回りが良いか、或いは直線が長い方がこの馬のスピードと持続力の高さが活きるからではないか、と思われます。

そういう意味では、青葉賞はうってつけの舞台かもしれません。

レアリザトゥール

芝での凡走を見る限りでは厳しいでしょうね。

ロールオブサンダー

今回の展開のカギを握る馬です。この馬については、京成杯で以下のように評価しました。

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これまで一線級とは戦っていないし(京都2歳Sの上位2頭の実力にも疑問が残るので)、紫菊賞は稍重とは言え1,000m通過63秒前後のペースでは前が残っても不思議ではない状況でした。

初めてまともなタイムで逃げた京都2歳Sでは、直線に入ってすぐ並ばれてなす術なく崩れており、実績程の信頼には足らない印象。2F目はコーナーを曲がっていた分もあっての減速ですが、いずれにしても完全にバテています。

京成杯ではさらに最後に急坂が待っていますし、よっぽどのスローに落とし込まない限り(逃げ先行馬多いので、厳しそうですが)、ちょっと厳しそうな気もします。一応の実績から押さえまでかなという評価です。
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京成杯はこの予想が見事にハマりましたが、この約3ヶ月強でどれだけ成長したかが見物ですが、今回は逃げたい馬もいないので楽に逃げられると思われます。ただ、先行勢が多いだけに遅い逃げではせっつかれる可能性も。田辺騎手の手腕が問われそうです。


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