皐月賞(GⅠ)・各馬評価

【注意】
今年は本当に難しいです。
トラックバイアスや当日の馬場状態を見て考えますので、もしかすると「消」だった馬を上げる可能性もないとも言えません。
変更があれば更新しますが、あくまでこの記事はご参考までに。。

14時50分追記
野島崎特別で3着に入ったのが前半3F38.2秒で進んだエープラスでした。
シャザーン、マイネルラウレアを消から△に上げます。

さて、いよいよ皐月賞が近づいてきました。
まずは枠順から展開予想をしつつ、各馬評価をしていきたいと思います。

レース展開

平均テン1Fに基づく位置取り想定

テン1F/3F比較表
皐月賞出走馬|テン1F/3F比較表
テン1Fに基づく位置取り想定
平均テン1Fに基づく位置取り想定

枠順が発表されての第一印象は「外にやたらと逃げ先行勢が揃ったな」という点。

真ん中枠のホウオウビスケッツがテンの速さを活かして内と外を見ながら、好位で運ぶ競馬を選択し、その後ろにトップナイフファントムシーフが続きそう。

内枠では中間ゲート練習をしているというグリューネグリーンがいるので、石川騎手が何が何でも前に行くでしょう。

ただ、同じくゲート練習をしているグラニットが外からハナを取りに行き、タッチウッドがそれに続く形。

タスティエーラベラジオオペラは、トップナイフファントムシーフら真ん中枠勢を見ながら内へ切り込んでいくことが考えられます。(10~12枠の馬の出足がやや遅いのでガラ空きになって切り込みやすい)

皐月賞展開予想

はい、某YouTubeでやっていた「教えてF永先生」的にちょっとやってみました。

その後の隊列はこんな感じかなぁ・・・という。
すみません、これはあくまで試行錯誤しての1つのパターンくらいに思ってください。

極端なパターンでは、タッチウッドが制御できず、グラニットと2頭でガンガン後ろを突き離すようなこともあり得そうな気もしますし、
グリューネグリーンの調教師は「(石川騎手に)納得のいく競馬をして欲しい」と、何としても前行けよというプレッシャーをかけています。(周囲は無理だろって言ってるっぽいですけど)

いずれにしても、ここ数年見られなかった前が速くなるレースが見られるかもしれません。

トラックバイアスが発生しやすいレース

と、ここまで色々書いたんですが、、、
どこまでいっても、当日のトラックバイアスというか、開催も最終週で馬場のどこが伸びるかというのが大きなポイントになってくると思います。

ここ数年で明確なトラックバイアスがあったのは、

2020年(コントレイル優勝)⇒前日降雨、「内」を回した馬が全滅
2021年(エフフォーリア優勝)⇒前日降雨、「外」を回した馬が全滅
2022年(ジオグリフ優勝)⇒金曜降雨、「内」を回した馬が全滅

の3回。
2018年は当日雨、2019年は前日も当日も晴れで、上記のようなめちゃくちゃなトラックバイアスはありませんでした。

開催前の降雨、というのがトラックバイアス発生のポイントかもしれませんね。今日土曜日はずっと雨、明日日曜の朝方まで降り続く予報です。

ただ、上記の通り、「内」が死ぬか「外」が死ぬかは何とも言えません。
確か2021年は、横山武史が午前のレースで「内が死んでない」という感触をつかんでの好走でした。(午後のレースは乗っておらず)

誰がどこを回そうとしているのか、回して好走したのか、凡走したのか、をしっかり見ていくことも大事ですね。

こちら、皐月賞の騎手の、当日の芝レース乗鞍表です。こういったところを是非チェックしてみてください。本番でどこを回してくるかヒントになるかもしれません。

各馬評価

1:ソールオリエンス 評価:△-

京成杯で鮮やかな勝ち方をしましたが、いかんせん1,000m通過62.2秒のペースまでしか経験がないのはかなり辛いですね。
本馬の前半3F走破タイムが新馬で39.9秒、京成杯で38.5秒はあまりに遅い。皐月賞挑む前のエフフォーリアの方がまだ2秒くらい速いです。

脚の使い方だけを見ると瞬発力の馬というわけでもないのですが、ペースが速くなれば追走に苦労しますし、テンも遅いので後方からどこまで脚を持続できるか、2番人気の割に不安点があまりに多いです。

ヴァンドギャルドの下ですから、当然潜在能力はあると思いますが、未知ということで押さえまでかなと。

2:ワンダイレクト 評価:消

10頭以下のレースしか経験がないのがどうかというのと、弥生賞でようやく普通レベル(1,000m通過60~61秒)のペースを経験しましたが、そこで3着。

しかも、上がり3F推移は11.5-11.2-11.9と、最後の1Fはちょっとペースが速くなるとすぐ垂れそうなレベル。

弥生賞はそこまで馬場が重いわけでもないですし、中盤もきっちり緩んでいるようなレースで、特に厳しい競馬にもなっていないんですよね。
それでこの垂れ方だと、もっとペースが速くなると自身が潰れてしまうような感じがしますね。

3:グリューネグリーン 評価:△

京都2歳S勝ち馬。

未勝利戦が非常に良いラップで、東京競馬場とはいえ、中盤緩まないまま1,800mを先行押し切り。これが非常に良かった一方で、それ以降のパフォーマンスが微妙。

京都2歳Sも、勝ったとはいうものの、中盤は普通に緩み、阪神内回りコースには珍しくロンスパにはならず、ただの3F戦で終わりました。
その割に上がりが掛かっており、デムーロが言っている「距離が長い」は案外と正しい可能性もあります。

ホープフルは中途半端な6番手から運び、弥生賞も後ろからになって、調教師はご立腹の模様。
デムーロ的には「前に行くのはよくない」「距離が長い」と訴えていたようで、完全に方向性の相違。

今回は石川騎手に乗り替わりで、前述の通りプレッシャーかけまくりです。

1週前には「色々考えている」とも調教師が言っていたので、どんなレース運びをしてくるかちょっと不気味ですが、内が死んでる馬場だと軽視しても。

4:ショウナンバシット 評価:△-

若葉Sで権利どりをしてのローテ。

関西を主戦場としていたので、未勝利戦以外すべて少頭数。ペース経験はそこそこあるものの、その時のラップは前半は35.3秒と入りは良いものの、後半はペースが上がりきらず、上がり35.6秒(12.1-11.5-12.0)と特に強調できる要素はなし。

未勝利戦で負かした2着以下の馬の中に、ブレイヴロッカーやスズカハービンがいますが、前者は距離延長してようやく常識にかかるレベル、後者は馬場が渋っての好走ということで、やや特殊。

出遅れキングのデムーロが騎乗するので、ただでさえテンがそこまで速くもないのに果たして先行できるのかも疑問。下手したら、グリューネグリーンに前に入られて踏み遅れたりする可能性もありそうです。

とりあえず分からないから押さえる、のがせいぜい。

5:フリームファクシ 評価:△+

きさらぎ賞勝ち馬。ディアドラ、リューベックの下ということで注目の馬。

新馬戦のスローの上がり勝負で逃げて負け、明らかにキレ負けだったことから、上がり勝負よりは持続力勝負に強いことが窺えます。

未勝利戦以降は3連勝してはいますが、すべて少頭数な上にレベルがだいぶ疑問。。きさらぎ賞は重賞ですが、特筆すべき点はありませんでした。

取り上げるなら、むしろ1勝クラスで、このレースは中盤が12秒台後半がなく、極端なゆるみがありませんでした。

2023/1/5 3歳1勝クラス 中京2,000m
12.6-11.2-12.2-12.3-12.2-12.2-12.1-11.6-11.8-12.0
前半1,000m 60.5秒 レース上がり3F 35.4秒

なお、この時は差して上がり34.8秒。上がり推移は11.4-11.5-11.9で、差してきた割にはやや失速気味。
中盤が極端には緩んでないのでその点は評価しつつも、ペースが上がってどこまで対応できるかは未知数です。

鞍上が怖いのと緩みのラップ経験がないので、相対的に評価は浮上してきますが…。

6:ウインオーディン 評価:消

最後方候補の1頭。上がり推移を見ても明らかに瞬発力の馬で、テンが遅く追走に脚を使って差し追込が厳しくなるタイプです。

特に強調材料なし。

7:ファントムシーフ 評価:△-

共同通信杯のnoteで指摘した通り、軽い馬場の上がり勝負に強い馬です。

なので、共同通信杯の時は本命視。

タッチウッドが途中からグンと上がってペースは想定程遅くはなかったですが、ファントムシーフより後ろの馬たちは持続力に強い馬たちばかりでしたから、そのまま抜け駆け、というレースでした。

しかし、今回は逆に低評価。前日降雨の皐月賞は、軽い馬場のスピードレースだった共同通信杯とは真逆の適性が求められますから、買いづらいです。

位置はとれる方ですし、枠的に内外の様子を見ながら運べる点は良いので、消しまではいきませんが。。

8:トップナイフ 評価:△

軽い馬場の上がり勝負だった野路菊Sではあっさり4着に負けた一方、
上がりが求められなかった萩Sや京都2歳Sなどでは好走しているように、
ロングスパートや上がりが掛かるレースが得意な馬。

テンも速いですし、スッと好位につけたり逃げられたりする自在性は魅力です。

ただ、今回は相手が悪い。60秒を切るペースを一度も経験していません。

横山典騎手であれば、無闇についていかず、馬のリズムに任せて走るでしょうから、深追いしたりする心配はないと思いますが、ペース経験と言う点が未知数で評価を上げきれない(△までしか付けられない)要因にもなっています。

なお、この馬の上がり3F推移を見ると、

京都2歳S     35.3秒 12.3-11.5-11.5(前半3F走破タイム 36.8秒)
ホープフルS  35.0秒 11.9-11.2-11.9(前半3F走破タイム 36.1秒)
弥生賞    34.9秒 11.6-11.5-11.8(前半3F走破タイム 36.2秒)

大体安定して11秒台後半を持続させてまとめており、テンの速さと安定した持続力が好走を続けている要因だと思われます。(あくまで標準ペースという前提条件が付きますが)

9:ホウオウビスケッツ 評価:○

数少ない速いペース経験馬。
新馬では中盤緩みが少ないマイル戦を逃げて押し切り
フリージア賞ではスピードの持続力を活かし、後半5Fロンスパに持ち込み、後方勢を完封。

そして、スプリングSでは惜しくも負けますが、グラニットが飛ばしたペースを3番手から先行し、4角から押して勝ちに行きました。

逃げるだけでなく、番手控えてのレースなど、色んなパターンの競馬をしており、テンも安定して速いので、先行勢では最も信頼は高い馬だと言えますし、グラニットの刻むペースを経験しているという点もプラス。

あとは鞍上がしっかり乗れるか、でしょう。
フリージア賞では最後の1Fでガクっと垂れてはいるので(5Fロンスパしてたら当たり前なんですけど)、早いタイミングから追いかけてしまうと、スプリングSのように最後差されるということが十分あり得ます。

例えば2018年の皐月賞のように、グラニットとタッチウッド、グリューネグリーン辺りが飛ばしているところを、離れた4番手くらいで見ながら運ぶと結構な確率で勝ちそうな気がします。

10:ラスハンメル 評価:消

スタート次第では逃げるとまで言ってますが、遅いペースしか経験ないですし、テンも特段速くもないですし、外枠の馬にどんどん前に入られる気もします。

例え前行っても、1,000m通過63秒以上のレースでしか馬券内がないですから、単純に家賃が高いと思います。

11:シャザーン 評価:消

前半1,000m通過64秒以上のペースしか経験がない、というのはさすがに厳しすぎます。

前走すみれSで後方から差し切りましたが、内回りコースなのにロングスパートになっていないですし、3Fだけで差し切ったような形。

スローの上がり勝負しか経験していない馬が、前速くなる×馬場悪いレースで馬券内来るとは思えず。。
ゲート練習しているそうなんですが、いつもより4秒も5秒も速く走らないといけない状況に耐えられるのかどうか…。

ロードカナロアは母方の良さを引き出すとは言うので、もし来るとしたら、お母さんクイーンズリングの血じゃないですかね。クイーンズリングは上がり勝負の馬ではなかったので。(この部分で完全な消し!と言いづらい…)

ちなみに、今年は何頭かこういう馬がいるので、過去10年、ロゴタイプが勝った年まで遡り、「1,000m60秒を切ったレース未経験で皐月賞馬券内に来た馬はいるか?」を調べてみましたが、1頭だけいました。

エピファネイアです。

それでも、弥生賞で61.6秒のペースは経験しましたからね…4着だったけど。

12:ダノンタッチダウン 評価:消

サリオスに続く、朝日杯FSからの直行。

こう見ると、サリオスと比較したくなるところですが、サリオスはそもそも朝日杯勝ってますし、馬場差を踏まえてもダノンタッチダウンよりももっと厳しい競馬を先行しています。

サリオス
朝日杯FS【馬場差-1.0】
レースラップ 12.2-10.5-11.1-11.6-11.8-11.8-11.6-12.4 前半3F 33.8秒
個別ラップ  前半3F 34.4秒 上がり3F 35.4秒(11.6-11.8-12.0)

ダノンタッチダウン
朝日杯FS【馬場差-0.6】
レースラップ 12.4-10.4-11.3-11.6-12.1-11.7-12.0-12.4 前半3F 34.1秒
個別ラップ  前半3F 35.4秒 上がり3F 35.2秒(11.8-11.3-12.1)

これを見れば分かりますが、馬場差は去年の方がちょっと重たいものの、サリオスの方が1秒くらい速く走ってるんですよね。それでいて上がりがほぼ同じ。どれだけサリオスの方が強いか、よく分かるのではないでしょうか。

また、ダノンタッチダウンはどうも上がり勝負に強い馬というイメージなんですよね。(お兄さんは以前説明した通り上がり勝負強いですし)

新馬戦もデイリー杯も中盤に12秒台があり、残り400~200m区間で10秒台の上がりを使っています。

なお、デイリー杯ではショーモンに、後半4Fのロンスパ勝負に持ち込まれての負け。
朝日杯は適性が微妙も相手が弱く来れてしまった、という解釈が考えられます。

馬場が渋ってペースも上がって、果たして来れるのかというと…。

13:グラニット 評価:消

大逃げ宣言しているようですが、今日の山藤賞を見ればわかるように、大逃げしても馬場が渋ってたら大体垂れます。

2018年のジェネラーレウーノのように、2,000mを厳しい競馬で先行して押し切るような競馬が出来ていれば買いですが、スプリングSでも4着であれば距離延長してどうにかなるとも思えません。

よほど馬場が前残りするようなら急遽変更もあり得ますが、どうでしょう。

14:タスティエーラ 評価:△-

弥生賞勝ち馬。

なんか弥生賞のラップが物足りないんですよね…。中山にしては馬場がかなり軽い方のはずなのに、上がり34.7秒(上がり推移11.7-11.1-11.9)
で、↑の上がり推移を見ればわかるように、最後ガクンと落ちているんですよね。

もしかすると2,000mはちょっと長いかもしれないなというのが個人的な仮説です。実際、母親を見ると短距離血統ですし、そのまた母親も短距離を走ってます。

もちろん、短距離血統でも走れる馬はいるんですが、弥生賞よりも時計が掛かり、厳しいペースになって果たして大丈夫か?という感じしかしません。押さえはしますが、あまり重視は出来ません。

15:ベラジオオペラ 評価:▲

セントポーリア賞までで、上がり勝負の馬だろと思ってスプリングSではだいぶ軽視していましたが、まさか勝たれるとは思いませんでした。

差しては来ましたが、16頭中の7番手で運んでいましたから、決して前潰れの展開利レースで来たとも言いきれません。
これだけ適性の異なるレースをこなせているというのは、プラスだと思います。

なお、スプリングSの上位3頭の上がり3F推移を見ると、以下の通り。

ベラジオオペラ   前半3F 37.2秒 上がり35.7秒(11.9-11.6-12.2)
ホウオウビスケッツ 前半3F 36.0秒 上がり36.9秒(12.6-11.8-12.5)
メタルスピード   前半3F 37.3秒 上がり36.1秒(12.2-11.5-12.4)

最後の1Fはホウオウはもちろん、メタルスピードよりも速いので持続力も高そうです。外差し馬場になればかなり期待できそうな気がします。

あとは、鞍上がちゃんとした位置をとれるか、ですね。決め打ちするタイプで、しっかり位置をとって勝つというイメージがあまりない騎手なので…。

16:タッチウッド 評価:▲

共同通信杯では出遅れたものの、制御できず一気に先頭まで上がって逃げ。
上手く制御出来れば評価したいパフォーマンスなのですが、いかんせん鞍上との相性がどうか。

武豊騎手の場合、外枠だと無理して前に出ないので、逃げたいグラニットよりも外になったというのは結構なマイナスだと思います。

グラニットより前に出て逃げられればまた話は別ですが、グラニットを追いかける形になってしまうと、また共同通信杯のように制御しきれなくなる可能性も。

能力はあるので、他の馬よりも高くは評価しますが、怖いので軸にはしないと思います。

17:メタルスピード 評価:消

スプリングSは大本命でしたが、さすがに距離延長はどうか。
マイル、1,800m問わず、最後の1Fが12秒台まで落ちるので距離延長のリスクがかなりデカいと思われます。

特に前走は、ベラジオオペラより後ろにいながら最後の1Fは0.1秒しか差がなくなっていましたから、そりゃ差せないわけです。

まだスローからのロンスパとかならワンチャンありかなとも思いますが。。

18:マイネルラウレア 評価:消

流石に後ろ過ぎます。しかも2戦して一番速い前半3F走破タイムが39.0秒なんですこの馬。。

39.0秒って、去年の中日新聞杯で大勢から批判食らった、プログノーシスの位置ですからね?いかに後ろになりそうな時計でしか走ってないかわかると思います。

それでも若駒Sで差せていたのは、前も遅くて前半5Fのペースが63.4秒だから。
それに、差した相手であるワンダイレクトは弥生賞でタスティエーラやトップナイフに完敗しています。ワンダイレクトの最後の1Fが11.9秒で、トップナイフが11.8秒、タスティエーラが11.9秒ですから完全に脚色同じになってしまってるんですよね…後ろにいたのに。

もちろん、前が全滅するような状況になれば展開利で来る可能性がないとは言いません。(今年は展開不利を覆せるレベルの馬がほぼいないですし)
ただ、最後方からこれまでより4秒も5秒も速く走って差し切れる脚を持っているかは疑問でしかありません。


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