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日本ダービー(GⅠ)・各馬評価<前半>

皐月賞について補足

前回のnoteで皐月賞について、ラップから振り返ったのですが、非常に大事なことを1つ忘れていました。前残りが起こったのには、もう1つ要因がありました。

レースラップの推移を見てみると、

12.1-11.7-12.5-11.9-12.1-11.4-11.9-12.1-12.3-12.6

このようになっています。が、重要なのは太字にした部分。

1,000mを通過してからいきなり0.7秒も速くなり、そのまま減速ラップが続きます。

レッドベルオーブが前に進出し、ワールドリバイバルと(横から見ると)半馬身差になったところが1,000m通過直後ですので、レッドベルオーブの動きを見て、ワールドリバイバルがハナを取らせまいと加速した結果起こった事象と言えます。(下写真参照)

キャプチャ2

最後までラップが上がり切らなかったのは、前半1,000mが60.3秒と馬場が重たい割にはそこそこ速い流れになり、息を入れるべき中盤でラップが速くなったことで、全馬がバテバテになる消耗戦の様相を呈したからだと思われます。

隊列自体がさらに縦長になるということもなかった(最後方にいたイルーシヴパンサーだけ離されたくらい)ことから、後方もこの加速に付き合ってしまったのではないでしょうか。

しんどい状況で後方から位置を上げていくだけでも大変ですし、外を回せばそれだけでロスになります。

先行した馬、内を立ち回った馬が上位になったのは、先行した馬に有利な馬場バイアスに加え、消耗戦ラップになったことも大きな理由になっているハズです。

内よりも外の方が馬場が良かったとしても、結果的に距離ロスを補える程の差ではなかったということでしょう。

改めて、各馬評価

せっかくの日本ダービーということで、各馬の戦績表や評価もちょっと派手な仕様にしております。

また、これまでのレースぶりから想定されるレースの適性範囲を馬場の低速⇔高速、ペースの遅⇔速をクロスさせて分かりやすく図示してみました。

あくまで、これまでのレースを元にしているので、実はこの範囲に適性があったということが後に分かることもありますし、また、イメージ的な部分も大きいのでちょっとしたズレはご了承ください。。。

アドマイヤハダル

図1

図3

評価:適舞台。先行力とスパッと使えるキレ脚が生きる位置・枠が希望。

皐月賞では以下のように評価しました。

課題となる厳しいペースへの対応力ですが、アイビーSを見る限りやや不安。というのも、上がり3Fの推移を見る限り、最後の1Fでガクッと上がりが落ちていますし、先行したスパイラルノヴァを交わせずに終わっているためです。
(中略)
一方、エリカ賞や若葉Sを見る限り、スローからの上がり勝負では強いことが分かります。特に若葉Sでは残り200m通過からの後続の突き離し方はなかなかのものです。シュヴァリエローズと上がり3F推移を比べるとよく分かりますが、残り400mから離されていますよね。
(中略)
エフフォーリアも似たようなタイプですが、ダービーの方が向いている気がしますね。

皐月賞では1枠という好枠を生かし、道中はエフフォーリアの後ろへ。そのまま最後の直線までその位置をキープしてついていきます。

しかし、4角でルメール騎手はそのままエフフォーリアの通った道をついていくのではなく、点線の矢印の方向へと外に回します。この選択がステラヴェローチェとアドマイヤハダルの命運を分けました。

図21

外を回したアドマイヤは4着、そのまま内をスルスル抜けてきたステラヴェローチェが3着で、その差はクビ差。

ルメール騎手は直前の9Rにのり、外が伸びた(ように見えた)ことを確認しました。これにより、外を回した方が良いという判断をしたということです。

ただし、そもそものところで、戦前で持続力勝負はどうかと思っていたので、むしろ皐月賞4着はかなり健闘したと考えます。個別ラップ推移を見ても、12.4-12.5-12.2と最後までラップが落ちずにジリジリ伸びているので、余力は僅かながらも残っていたと思われます。

ダービーでの戦い方ですが、一番良いのは、若葉Sのように好位からスルッと抜け出し、後続を出し抜くという戦い方でしょう。内枠に入って距離ロスなくスムーズに運べると良いかと。最大の敵はスタートが上手くない鞍上ですかね…。

ヴィクティファルス

図4

図5

評価:高速馬場×トップスピード戦はこなせるが…逆転は至難の業。

皐月賞では以下のように評価しました。

スローの上がり勝負と、時計が掛かるレースの両方に対応できていますが、新馬戦で最後に2着馬(その後未勝利の掲示板内外をウロウロしているように、そこまで強い相手ではない)に少し迫られていたり、共同通信杯ではエフフォーリアに途中から離されているように、上がり勝負に強いというわけではないと思われます。

むしろ、スプリングSで後ろから300mの直線だけで一気に差し切ったように、時計の掛かる馬場での差しが得意なのではないでしょうか。

(中略)

ペースが上がり、かつ距離延長という二重苦が待っている中で、どこまで対応できるか。また、テンの速さで言うと、ヨーホーレイクの次に遅い馬ですので、後方からの競馬になる可能性が高いです。経験のないペースで前が潰れていく中でどれだけ脚が使えるか、でしょう。突き抜けるのは相当にしんどいと思われます。

戦前で「共同通信杯組が強い」という言説が広がったことで、この馬は4番人気にまで推されました。しかし結果は9着。7着のディープモンスターから0.7秒も離されての入線でした。

4角で外を回した1頭ではありますが、ディープモンスターからさらに0.7秒も離されてしまっていること、そして、上がり3Fがタイトルホルダーよりも遅いことを考えると、今回の凡走を「外を回したから」という理由だけで片付けるにはかなり無理があります。

で、1つ考えられる仮説として、この馬、スタミナがそこまでないのではないでしょうか。

実際、お姉さんのヴィルトゥオシタは芝1,400mで好走歴がありますし、お母さんのヴィルジニアも芝1,600m~2,000mの好走歴はあるものの、距離が延びるほど好走頻度は落ちています。

<ヴィルジニアの戦績>

図22

オークスのソダシの項で書きましたが、スタミナは先天的には母親由来とされています。
※有酸素運動に関係するミトコンドリアの質が母馬に影響されるため

故に、ダービーではスローになりそうな点はプラスではあるものの、距離延長はマイナスの可能性があり、東京2,400mになって条件が大きく好転するわけではない以上、逆転は難しい可能性も。

エフフォーリア

図6

図7

評価:ダービーは適舞台。敵は己か2400東京に潜む魔物か。

皐月賞は以下のように評価。

この馬は世代屈指のトップスピード能力を持っており、上がり3F推移でも10秒台を出せています。

ただし、最大の不安点はここまで前半1,000m60秒を切ったレース経験が1度もないところ。加えて、新馬戦は上がりが掛かるレースで勝ってはいますが、最後に2着馬に詰め寄られており、その2着馬は昇級後成績が冴えない程度のレベルであることを考えると、果たして激流になった時に対応出来るのかどうかというと少々怪しく感じます。

また、上がり3F推移を見ると分かりますが、共同通信杯では2F目で10秒台まで上げるものの、最後の1Fはラップが落ちているように、持続力にやや疑問符。(早めスパートをかけてはいますが)

東京コースでの好走が目立つだけに、皐月賞は不安視されていましたが、結果的に好位から抜け出して0.5秒差で3馬身突き離しての勝利。

個人的には不安派で、やられたなと思ったものの、これまでの皐月賞の分析から、多少位置どりと展開で恵まれたところもないとは言えません。

とは言うものの、皐月賞の上がり3Fを見ると、距離延長自体は問題ないですし、共同通信杯では後半4F45.7秒というかなり速い上がり勝負を勝ち切っており、ダービーへの対応も大きな問題はなさそう

また、前走ベースで考えれば好位につけられそうな点もダービーを勝つ上では非常に大きいプラス材料です。

ただし、ダービーが確実視されていたサートゥルナーリアが大出遅れを喫したり、ペースが例年とは全く違うとてつもないハイペースになったりと、順当に勝ち切ることが難しいのがダービー。

例えば大外枠になった挙句、出遅れるといったようなことにでもなれば、一気にピンチに陥る可能性もあります。

競馬に絶対はありませんから、人気が集中することを考えると、枠や馬場の傾向なども見て慎重に検討したいところです。

グラティアス

図8

図9

評価:高速レース未経験。未知の力でどこまで巻き返せるか。

皐月賞では以下のように書きました。

(皐月賞までに流れたペースで一度も走っていないことについて)潜在能力でやれてしまう可能性もないとは言えません。しかし、たった2戦しか経験せず、しかも2戦とも1,000m通過60秒を切ったことがないどころか、66秒と63秒という新馬戦並のペースしか経験がないというのはどう考えても致命的な経験不足です…。

なお、京成杯は、馬場差を考えると、残り800m地点からはロンスパには入っていると思われますが、そのレースで先行して上がり推移が12.1-11.1-11.7。

4角で手が動く外の馬たちに対して、ほとんど動いていなかったのと、騎手の指示でスパッと前に行けた(12.1⇒11.1へギアチェンジ)のは良いですが、新馬戦みたいなペースでずっと内を立ち回っていたのですから、出来て当たり前くらいに思った方が良く、何とも判断が難しい馬です。

とにかく、ペースの経験がないことについて、大きなマイナス評価をしていました。実際馬券には絡まずに終わりましたので、この読みは間違っていなかったなと。

ただ、思ったよりは大敗しなかったなという印象で、これが実力によるものなのか、或いは馬場のバイアスと消耗戦のペースになったことが功を奏したのかはまだはっきりとはしません。。

上がり3F推移を見ると、12.5-12.5-12.2となっています。バテずに最後の1Fで伸びているように見えますが、4角でアサマノイタズラにぶつけられて不利を食らっています。

図23

400~200m区間でも手前の200mと同じ12.5秒になっているのは、本来加速するところでぶつけられたことで、加速しきれなかった影響と言えるでしょう。

加速しようとしていた時に一度ペースを乱されるのは馬にとっても辛く、馬券内は厳しくとも、ヨーホーレイクに対しては差を詰められていた可能性が十分にあると思われます。

今回のダービーは皐月賞の時と打って変わって高速馬場への対応が未知数。

唯一、新馬戦で東京を走っていますが、稍重とは言え前半1,000m66.1秒は流石に遅すぎ。もう少し突き離しても良さそうなところですが、モズマンジロウ相手に一度詰められていることを考えるとそこまでトップスピードが高くない可能性も。

とは言うものの、テンはそこそこ速いので、前残りには気を付けたいところ。

グレートマジシャン

図10

図11

評価:高速馬場は問題なしも、地力勝負になると脆さも。

新馬戦、セントポーリア賞と連勝した後、毎日杯へ。

その毎日杯は1,000m通過57.6秒というマイル並のペースになりました。
レースラップは以下の通り。

毎日杯 レースラップ 12.4-11.2-10.9-11.4-11.7-11.9-11.5-11.2-11.7

これを上がり34.0秒で走ったのは評価できるところですが、気を付けたいのはこの日が超高速馬場であったということ。額面通りに受け取るのはかなり危険です。

なにせ、これまでどんな競馬場でも、どれだけスローペースになっても33秒台を1度しか使ったことがなかったリメンバーメモリーという馬が、この日に33.5秒を出しています。

リメンバーメモリーに関しては、距離短縮に加えて、馬場状態にしてはペースが遅かった恩恵があったにしても、「かなり速い」馬場であったことは確か。本命視していたルペルカーリアについて、「この馬場はマズい」と思った程でした。

とは言え、この馬がこれまで経験していた中盤に12秒台が連発する中緩みからの瞬発力勝負とは違い、11秒台がずっと続く持続力勝負となった毎日杯でも好走できたことはプラス材料。

この馬にとっても良い経験となったのではないでしょうか。実際、上がり3F推移を見ても、11.9-10.8-11.3と、10秒台までギアを上げられています。


ただし、シャフリヤールの項で書きますが、最後の1F11.3秒というのは、シャフリヤールと同じ脚色になっており、最後の1Fでは差を詰められていなかったということになります。

つまり、グレートマジシャンは、持続力勝負には対応できるものの、適性面での差を埋められる程ではない、ということは覚えておくべきところでしょう。

兄弟は2,200m以上の長距離カテゴリで好走してきているので、距離延長は恐らく問題ありません。

対エフフォーリアという点で言えば、テンの速さがカギになります。極端に遅くはないものの、このメンツの中ではちょうど真ん中辺りのテンの速さになるので、上手くエフフォーリアをマークしながら道中運べるような枠が望ましいのではないでしょうか。

サトノレイナス

図12

図13

評価:出足は出走馬中最遅。展開次第なところも。

牝馬のダービー挑戦は7年ぶり。ライバルであるソダシが敗れた舞台でどこまで戦えるか。

個別上がり3F推移
阪神JF 12.0-10.9-11.0
桜花賞 11.9-10.4-10.6

上がり3Fを見てもらえれば分かるように、キレ脚という点では恐らく世代屈指。桜花賞は馬場状態が良すぎたことで10秒台を2F続けて出していますが、阪神JFでも10秒台までギアを上げているので、眉唾と言う程でもないでしょう。

また、桜花賞では大外枠が災いし外から差しての2着でしたが、阪神JFで見せたように、馬群を捌く経験もしているので、差し馬でも枠自体は内でも枠なりにロスなく立ち回ることは可能と思われます。

ただ、この馬にとって大きい問題は、

①コース替わりに伴う強烈なバイアスの発生
②牡馬との競馬
③2,400mへの大幅な距離延長

この3つ。

1点目は、例年Cコース替わりになると、ダービーの日は強烈な先行バイアスがかかるというところ。2018年は前にいた人気薄が残っていましたし、その前の平地でも普段なら箸にも棒にも掛からない逃げ馬が残ってしまう事象も起こっていました。

今年も同じようなことが起こるかはまだ分かりませんが、平地のレースを注視しながら、同じようなことが起こるようであれば後方から運ぶサトノレイナスには苦しくなるでしょう。

鞍上がルメール騎手ですから、追込み一辺倒のような競馬はしないでしょうし、馬場状態を見ながら位置を上げるなどの調整はしてくると思われます。しかし、ここまで自分で動いてレースを動かすようなことはしていませんから、それをいきなり本番でやって対応できるかは未知数です。

2つ目は牡馬との競馬。デビュー以来一度も牡馬と走ったことがないんですよね。そうした中で、いきなり一線級の牡馬の中に1頭だけ入って、マークされてぶつけられるようなことにでもなれば、委縮してしまったり、何かあってもおかしくはありません。

最後に一気の距離延長。距離が延びた方が良いのはレースぶりを見ても分かるのですが、マイルでも後方からになり過ぎて、結局今回のメンツの中でもほぼ最後方レベルでテンが遅いのが気になります。

結局のところ、短距離で脚を溜めているからこそ、キレ脚が使えるという側面があることは否めず、いきなりの2,400mで、桜花賞と同じような脚が使えるかは分かりませんし、後方でなす術なく沈む可能性もないとは言えません。

人気の1頭になりそうな分、取捨には慎重になりたいところです。

シャフリヤール

図14

図15

評価:高い持続能力の持ち主。兄弟に2400m実績がなく、距離がカギ。

皐月賞馬アルアインの全弟として注目された馬。共同通信杯では3着と賞金を積むことが出来ませんでしたが、毎日杯で見事1着となり、ダービーへと駒を進めました。

毎日杯のレースそのものはグレートマジシャンの項で触れましたので、ここでは触れません。むしろ重要なのはここまでのレースで導かれるシャフリヤールの特性でしょう。

この馬はトップスピード戦(上がり勝負)に対応は出来ますが、より適性が高いのはスピードの持続力勝負でしょう。

共同通信杯では、後方からの競馬となったことでヴィクティファルスに遅れをとる形になりましたが、上がり3F33.4秒と出走馬中2位の末脚を繰り出しています。

ステラヴェローチェを抜き、内を立ち回ったキングストンボーイの猛追を退けたことを考えると、トップスピードもそこそこ持ち合わせていると考えられます。

一方の毎日杯は高速馬場とは言え、マイル戦のようなラップになったことで、上がりの速さよりも速いスピードの持続力が問われました。

ここで特筆すべきはグレートマジシャンよりも前にいながら最後の1Fが11.3秒と同じ脚色になっている点。

毎日杯 個別上がり3F推移
シャフリヤール   11.6-11.2-11.3
グレートマジシャン 11.9-10.8-11.3

10秒台までギアを上げている点から、トップスピード面ではグレートの方が上ですが、次の200mでラップが11.3秒に落ちているのに対して、シャフリヤールは11.2→11.3とほとんどラップが落ちていません。

お兄さんのアルアインなんかもそうですよね。元々マイルを使っていた馬で道悪なんかも得意でしたが、こうした馬はキレ脚、トップスピードよりも持続力に優れています。

故に、ダービーがあまりにスローになるとこの馬にはマイナスでしょう。対応は出来るものの、共同通信杯と比べても相手が強くなっているため、1着はもちろんのこと、馬券内も厳しくなってきます。

また、この馬のもう一つのポイントは距離だと考えています。
全兄であるアルアインとダノンマジェスティの戦績を見てみましょう。

〈アルアイン 戦績〉

キャプチャ

〈ダノンマジェスティ 戦績〉

キャプチャ2

2,200mまではこなせているものの、2頭とも2,400mでは掲示板がやっとという状態。

また、この2,200mの内容をよく見ると、
〈アルアイン〉
京都記念⇒道悪
セントライト記念⇒ロンスパ
オールカマー⇒ロンスパ


〈ダノンマジェスティ〉
木曽川特別⇒ロンスパ
大寒桜賞⇒道悪

こんな具合です。中山と中京の2,200mはコース構造上、ロンスパになりやすい傾向にあります。だからこそ、持続力勝負に適性がある馬にとってはもってこいの条件というわけです。

しかし、距離が延び、かつ持続力よりもトップスピードが求められると、この血統には厳しくなってくる、ということではないでしょうか。


ステラヴェローチェ

図16

図17

評価:持続力戦大得意で、高速スピード勝負になると…

皐月賞では以下のように評価。

通常、マイルに適性のある馬は「速い脚を持続する」力に長け、中距離馬は速い脚を持続するのが苦手な一方トップスピードには長けているものです。
※ちなみに、速い脚を持続できかつ、さらに高いトップスピードを持つ馬がアーモンドアイやグランアレグリアといった化け物になります

そういった意味では、ステラヴェローチにとって、共同通信杯は適性外のレースだったと言えます。

朝日杯FSでは、前半600m33.7秒、前半1,000m56.9秒というかなり速いペースの中をそこそこの位置で追走し、かつ最後の直線では11.6秒から10.6秒までギアを上げており、基礎スピード能力の高さはもちろんのこと、そこそこのトップスピードを持っていると言えます。

この馬は皐月賞の◎でした。

振り返りで書いた通り、ステラは内枠を活かして、エフフォーリアが通ってきた道をそのままたどってきたことで、距離ロスなく走り、アドマイヤハダルを首差退けました。

また、上記に書いた通り、トップスピード戦には長けていない分、皐月賞はこの馬にとって適性内であったことも確かです。

皐月賞は条件的に色々恵まれた上でのダービー。2,400mへの距離延長は、共同通信杯程の高いスピード勝負にはならないにしても、速い上がりが必要な分、どこまで対応できるかは未知数。

さらに、前有利な馬場状態になると、中団から後ろくらいの位置取りになるこの馬にとっては厳しい戦いとなるでしょう。

皐月賞同様、内枠を引いて上手く立ち回りたいですし、シャフリヤール同様、持続力勝負になって欲しいところでしょう。そうなれば一気に浮上してくる1頭ではあります。


タイトルホルダー

図18

図19

評価:低速で逃げられれば強い。レースのカギを握る1頭。

皐月賞では以下のように評価しました。

この馬の特徴は、東スポ杯では11.7⇒10.8に、弥生賞では11.6⇒11.2と加速しているように、スローからの上がり勝負であれば、この馬自身も逃げ先行ながらもそこそこの上がりが使える点にあります。

弥生賞はスロー濃厚でしたし、(スロー連発だったとは言え)前にかなりのバイアスが掛かっていた日でもあります。この馬が勝つのもある意味納得ではありました。

寸評に書いている通り、この馬もまたスローで強さを見せているだけに、厳しいラップになった時にどうなるかは未知数です。

上に記載していた通り、この馬はスローに強く、ペースが流れそうな皐月賞はどうか?と疑っていましたが、何とか対応してきました。

ただし、何度も書いた通り、後続にも厳しい競馬になったことも確かで、皐月賞を以て強い弱いを判断するのは難しいところです。

今回も出走馬の中では最もテンが速い1頭で、前有利になりがちなダービーにおいては、先手が取れるというのは非常に大きい

また、逃げ或いは先行して、スパッと上がりを使える(しかも東スポ杯で10秒台までギアを上げられている)点では、過去皐月賞で好走した逃げ先行馬の中でも、東京2,400mの方がむしろ適性は高そうというイメージです。

誰も主張しなければ逃げればいいし、誰かがハナを主張すれば番手でついていければいい、という戦法は、イチかバチかの決め打ち騎乗をしがちな田辺騎手にとっても、分かりやすく乗りやすいことでしょう。

バスラットレオン、バジオウとの兼ね合いはありますが、ダービーでは最も切ってはいけない馬の1頭と言えるのではないでしょうか。

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