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今日の本|「寂しい生活」稲垣えみ子


寂しい生活
著者:稲垣えみ子
発行:東洋経済新報社


前作「魂の退社」が大変面白かったので、続編を読む。
断捨離というライフスタイルは広く世間に浸透したと思いますが、ここまで極めると美学とかライフワークのようになるんですね。
稲垣さんは2011年3月の原発事故をきっかけとして、自分ができる事は何かと考えた結果、掃除機や電子レンジなどありとあらゆる家電を使わずに生活する、という選択をとりました。特に冷蔵庫をなくす大きなチャレンジだったようで、その体験記は興味深い。「ついに、冷蔵庫の電源を抜く」なんて、笑いながら読みましたが、自分に置き換える考えると、なかなかそんな決断はできない。多くの人がそうだと思うから、稲垣さんが周りの人にその顛末を話すと、変な反応が帰ってくる、というのも頷ける。ここまで振り切った生活はできなくても、どんなふうに生活できるかを考えるきっかけにはなると思います。


うちの夫は転勤あり。一昨年までの4年間、単身赴任を経て、現在は一緒に住んでいますが、またいずれ単身赴任生活になる運命。
この本を読んだ直後、タイムリーなことに夫が次の単身赴任生活について思いを馳せていたようで、「次の単身赴任、テレビも洗濯機もいらないけど、冷蔵庫はやっぱり必要だよね〜」と言い出しました。会社側は家電4点セットの格安レンタルセットを用意してくれています。その4点とは冷蔵庫、テレビ、洗濯機、電子レンジ。ただし、セットなのでバラで借りられない。ここがネック。
前回の単身赴任を踏まえ、テレビはいらない、洗濯機もコインランドリーを使えば良い、カセットコンロさえあれば電子レンジもいらない、後は冷蔵庫をどうしようと思っている様子。
4点中3点が要らないなら、冷蔵庫無し生活にチャレンジしてみてもいいんじゃない?と後押し。ほんとに必要になったらその時考えればいいんだから。


翻って、家の場合。4人家族一戸建て。ありとあらゆる家電が揃っています。揃えましたとも。ホームベーカリーにコーヒーマシーン、掃除機ロボットも、拭き掃除ロボットもあります。真空パック機なんてのも(笑)。どれも今日も活躍中。今のところ手放す気もありません。
でも、稲垣さんは一人暮らしだからそんな思い切ったことができるんだ、うちは4人家族だからできない、と判断するのは早計。
生活は時間とともに少しずつ形を変えていく。
例えば、今は忙しいから拭き掃除ロボットにお願いしてるけど、本当は私、拭き掃除はかなり好き。少し時間に余裕ができたら、拭き掃除は自分でするようになると思う。


具体的な例を挙げればキリはありませんが、どんな生活スタイルであっても、時間を味方に、他の人のやり方も参考にして、最終的に自分らしい生活に行き着きたいですよね。螺旋階段のイメージで。


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