Ayuo Talk Video:「モア」の時代から「レス」の時代に - ポスト・コロナ時代について語る雑談会 パート 2

ポスト・コロナ時代について語る雑談会。
粟津ケン (プロデューサー、粟津デザイン室代表)
軸原ヨウスケ(遊びデザイナー、COCHAE代表)(司会)
Ayuo (高橋鮎生)(歌、ギター、ブズーキ、ウクレレ、作詞・作曲)
「モア」の時代から「レス」の時代に。


Ayuo (Eugene Takahashi) の言葉:
「僕は次のように思う。
これからの世の中は、少ない人数でたくさんのことが出来るようになる。最近のパンデミックで一番伸びているのは、ロボット化のビジネス。人間を使わない工場が増えている。また、監視カメラ、顔認識、ドアを通っただけで人間の温度を計る機械、などのセキュリティー・システムもどんどん開発されている。今までの「労働者」が必要のない社会になる。これは狩をやって生きていたハンターたちが農業を始めた時に、生き方を変えなければいけなくなったのと同じだと思う。19世紀前半まで農業をやっている人たちが人口で一番多かったのが、工場で働く労働者に代わった時代も同じである。コンピューター技術が発展した時代から、こうした仕事の変動が来るのは見えていた。今回のパンデミックは、それを早めたと思う。「モア」の時代が終わって「レス」の時代にこれから少しづつなるだろう。


農業が中心の国は人口が多い。家族が大勢いて、大学などに行かずに、みんなで働く方が裕福になれたからだ。20世紀半ばまでは子供が親の仕事を引き継ぐことが多かったと歴史学者は語る。「モア」というのはもっと生産する、もっと商品を売る、もっと資源を使って、もっと設ける、もっと人口を増増える、などのことを言っている。


日本、韓国、ヨーロッパ、などの先進国は人口が少なくなっている。中国も少子化が進んでいる。都会生活には大きな家族が要らない。養育費も教育費も高くなっている。大学のコストは今までと比較できないほど高い。そして、スーパー・コンピューター、AIの技術、ロボット化、機械化、自動運転の発展。オートメーションやAIの技術が進むと少ない人数しかいらなくなる。


これからの時代では、勉強をして目的が見つかった人のみがやっていける。政府が出来るのは人々にそのチャンスを与えること。昔のように労働者を戦争に行かせて殺すわけにいかない。そうなると、旧ソ連や中国のように強制収容所に入れると脅かし、政府の言うことを聞く人口にさせようとするか、お金とチャンスを与えてそれを思ったように使えるシステムがある。教育と仕事のチャンスが与えられたのに、見逃した人々が落ちて行っても仕方がない。大学のような場所は社会とのコネを作る場所になる。勉強だけだったらオンラインで出来る。ビル・ゲイツはハーバードを卒業していなくても、そこに行ったことによって仕事のためのコネを作った。求める仕事の種類によっては行く場所も変わるだろう。ヘルプさえあればフェアなシステムが出来るだろう。トラブルになったら、その個人の責任になる。出来る人と出来ない人の違いが見えてくる。


今年の2月まで民主党の大統領選挙に出ていた新しいホープ、アンドリュー・ヤンはユニバーサル・ベイシック・インカムの成功例を語っている。アメリカのインディアン居留地でみんなに定期的に保護金を配ると、今までお金がなくて勉強できなかった若い人たちが、それを使って大学に行くことが増えている。そして、中には学者になって行く人もいる。もちろん、みんなではないが、このシステムは救える人やお金が必要な人を助けることができる。


選ぶのはあなただ。
選択肢がある。
そうした方が民主主義らしいやり方に思える。
人間は全て同じではない。機会を与えれば、伸びていく人もいれば、一日中ドラッグかアルコールを飲んで短い人生を過ごしてしまう人もいる。これは個人の判断で決めることであって、国が強制的に決めるべきことではない。ヘルプが必要であれば、ヘルプ・センターが人に届くところにあるのが良い。
この転機によって資本主義、社会主義、ファシズム、現在の消費社会が終わって、全く新しい社会と政治が出来て来るだろうと予想する。映画文化や音楽にも、それを予想しているところがあるのではないだろうか?しかし、そのプロセス今まで行ったことにない道のために大変かもしれなく、独裁国家、暴動、戦争なども起きるかもしれない。スターリンやヒットラーが1930年代の大恐慌の時にやったような方法論で一時的に収めようとする国も出てくるかもしれない。しかし、最終的には「レス」で生きて行ける時代が来るだろう。そして過去を超えた新しい人間になって行くだろう。そう期待したい。
これが今の僕が思うこと。」





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