見出し画像

The Crown シーズン4を離婚ドラマとして見ている

Net Flixでイギリス王室を描いた大人気のドラマ The Crown、シーズン4はダイアナが登場し、チャールズとの出会いと結婚生活が描かれます。
王室モノは、王家という特殊な環境で織りなす極端な人間ドラマが楽しいのですが、The Crownシーズン4に関しては王室モノというより、離婚モノとして非常に楽しめました。

私はときどき無性にゾンビ映画と離婚映画が見たくなります。
ゾンビ映画を含むホラー映画にはある程度お約束や定石がありますが(例:調子にのってるパリピは一番最初に殺されがち)、実は離婚映画にもお約束、というか基本的な流れがあると思います。

  1. 結婚生活でちょっとしたすれ違いが繰り返され、お互いの不満が徐々に膨らんでいく。→結婚生活あるあるの共感。でも表面化せず不穏な空気が漂う

  2. ついについに臨界点を越える→まるでドミノ倒しのように。ついに!

  3. 夫婦の激しい罵りあい→役者の見せ場。アカデミー賞級演技炸裂

  4. その後冷静になり、なんとか歩み寄ろうとし、お互いわかりあう →ただの恋人同士なら普通は別れるような二人の溝だが、結婚している責任もあり、二人とも離婚を回避しようとする。ココが通常の恋愛映画にはないパートですね。

  5. 努力の甲斐もなく、やっぱりどうしても、どうしてもこいつとはうまくやっていけねぇ。ってことを再認識してしまう→これが切ないんですわ。できれば別れたくないのだけど、お互いに努力した結果、逆にやり直せないことだけがハッキリしてしまった、という決定的な絶望感。ココも通常の恋愛映画にはないですね。終わった結婚の悲惨さがあぶりだされます。

  6. 傷つく子供や親 →もともとあった親との問題が離婚する流れで蒸し返されたり。なるべく子供をケアをしようとするけど、裏目に出たり。離婚相手が子供に変なことを吹きこんでるんではないか?と疑心暗鬼になり始める。

  7. 親権や経済的問題で容赦なく叩きあう →最初は戦いたくはない、穏便にいこう…と言いながら弁護士を交えてるうちにこれはヤらなきゃヤられてしまうと危機感が募り、気づけば4.や 5. のような情緒性は消え、全力でぶっ叩きあう。

  8. 全て終了。明日へ向かう →カタルシス

The Crown シーズン4はチャールズとダイアナの結婚において1.~5.あたりを描いています。3.の「夫婦の激しい罵りあい」は名演という感じでかなり見ごたえありました。よくある離婚ドラマでは、夜、家のなかで罵りあうのですが、牧歌的な草原で罵っているのがイギリス王室的な優雅さを感じました。
特に私が好きなのは5.の「努力したが無理だった」エピソード。 The Crownではダイアナはかなり愛を表現するのですが、その結果、チャールズが内容にドン引きしてしまいます。これがかなりツラい。痛い。
ダイアナは純粋で若くてロマンティストで甘えん坊。
チャールズはシニカルでおじさん趣味でやっぱり甘えん坊。
二人は相性が合わなさすぎだったんだなぁとしみじみ。
離婚モノドラマとして秀逸でした。

The Crown シーズン5は11月9日にNetflixで配信スタートしました。まだ見ていませんが、離婚モノのセオリーであれば、周囲を傷つけ、相手も傷つけ、自分も傷つけるシーンが続くと思います。でもこの段階にくると、もう迷いや悩みはなく、敗戦処理なんですよね。進むべき方向は決まっているしやるべきことも決まっていて、どうしようもないけど、やっぱりツラいっていう。と、離婚したことないけど離婚ドラマを見すぎて、離婚経験ありそうな風に語ってしまいました。
シーズン5、見るのが楽しみでーす。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?