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ボテロ展へ行ってきた

渋谷Bunkamuraのボテロ展へ行ってきました。

ボテロというのはその名の通りボテッとした絵を描く方で、絵の中の人も物も全てふっくらしています。今もご存命中で、モダンアートと言えばモダンアートな世代なのですが、モダンアートに必須のメッセージ性を作家自身は声高に唱えてらっしゃらないようです。
…いやなんかその辺が曖昧というか、とりあえずボテロ展へ行っただけではわかりませんでした。

ポップなボテロ

その辺を展覧会でほとんど説明していないのは、あまりに複雑だから説明しないことにしたんでしょうか?ぱっと見「かわいい」「色彩明るい」なので、それだけでとりあえず来場者に満足してもらえる展覧会にしたかったのかな。
音声ガイドも他の展覧会よりもやけに薄い内容なうえに、話し手が自分のことを突然語り出したりして「これいったい誰?」と思ったらBE:FIRSTという歌手グループの方々でした。こういう方々を音声ガイドの読み手にするってことはとにかくこの展覧会を「ポップ」に仕上げたいという意図。が、ボテロを見たいという人とBE:FIRSTファンと重なるのかなぁ。

実はボテロはアブグレイブ収容所の虐待をテーマにした作品なんかも数多く描いているのですが、その作品はひとつも来ていませんでした。かなり残虐なので、もし一つでも作品があったら、ちょっと展覧会の雰囲気は変わってただろうな、と思います。あのぽっちゃり無表情の、無表情が変わっていきますよね。


コロンビア、マジックリアリズム、メタアート、身体性

ボテロはコロンビア出身なのですが、コロンビアといえばガルシア・マルケスです。その先入観もあり
ボテロ=マジックリアリズムの絵画表現
というフィルターで見てしまいましたが、それだけじゃないんだろうなぁ。

アートをメタで見ているのもあるのかな、とも思いました。昔の名作をふっくらタッチで描いたり、あの無表情は中世のテンペラ画から来ていたり、やっていることも微妙にピカソの作風変化とかぶってたりする気が?アートの歴史をちょっと上から見ていて、それを意識的に引用してたりする。その意味ってなんなんでしょうか。

さらに人をふくらますだけでなく、腋毛や胸毛、女装家も描いたり、この人にとっての身体的特徴ってどういうとらえ方なんだろう?というのも、不思議でした。

いろいろ疑問が次から次へと沸いてきたので、いつか他の作品もじっくり見て、親切に解釈を教えてくれる本とか読んで、腹落ちしたいわぁ。と思ったボテロ展でした。その変の意味がわからなくても十二分に面白かったです。


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