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Garmin トレーニングステータス攻略(基礎編)

このページの内容は、Garminの公開データと私の計測データから私が推察したものであり公式な仕様ではないことにご注意下さい。
あくまで私が観察し、こういう動きになっていると思われる と導いたにすぎない情報です。不足や誤りがある可能性が含まれています。

また、この記事はロードバイクのトレーニングを前提としています。ランニングなど他のスポーツについてどこまで当てはまるかはわかりかねます。


この記事の目的

日々のトレーニングによって、今の体の状態を評価してくれるトレーニングステータス機能。プロダクティブやらキープやらのアレです。各ステータスの意味については公式の公開情報がありますし、これを読んでいる方にはほぼ既知の情報だと思いますのでここで説明はしません。

特にプロダクティブの状態にない人が、なぜプロダクティブにならないかが理解できずあれやこれやと悩んでいるのを見かけます。

Garmin先生は細かい理由までは教えてくれないからです。
状態を一目でわかるよう示しているのに、それが何故かはわからない。

しかし各ステータスになる条件は極めて明確だと思われます。自身がなぜそのスタータスなのか、今どう対応するべきなのかそれがわかるようになることがこの記事の目的です。


トレーニングステータスはどうやって決まる?

Vo2maxも上昇し、キツイWOも完遂できた! 今日の自分は調子が良いのにステータスはアンプロダクティブのまま、どういうこと!? Garminの言うことなんて信じないわ!
というSNS投稿を目にしませんか? でもこれはトレーニングステータスの仕様上普通に起こりえることです。

何に基づいているのか

これについてはGarmin Connectを見ればハッキリと明記してあります。
トレーニングステータスはVO2Maxの傾向に基づいて決められます(トレーニング負荷の短期的負荷が適切な範囲内にある場合)

スマホ版Garmin Connectのステータス表示


今日、今この瞬間のことではない

Vo2maxが上がったのにアンプロダクティブだって言ってるじゃない! と思ってしまうのは「今」という「時間断面」で見てしまっているから。
上記の画像にも書いていますね フィットネスは"向上し続けて"います、と。今の値ではなく一定期間での推移が評価されています。

各ステータスとvo2maxの期間変化のイメージ

これを踏まえると、アンプロダクティブな状態から実際に下降が止まったり調子が上向いたりしたとしてもステータスが遷移するまでには結構なタイムラグが生じることがわかります。分かりやすく表現すると下図のような場合です。

vo2maxとステータスの遷移

四角の枠の期間でGarminがステータスを決めます。一方ユーザの感覚は「今」なので「枠の右端の位置で観察」しています。

①vo2maxが下降を続けておりアンプロ。感覚とも合う
②底を打って上昇基調だがまだアンプロ。感覚は良くなっているのにアンプロが続く状態
③ここまできてようやくキープに遷移。底を抜けてから結構経っている
④過去の低下期間が評価範囲から外れてプロダクティブに移行

アンプロなのに調子が良い!と思うならそのまま継続することでその状態を脱する可能性は高いです。体感も大切です。

傾向とステータスが一致しているように見えない?

ここが分かりづらいポイントのひとつだと思いますが、Garmin ConnectのVO2Maxの表示には少し問題があります。以下の画像を見て下さい。

Garmin Connect のVO2Maxステータス

ほぼほぼ横ばい… といった感じに見えると思います。ですが、この間私のステータスは常時"プロダクティブ"。
なぜこのような仕様なのかはわかりませんが、Garmin ConnectでのVO2Maxの表示は整数値に丸められています。しかし実際にはVO2Maxは小数点以下の値を持っているのです。
これはウォッチの画面から確認できます。他の方法があるのかは私には分かりません。

ウォッチ画面上でのVo2maxの表示(Forerunner 255 music)


Vo2maxの上昇、下降はどう決まる?

Vo2maxでステータスが評価されているのは分かった。では、その肝心のVo2maxはどうなったら変化するのか。結局はここがポイントになります。

「今」Garminは私のことをどう見ている?

Vo2maxを上げるには、Garminに「貴方調子いいですね?」と思われる必要があります。まさに自転車を漕いでいるその瞬間の調子をGarminがどう見ているか、それがパフォーマンスコンディションです。
乗り始めて数分したらGarminに表示されたりしますね。アレがそうです。
パフォーマンスコンディションはおおよそMAX比70%程度以上の心拍で運動している間、常に計測され -20~+20の間で数値評価されます。
そのライドでしっかりプラス値に滞在すればVo2maxが上がっている、逆にマイナス値に滞在していれば下がっていると評価されます。

調子が良い/悪い、とは何を基準にして言っている?

基本的にはW/HR つまり同じ心拍で、より高い出力が出ていれば調子がいいと評価されます。ではその基準はどこにあるのか?
パフォーマンスコンディション±0の基準は自分自身のVo2max値です。
基準はあくまで自分自身、他人との比較ではないのでこの判断に才能や加齢は関係ありません。

アクティビティ中のパフォーマンスコンディション変動

現在のVo2max値をベースライン(±0)としてコンディション値の1はVo2maxの1%に相当する とGarmin公式の説明にあります。

パフォーマンスコンディションの確認方法

ライド後にGarmin Connectのグラフページから確認が可能な他、サイクルコンピューターのトレーニングページに設定し常時確認することも可能です。


アンプロダクティブを脱するには?

プロダクティブで困る人はいないので、上記をふまえていかにアンプロダクティブを乗り越えるか? が問題です。

一番簡単なアンプロダクティブ脱却

脱却することが目的なら簡単です。ひたすらアンプロダクティブに滞在すればいいです。するとどうなるか

①パフォーマンスコンディションがマイナスになりVo2maxが下がる
②Vo2maxが継続的に下がることでアンプロダクティブになる
③アンプロダクティブに滞在することでVo2maxがさらに下がる
④Vo2maxが大幅に下がった結果、パフォーマンスコンディションがプラスになる
⑤パフォーマンスコンディションがプラスになることでVo2maxが下げ止まる
⑥Vo2maxが下げ止まった結果、キープに移行する

パフォーマンスコンディションの基準が現在のVo2maxなのでこれが下がれば容易にプラス値が出るようになります。
明けない夜はないように、明けないアンプロもないってことですね。

しかしこの解決策はあまり望ましくないですね。

休息をとればアンプロを抜ける?

最も一般的に採用されている手段かと思います。
ですがこの手段が有効なのは
「過負荷なトレーニングで心肺の疲労を蓄積させてしまっている人」
だけです。

とはいえトレーニングステータスを気にしているような人の多くが基本的に「頑張り過ぎてしまう人」なので有効であるケースは多いです。
筋肉的な疲労はわかりやすく誰もが気にしますが、心肺の疲労は軽視されがちです。
心肺も疲労します、そうするとW/HRの悪化を招き結果としてパフォーマンスコンディションが低下→Vo2max低下→アンプロダクティブ となります。

休息、低強度でのアクティブレストでVo2maxがどんどん下がる

アンプロダクティブ脱却の為、休息として低強度トレーニングを取り入れるパターンも多いと思います。しかし、恐らくその間どんどんVo2maxが下がることになります。経験がある方も多いのでは?

心肺疲労をメンテナンスするため低強度中心とすることは間違っていないと思います。私もそうします。
ただ、低強度トレーニングはパフォーマンスコンディションが低く評価されやすいメニューでもあるのです。それゆえ低強度一辺倒はVo2max低下の一途となりがちです。

しかしそれほど心配は要りません。疲労が抜け、W/HRが改善されればVo2maxが下がっていることもあり従来のメニューに戻った時にはパフォーマンスコンディションは大きくプラス評価となり再び上昇傾向となるはずです。

Vo2maxが上がりやすい、下がりやすいメニュー

正確にはパフォーマンスコンディションが高く評価されやすい、低く評価されやすいメニューです。

上がりやすいメニューとしては
・テンポ~SSTトレーニング
・峠などでのTT
・踏む所、休む所のメリハリがはっきりしたライド

下がりやすいメニューはその逆です
・低強度トレーニング
・メリハリなく、中途半端な強度でのライド
・ツキイチ(これは状況によるかも、私は総じて悪いです)

基本的にW/HRの効率が良い状態が続くメニューが上がりやすいということです。
とはいえ上がりやすいメニューばかりやっていても疲労の蓄積で低下に転じますし、下がりやすいからといって低強度を軽視しても根本的な身体スペックが向上せず上伸びは望めません。

上がりやすさ、下がりやすさはあれど結局の所、一定以上の上伸びを目指すには体の機能そのものを向上させる以外に道はありません。
疲労を溜めずに体を鍛えて状態を上げる、当たり前ですね。でもだからこそプロダクティブを目指し、Vo2maxを向上させることには大きな意味があるのです。
ステータス表示ばかりが気になり小手先で何とかしようとするぐらいならステータスなんて見ない方がいいぐらいです。データは活用しましょう、データに振り回されては本末転倒です。

「キープ」のステータスにご用心

プロダクティブは上昇傾向、アンプロダクティブは下降傾向です。
しかしキープについてはどういう状態がキープされているのか? を考慮するべきです。

3タイプのキープ

①プロダクティブから一旦成長が上げどまった状態
②長らく変化がない
③アンプロダクティブが下げ止まった状態

どれも同じキープですが、印象はずいぶん違います。
アンプロダクティブからようやくキープに遷移して喜ぶのもよく見られる光景ですが、そのキープは①のキープとは大きく意味合いが違うことは覚えておく必要がありますね。

もっと具体的な取り組み方について

さらに具体的な内容にも踏み込みたいのですが、あまりにも長くなってしまうためそれについては別途 「Garmin トレーニングステータス攻略(実践編)」 として書きたいと思います。


例外的なトレーニングステータス変化

トレーニングステータスはVO2Maxの傾向に基づいていると言いましたが、そのほかの条件でも遷移することがあります。

キープ

一度しか観測していないため定かではないのですが、プロダクティブの状態で数日間アクティビティを記録しなかった際に1日だけキープに遷移したことがありました(要追加確認)

ピーキングとリカバリー

ピーキングとリカバリーはいずれも
”トレーニング負荷”の"短期的負荷" 「低」
の状態に滞在することで遷移します。即時ではなく、1日程度の滞在がトリガーとなっていそうです。

この2つは基本的に同じもので、リカバリー条件にさらにいくつかの条件を満たすことでピーキングとなるようです。
観測回数が少ない為、厳密な条件はわかりませんがプロダクティブの状態から徐々に短期的負荷を減らしていくことで高い確率でピーキングとなっています。リカバリータイムも減らしていっていたのでその辺りも条件に含まれるかもしれません。

疲れています

このステータスになる時は夜間HRVステータスが「低」もしくは「アンバランス」になっています。
ただ、これらのステータスでも遷移しないこともある為、他にも条件はあるようです。今の所、アンプロダクティブやキープからの遷移は確認しましたがプロダクティブの状態から遷移したのは見たことがありません。
しかし観測回数が少なく、詳細な条件は不明です。

オーバーリーチ、デイトレーニング、ステータスなし

これらは私自身見たことがありませんので条件はわかりません。
恐らく短期的負荷が「高い」に滞在すればオーバーリーチ、低いに長く滞在すればデイトレーニング、長期間アクティビティの記録がなければステータスなしとなるのではないでしょうか。


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