【コラム】競馬は見た目だけで判断するのは禁物(+おまけ:道悪の話)

去る1/20(土)は小倉と京都、1/21(日)は全場が道悪馬場になり、特に日曜中山の芝レースはダートかと見紛うほどの上がりの掛かりっぷりでした。

そんな状況下で、鮮やかな差し切り勝ちをした馬が何頭かいたわけですが、こういう時の見た目の印象ほどアテにならないものはありません。

にも関わらず、割とそのままの印象を鵜呑みにしているポストが散見されるので、気を付けましょうということでこんなコラムを書いてみました。
是非参考にして頂ければと。

§1:スピードは相対的なもの

さて、見た目の印象ほどアテにならないものはない、と先程述べましたが、何故だと思いますか?

シンキングタ~イム









はい、では答えですが、、

人はスピードを相対的に見ているから、です。

車を運転している方ならよく分かると思いますが、高速を降りた直後に一般道を走っていると、40~50km/hで運転していても、ものすごく遅く感じますよね。高速を走る前は、ちょっと速いなぁとか思ったはずなのに。。

これは速度感覚が麻痺しているわけですが、

人は基準となるスピードに対して速いか、遅いかで判断するため、
高速にしばらく乗っていると時速80km前後が自然と基準になってしまい、一般道での走行速度が非常に遅く感じるわけです。

このように、ある基準から見た速度を「相対速度」と呼びますが、この相対速度は、差が大きい程速く感じます。

相対速度のもとめ方

例えば、
ある車が時速40kmで走っていた場合、

周囲が徐行速度(10~20km/h)で走っていれば・・・
その車が速く見えます。(相対速度 20~30km/h)

周囲が同じ速度で走っていれば・・・
特別速いとは感じません。(相対速度 0km/h)

この場合、周囲の速度が基準になっていますよね。
つまり、時速40kmというスピードは、周囲の速度如何で速くも遅くも感じられるということです。

このように、人が「速いか遅いか」を認識する際には、周囲の速度を基準として見ていることを自覚しておくことが重要です。

では、この現象を競馬に当てはめて見てみましょう。


§1-1:スローからの上がり勝負

例えば、スローの上がり勝負になった場合、突き抜けるような馬はほとんどおらず、馬同士の間隔がジリジリ詰まるか、ほとんど変わらないままゴールしますよね。

東京開催の新馬戦(よくスローの上がり勝負になりがち)

これは、先行している馬も差してくる馬も直線で余力が残っており、後ろの馬とスパートする時の速度にほとんど差がないから
つまり、相対速度が小さい、ということになります。

数値で見ると、画像の時点で先頭にいる馬が上がり3F33.8秒2番手にいる馬が上がり3F33.6秒で走っています。

600m 33.6秒、33.8秒は時速にして63.9~64.3km。
突き抜けるような勝ち方でない分だけ目立ちにくいですが、600mを33秒台で走るというのは、スパート時に速く走る能力があることを示しています。



§1-2:道悪のレース

翻って、ペースがかなり速いレースや道悪のレースにおいては、後続との差がつきやすい、つまり、相対速度が大きい傾向にあります。

というのも、§1-1で挙げたようなレースは大抵どの馬も余力が残っているので、余程スピードがない馬でない限りは差がつきにくい(特に上位)ですが、

ペースの速いレースや道悪のレースは、前者であれば総合的な能力、後者であれば適性やスタミナが問われるため、上がり勝負の時よりも馬によって巧拙の差が出やすくなります。
特に後者は、どれだけ能力が高い馬でも道悪の度合によっては能力を発揮できない場合も多くあります。

象徴的な例で言えば2021年のGⅠ大阪杯。
勝ったのはレイパパレですが、2着以下に結構な差をつけています。

2021年大阪杯

じゃあこのレースは2着以下のレベルが低かったかと言えば、そんなことはなく、スプリント・マイルGⅠを勝っているグランアレグリアや、3冠馬のコントレイルがいたわけです。
にも関わらずこれだけ差をつけられてしまいました。

2021年大阪杯着順

道悪の巧拙もありますが、なにより上がり3Fにかなりの差が出ています。
勝ったレイパパレは上がり3Fが36.8秒で、先頭で走っているにも関わらず上がり最速ですから、2番手以降に大きく差が出るのも当然です。

一方、3着のコントレイルは中団から差してきたにも関わらず上がり3F37.4秒で、レイパパレとは0.6秒の差。4コーナーで番手まで押し上げるも、その後バテてしまい差を縮められなかった形です。

後方からレイパパレと同じ上がり3F36.8秒で突っ込んできたモズベッロはともかくとして、2番手以降はレイパパレよりも遅く走ったことになりますから、相対速度は大きく、故に圧勝のように見えてしまっています。


でも、これって本当に「強い」と言えるんでしょうか?
確かに、見た目ではコントレイルやグランアレグリア相手に何馬身も突き離して勝っていて、めちゃくちゃ強い!ように見えるわけですが、そもそも上がり36.8秒って遅いですよね。

いや、分かってますよ。前半1,000m59.8秒はこの馬場にしては速いですし、レイパパレはその後も色々活躍しています。
それはもちろん分かっていますが、今回は抽象的な「強い」「弱い」といった類の話ではなく、「上がり36.8秒という数値そのものの価値」について問うています。

競馬がいつも同じような道悪馬場で行われるのであればともかく、年間で考えれば良馬場で行われることの方が多いですよね。
そして、競馬の本質は「他の馬よりも速く走ること」であり、当然ながら速ければ速い程良い。

600m 36.8秒は時速にして58.7km。
先ほどスローの例では勝った馬は時速63.9~64.3km。どちらが速い速度で走っているかは一目瞭然です。
(前提条件抜きに速度だけを単純に比較した話です)

つまり、相対速度によって勝ち方そのものは強く見えても、実際の価値は決して見た目通りではない、ということです。


§1-3:スピードと適性

では、上がりが遅いレースで勝った馬というのは、実際のところ強いのでしょうか?
レイパパレはその後も活躍していますが、ヴィクトリアマイル※や毎日王冠のように、マイル並のスピード能力が必要なレースでは馬券内に入っていません。
※ヴィクトリアマイルではあわや落馬という場面もありましたが、上がり3F34.3秒はこの馬のキャリア2位の速さで、そこまで影響があったとも思えません(調教師や騎手は心身のバランスが…とマイル以外のことに敗因を求めていますが)

とある競馬予想家(亀谷氏だったかな?)が言っていましたが、そもそも道悪が得意な馬というのは存在しません。

道悪に強い馬というのは、道悪になることで自分の弱点(=速いスピードが出せない、加速に時間がかかる等)が打ち消されて相対的に優位になる馬のことです。決して水かきがついているわけではありません。

一方、道悪が不得意な馬というのは、道悪になることで自分の強み(瞬間的に速いスピードを繰り出せる等)が低下する馬のことです。
ただし、その低下度合は、個々の能力、道悪の程度によって異なります。絶対的に能力が高ければ走れてしまうという場合もありますし、走法やスタミナ、パワー如何で強みの下げ幅が抑えられるという場合もあります。

よくこういう時の例で考えるのが、人類史上最速のウサイン・ボルト。
彼が整備されたトラック上で走れば、誰も勝てないと思いますが、田んぼで走らせたらどうでしょう?

AI画像生成で作った田んぼを走るウサイン・ボルト

田んぼで走る場合、踏み込む際の地面への力の入れ方、踏み込んだ後の足の抜き方など、トラックで走る時とは違うやり方が必要になるため、ウサイン・ボルトの良さが削られる可能性が高くなります。

絶対的なスピード能力では勝てないですが、挑戦する側の弱点(スピード能力が劣る)が打ち消され、ウサイン・ボルトの強みが低下する条件下であれば、もしかすると逆転できる人が現れるやもしれませんよね?


このように、道悪条件は、速いスピードがそこまで出せない馬にとって、弱点が打ち消されて優位になる傾向にあります。
が、逆に言えば、速いスピードが求められる馬場や、基本的なスピード能力が高い馬を相手にする(距離短縮する)ことになると、その弱点が露呈するということでもあります。

レイパパレは良馬場でも強いですが、彼女の強みは速いスピード(11秒台)を最後まで持続させることにあります。ただし、このスピード能力は中距離以上の相手だからこそ通用するものでもありました。

考えてみれば当たり前ですが、中距離レースでは11秒台を延々と刻むようなレースは少ないですが、マイル以下だと当たり前になります。特にオープンクラスのマイル戦では普通であり、一線級になるとそういうレースでさらに32秒台、33秒台の上がりを使うことが求められます。

つまり、マイルの域までいくと、強みであるはずのスピード能力がマイラー相手だと劣ってしまうわけです。これは、ヴィクトリアマイルや毎日王冠での負け方から明らか。

速いスピードを持続させることに長けているが、速い上がりは使えないからこそ、道悪が得意。と考えれば、道悪の大阪杯での勝ち方にも合点がいくのではないでしょうか?


§1-4:サンライズジャパンは強いのか?

さて、以上を踏まえてもう1つ検証したいのが、若駒S。
このレースを鮮やかな追込で勝ったサンライズジャパンはどうでしょうか?

若駒Sの勝ち方が鮮やかだったので、「クラシックも楽しみ」といった意見も見られましたが、個人的にはむしろこの馬の弱点が完全に露呈したレースだったと捉えています。

元々、ホープフルSではノーマークの馬だったので、何故3着まで来られたのか不思議でした。
当時の理解としては、先行で残ったのがシンエンペラーと本馬で、あと上位にいたのは差し込んできた馬ばかりだったことを踏まえ、

①完成度(2,000をこなせるスタミナが備わっていない馬が多かった)
②有力馬の中に騎乗ミスなどで自滅した馬がいた

という2つの仮説を持っていました。

で、この仮説を検証するため、若駒Sでサンライズジパングに注目していたわけですが、3~4角で明らかな弱点が見えました。

その前に若駒Sの後半1,000mのラップを見てみましょう。

若駒S 後半5Fのラップ
12.3-12.2-11.8-12.2-12.6

600m~400mの区間で11.8秒に入っています。重馬場でスピードが出にくい中、後半で唯一の11秒台ですが、これがちょうど下のシーンに当たります。

若駒Sの4角シーン

誰もが思ったと思いますが、サンライズジパングは「手応えがめちゃくちゃ悪い」「置かれている」んですよね。武豊騎手も2回くらい鞭を入れていますが、全くスピードが上がりません。

ここで、ホープフルSのラップを見直してみましょう。

ホープフルS 全レースラップ
12.5-10.8-12.1-12.5-12.1-12.2-12.1-12.4-12.0-11.5

11秒台以下だったのは僅か2箇所。スタート後200~400m区間と、ラスト200mのみです。全体的にラップが遅いんですよね。
この日の馬場差は-1.0で、特別馬場が軽いわけではないですが、近5年の中では最も軽い部類です(下記グラフ参照)。

つまり、最後の200mを切るまで11秒台が一度もなかったということは、逃げ先行馬がわざと仕掛けを遅らせていたか、シンプルにスタミナがなくなっていたかのいずれかであると考えられます。

特に、もうスパートしていないといけない600~400m区間で12.4秒は遅すぎです。(レースを見る限り、逃げ馬は何もしていませんが、後続は加速しています)

先行していたサンライズジパングとしては、スパート開始の区間でもラップが11秒台まで上がり切っていなかったわけですから、当然若駒Sと比べれば楽な競馬が出来ていたことになります。

ちなみに、サンライズジパングのホープフルSでの上がり3Fは、
12.4-11.6-11.9(3F 35.9)
でした。最後の1Fは不利を食らっているので、もう少しタイムが速かった可能性は高いです。

以上のことから、サンライズジパングについて2つの仮説が生まれます。

①ディープボンドのようにエンジンがかかるのが遅い
②スピード能力が乏しい(11秒台のラップが連続するとついていけない)

§1-5:馬の根本的な適性は変化しない

馬は年齢を重ね、調教を重ね、レース経験を経て成長します。
ですが、勘違いしてはいけないのが、「馬の根本的な適性は変化しない」ということです。

馬1頭1頭のラップと適性を見て競馬予想をするスタイルを始めて5~6年が経ちますが、これまでに、元々持っている適性が変化した、というような馬を見たことがありません。(今後出てこないとは限らないですが)

例えば持続力に長けた馬は、瞬発力を持つことはありません。

成長によってスピード能力が高まり、結果的に短い距離の高速馬場で速い上がりを使える、ということはあり得ますが(例:ライラックの府中牝馬S)、それはあくまで成長によるスピード能力の上昇であって、瞬発力が備わったということではありません。

なので、いつぞやの談話で「ディープボンドに瞬発力が備わった」などという話が出回りましたが、普通はそんなことはないわけです。備わってたらジャパンカップでもっと上の着順にいたはずです。

このことを踏まえると、サンライズジパングの新馬戦で見せた負け方と、若駒Sでのレースっぷりがリンクしてきます。

新馬戦 レースラップ
12.9-11.4-12.0-12.2-12.4-12.0-11.6-11.6-12.0
サンライズジパング個別上がり3F推移
11.7-12.0-12.1(3F 35.8)

レースを見れば分かりますが、残り400m区間を過ぎたあたりから徐々に後続の差し馬に差されて置かれ始め、ラスト200mでは完全に失速したようにすら見えます(これも相対的なものです)。

これ、完全にスピード負けしているんですよね。つまり、速い上がりが使えない。

で、ホープフルS、若駒Sと上がり3Fを比べてみると、、、

新馬戦      11.7-12.0-12.1(3F 35.8)
ホープフルS 12.4-11.6-11.9(3F 35.9)
若駒S    12.1-12.0-12.0(3F 36.1)

すごいですね、馬場、距離問わずすべて上がり35.8~36.1秒内におさまっています。ホープフルSは最後の1F不利があったので、もう0.1~0.2秒速かったかもしれませんが、それでも35秒台後半。

ここまで来れば、ある程度この馬の本質が見えたのではないでしょうか。
以下はまとめの仮説です。

①スピード能力に乏しい可能性が高い
⇒どのレースでも上がり35秒後半でまとめる。馬場が軽ければもう少し速いかもしれないが、新馬戦の負け方から、速い上がりが求められるとスピード負けする。

②速い脚(11秒台前半~後半)を持続させる力がない
⇒どのレースでも上がり3Fのどこかに12秒台があるように、11秒台の速い脚を3F以上持続させるようなレースには対応できないと思われる。
成長すれば11秒台後半を持続させることは出来る可能性はあるが、レース上がり34秒台より速いレースには全く向かない。

これらの仮説が正しいかは、もっと後にならないと判明しませんが、次は弥生賞だそうなので、仮説検証のためにも、馬場が速ければ私は無印にすると思います。


§2:芝の道悪の考え方

§1-2、1-3で芝の道悪について触れたので、ついでに道悪の考え方についてもここでまとめてみたいと思います。

§2-1:道悪には4種類ある

ワタクシ、昔は道悪大嫌いで、週末に雨予報が出ようものなら、なんとかならんかとおまじないを実践したり、勝負時には気象神社に行くほどだったんですが、

クッション値の発表を契機に、馬場についてじ~っくりと何年にもわたって見ていたところ、ひとくちに「道悪」と言っても色んなタイプがあること、馬の適性によっては「雨が降った方が狙える」など、攻略の仕方が段々と分かってきました。

道悪で生じる現象については、時々Xでもつぶやいてはいますが、それらをまとめたのが以下の4種類になります。
①似非道悪馬場
②前残り馬場
③普通の道悪馬場
④ダート並の道悪馬場

なお、これらは、雨量、馬場の傷み具合、含水率など様々な要因が複雑に絡み合って生じる現象のため、この数値ならこうといったものはありません。
馬の挙動や上位馬の脚質、レースの上がり等を踏まえてどういった馬場かを判断する必要があります。

ただ、こういう傾向があるとこのタイプの道悪です、というのは分かっているので、判別する際の参考にしてみてください。


§2-2:道悪① 似非(えせ)道悪馬場

特に東京開催やその他場の開幕週で起こりやすいですが、JRA発表では稍重・重でも、実際のところ全く道悪でないケースがあります。

稍重・重馬場なのに時計/上がりが速い、というケースは大体コレです。
例で言えば、昨年のアスター賞や紫苑Sの日がこれに当たりますが、稍重判定でもめちゃくちゃ軽い馬場でした。

2023年9月9日 中山9R アスター賞

たまに「このレースは稍重なのに時計が速い、この馬は優秀だ」みたいなことを書いているのを見かけますが、9割方JRAの発表をそのまま鵜呑みにしてこのケースにハマっている場合が多いです。
実際、アスター賞組は、色々事情があるにせよ、その後結果は出てませんよね。

見分け方ですが、マイルのレースで、
①前半そこそこ流れて、中盤も緩んでない(12秒台がない、或いは1Fのみ)
②上がりが33秒台出せている馬がいる(東京の場合は上がり33秒前半)

上記2つの条件が揃えば、確実に軽いと見て良いと思います。

実際、アスター賞は、前半3Fが35.1秒、中盤2Fの内12秒台は1Fのみで、勝ち馬キャットファイトの上がりが先行して33.7秒。上記の条件に当てはまりますよね。

自分が天邪鬼な性格であることもありますが、こういった場合は、まず「稍重」発表を疑うべきだと思うんです。

色んな条件を差し引いても驚くべき数値をたたき出せるような馬というのは、1~2年に1回出るかどうかというレベルです。そう毎年毎年出現するようなことはありません。

そして、これも覚えておいてください。
古馬GⅠレース以外で、ラップがすごいなと思うレースの9割は、ほぼ超高速馬場の恩恵を受けています。


§2-3:道悪② 前残り馬場

雨で馬場が非常に重たく、後ろから差す/追い込むことが難しくなる馬場逃げ・先行馬と、後方の馬の上がりの差が小さいという分かりやすい特徴があるので、重馬場以下でこのような結果になったら前を狙いましょう。

2022年9月24日 中山6R 3歳以上1勝クラス <不良馬場>
前への強烈なバイアスにより上がりの差が小さい

年間でも何度か見かける馬場ですが、特に雨が降っている中での開催で発生しやすい傾向にあります。

また、前述以外の特徴としては、以下の3つがあります。
①逃げ馬、先行馬優位
②差し馬、追込馬はなかなか差せない。道中で位置を上げるとその消耗でバテてしまい脱落する。
③ただし、内ラチ沿いをまわってきた差し馬は馬券内に来ることがある

どういう時がこの状態?と思う方は以下の日のレースを見て頂ければと。
■2021年4月4日@阪神
■2021年9月26日@中京
■2023年10月28・29日@新潟

この馬場状態では前へのバイアスが発生しているのですが、馬の能力でどうにかなるレベルを超えてしまっているくらい超強烈です。
それは前述の例で挙げた2021年の大阪杯でコントレイルが3着に敗れたことからも分かると思います。

ただ、馬券的にはとりあえず前と内狙っとけば当たるという確変状態になるので、稼ぎやすいと言えば稼ぎやすいです。
上記、2023/10/29の新潟最終レースでベガリス軸で大量に馬券買いましたが、まさにこれでした。(3連はずしたけど…涙)


§2-4:道悪③ 普通の道悪馬場(稍重~重)

JRAの発表通りそれなりに時計が掛かり、かつ前残りバイアスがない「ごく普通の」道悪です。

重に関しては度合にもよりますが、総じて巧拙の差がまだそこまで出ない馬場なので、劇的に荒れるようなことはなく、実力がそのまま反映されやすいです。

なので、特段解説するような話もなく、そこまで道悪を気にせず普通に予想していいレベルです。

§2-5:道悪④:ダート並の道悪馬場

1/21の中山がまさにこれですね。
レースの上がりが36秒以上掛かるような道悪馬場で、極端なバイアスはないものの、どちらかと言えば前の方が先にバテてしまい不利になりやすい傾向にあると言えます。

馬券の狙い方はコレ、とハッキリは言えないのですが、
スピード能力がほぼ意味をなさなくなり、スタミナ勝負になりやすいため、個人的には、おおよそ以下のような条件の馬を探しています。

①当該走行距離よりも長い距離での実績
②上がりが速いレースで凡走、上がりの掛かるレースでの好走経験アリ

1/21の中山最終レースでは、1~3着馬は上記①②にしっかりと当てはまるんですよね。

1/21(日)中山12R 4歳以上2勝クラス

馬券的にはマイネルダグラスと、もう1頭狙っていたアルファウェーブのどちらかは来ると見て、その2頭から条件該当馬に流しました。


§2-6:クッション値と馬場の軽さに相関はない

最後にもう1つだけ。

2020年から発表されるようになったクッション値、皆さんはどのくらい参考にしていますでしょうか?

人によっては、○○だから軽い!といった形で判断されている方もいらっしゃるようですが、3年+α経ってデータが豊富になってきて検証したところ、

馬場の軽さとの相関がない

という結論に至っています。というか、統計的に証明できています。

正確には、極端な馬場(例えば重・不良馬場)であれば参考にはなりますが、それ以外の馬場状態だと精密な馬場の軽さの判定は出来ません。


2021~2023年東京開催のクッション値と馬場差の相関

このグラフは2021~2023年の東京競馬場開催で発表されたクッション値と、馬場差(グリーンチャンネル「先週の結果分析」で発表される)との相関を検証したものです。クッション値がx軸(横)、馬場差がy軸(縦)になっています。

ちなみに、グリーンチャンネルの「先週の結果分析」で発表される馬場差はかなり信頼度が高く、§2-2の似非道悪馬場の検証にも使えます。


通常、相関があると判定する場合、赤色の線に沿って左下から右上へ●が並ぶような形になるのですが、グラフではそうなってないですよね。

超高速馬場(馬場差-2.5以上)と並の馬場(-1.0前後)がほぼ同じクッション値だったり、重ための馬場(馬場差±0.0)と高速馬場(-1.5~-2.5未満)が同じクッション値だったり、と同じクッション値でも馬場の軽さに差があり過ぎるんです。

実際、相関分析や重回帰分析といった統計的な検証も行いましたが、いずれも相関は無し。むしろ含水率の方がやや相関があるかなくらいのレベルでした。

もっとも、このグラフを出さずとも、2020年の開始当初から中山競馬場のクッション値が既におかしかったんですけどね。

2020年9月12日のクッション値は11.2で、今見るとめちゃくちゃ速いんじゃないかと思うんですが、この開催は野芝にも関わらずずっと馬場が重たい状態。この反省から、翌年以降9月の中山開催の芝の調整方法を変えた程でした。

というわけで、グリーンチャンネルの回し者ではないですが、馬場の軽さを精密に知りたい場合は「先週の結果分析」を見ることをおすすめします。

当日の馬場が知りたい!後から馬場差を知っても意味ないじゃんと思うかもしれませんが、使い方は違います。発表された馬場差を記録しておくのです。

そして、例えば自分が馬券を買わないレースである馬が走ったとすると、
その結果は30分~1時間後には、
レースのラップ、上がり、各馬の前半3F走破タイムなどが各競馬専門誌などで見られます。(個人的に競馬ブックWeb会員になってチェックしてます)

で、それらを、同コース・距離に以前出た時と比較するんです。

以前出走した時の馬場差さえわかっていれば、ペースや中盤、そして各馬の前半3F上がり3Fを見比べることで、その時より馬場が軽いか、重いかが見えてくるはずです。
(個人的にはこのやり方にもうひと手間加えて馬場差このくらいかと判定しています)

特にマイル戦で比較するととても判別しやすいです。

ちなみに、以下のサイトに、これまでの先週の結果分析の馬場差のアーカイブがありますので参考にしてください。


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