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短い詩

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短い詩(自作)
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記事一覧

剥がれゆくもの

目をつむり 呆然とするわたしから ぽろぽろぽろぽろ 剥がれ落ちる 乾いた何か それ以上剥がれたら わたしの身体(からだ)は かたちを失ってしまうじゃないか

【短い詩】黒い波

黒い砂浜に黒い波が寄せる そして引く もう終わるのですよ 寄せる 引く 引いたままもう戻ってこないかもしれない 寄せたまま満ちて沈んでしまうかもしれない 終わるのですよ

【短い詩】そこにある理由 2024062301

晴れと雨を繰り返す 均された土地 露わな石 洗われて そこにある理由

【短い詩】おとなって 20244061001

なんの芽かなと思っても 葉っぱが開いたあたりで なんの木かわかっちゃった そんなおとなになったけど 楽しいの? つまらないの?

口答え【短い詩2024052101】

理不尽な日は 月にも星にも口答え

漂って【短い詩】2024051901

漂って 透明になる 疲れたな

『風が吹く』【短い詩】2023121601

落ち葉をすべて落としたあとに それらを運ぶ風が吹く

七月の静かな朝

七月の静かな朝 音よもどるな 静かなだけで 爽やかなのだから 晴れた空も わたしの思いも

その水溜まりの水が淀む前に

その水溜まりの水が淀む前に 蒼く高い空を深く深く写しているうちに 伝えたいことは伝えないと あっという間に 言葉は汚れてしまうんですよ。

重ねて

何かと何かが重なるときに人は特別を感じる 天体で起こることにも 人と人が出逢うことにも その時に遭遇することにも すべての偶然をくぐり抜けて わたしは生きているのかもしれない 誰かと手と手を重ねて

嘘つき

空や雲って正直だけど ときどき嘘つきだと思わない?

向いて咲く

その花はうつむいて咲くから好き あの花は天を向いて咲くから好き この花はそっぽ向いて咲くけど好き あなたがどこを向いていても わたしはあなたが好き

詩『ゆれるもの』 2011年6月

柱時計と向き合っていた こつこつ刻む時を数えていた 数は足りるだろうか やがて時は歌い始めた 水が滴る 風が吹く 雷がなる やがて静かな海ができたと 星の鼓動が海を揺らす 揺れる潮(うしお)から心臓が生まれた 心臓は潮のなかで鼓動することを覚えたと 時は歌い終わると 大きく揺れて歪んだ 歪んだ波と波の狭間に闇ができた 闇が呼ぶ 口を大きく開けたり小さくすぼめたりして 泳がねば 泳ぎ着かねば 闇の向こうを覗かねば 闇の向こうに落ちた時 私は鼓動する心臓を抱えて 海の

花って時々露骨に見える 近づきすぎて見てはいけない 何かもそう 誰かもそう でも あでやかなものに心奪われても それを否定できない