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夢ばかり追いかけて誰も見ちゃいない

アイドルという職業は変わった職種なので、
「何歳までアイドルするの?」と聞かれることがよくあります。

私は何歳まで!と明確に決めていませんし、辞める予定なんてさらさらありませんから
大抵「30歳近くまでかな〜」なんて答えています。

私を受け入れてくれるグループがあれば、、、
(ドマレコは何年も何年も続いて欲しいな。できればオリジナルメンバーが長めで)
アイドルタレントのような形ならソロでも、、、
見た目が可愛いと言われるうちなら、、、
持病の限界が来た時かも、、、

など色々考えてしまって普段のあの回答が完全に正解とは言いきれません。

アイドルという仕事を私は誇りに思っているし、
アイドルをしている自分が1番尊い自分だと思っています。そして人生でこの仕事を出来ているこの時間以上のものはないと思っているので、
「何歳までアイドルするの?」という質問には

「何歳までとか考えたことないね!」

とこれからは返したい気持ちです。

この世に色々な職業がありますが、私はアイドルという職業が自分に向いていると思います。
アイドルって職業の中で珍しく、上手い下手がそこまで大きく関係しない職業なんです。

歌手は歌が上手くないとそもそもなれないし、上手い人たちの中でも更に上手くないと売れません。
他の職業もそんなことが多いと思います。

(私はバイトもしたことがないので詳しくはわかりませんが...)

歌やダンス、はたまたビジュアルが
悪くても別にいいというわけではないし、良いともちろん武器になるのですが、
それでも
「成長過程を見せるのがアイドル」という言葉があるように、人の心を動かして
「尊い」「憧れ」「応援したい」「好き」って思わせることがアイドルとして1番大きい部分だと私は考えています。

グループとしてだったり、売れるという視点なら曲、運営、事務所だったりそういった要因も加わるかもしれませんが、
アイドル個人としての魅力なら結局のところ情熱だと思います。パフォーマンスも情熱があれば少しは成長できるはすですし。

雑誌やテレビで顔を観てもらうことが少なく、
SNSやライブハウス、特典会で自分を魅せるライブアイドルは特に。

古い考えかもしれないし、もっと違う方法で人気なアイドルさんもきっといるので
これはしがないアイドルの心の中の声だと思ってください。

そんなアイドルという職業は、年々数が増え「可愛い女の子が歌って踊る」ものだけじゃなく
どんどん深く多様に複雑になってきていると思います。

だからこそ無限に戦い方があって、私にも私なりの戦い方やアイドル像があります。

成長を見せ、何歳になっても清楚な黒髪少女で、いつだって全力で汗かいて踊って、こうやって気持ちや考えを共有し、思考で他と差をつけたい。

私は何歳までこれを貫けるでしょうか。長い時間がかかりそうですが良かったら見届けてくださると嬉しいです。

ライブアイドルとして立つステージは楽しく、
持病の双極性障害で前のグループを活動休止していた時も、
実は辛いのは鬱の時にライブをすることではなく、
準備をして家を出て電車に乗って会場へ向かう事と、ライブ前の過呼吸とパニックに似た症状だった、という経験があります。ライブにさえ立てれば鬱はおさまっていました。

それくらいに私はステージがやっぱ1番好きです。

お客さんの顔を見て、歌詞以外の言葉は話せないけれどそれでも気持ちのやり取りをして、歌詞に乗せて元気を与えて、空間を創って、自分なりに表現をして。
対バンのたった20分でも家に返って思い出すと、「ここであの人と顔を合わせた、幸せそうだった」「ここの振りの会場の一体感凄かった」なんて
凄く長い時間だったように思えるほど充実感があるのです。



職業はアイドルがいい!と思っていますが、もっと深く言うと私はアイドル以外で社会の歯車になれる気がしないような人間でもあります。

朝12時起きでもかなり頑張らなきゃ厳しいし、
会社の人間関係とか絶対駄目だし。
アイドル以外に出来る職業がない気もします。

そもそも人と会話するの実は全然得意じゃないです。
普段の特典会ではマシンガントーク!などと言われていますが、
「相手が私のことをある程度は必ず好きという安心感」と、「私も新居列の人は好き」なのと、「ライブ終わりのハイテンション」と、「安くないお金を払ってきてくれてる人に少しでも満足感を与えたい」という理由であんなにお喋りモンスターになれているだけなのです。

具体的にどれくらいのものかというと
本当はスタバでチョコチップとか追加したいけど
会話が苦手すぎて一回もカスタムをお願いできた事ないし、
そんなに仲良くない人と話す時は「あ、」って言葉が必ず始めにつきます。そしてか細く高い声で喋ります。

さらに言えば電車苦手だし、渋谷とか人多すぎてしんどくなっちゃうし、通勤とか考えただけで無謀すぎます。

学生時代、不登校だった名残りなのか社会はやっぱり怖いです。

でも正直、アイドルとしてこれはこれで良いと思ってもいます。
アイドルを応援している人の中にはきっと
日常に疲弊してしまったり、世の中が怖かったりで、アイドルを救済にしている人も少なくないと思うから。
世間一般的に見て駄目な所でも、
推しと自分の似ている部分が少しでもあったら、
その駄目なところを少しだけ許せるかなって思うんです。

だから社会に適合できなくて困ることも辛い思いすることもあるけど、新居歩美が誰かの救済であることを信じて過ごしています。


なにも構成なんて考えずに打っていて話が色々長くなってきていますが、
中学時代から大好きなバンド、アーバンギャルドのボーカル松永天馬さんのソロ曲「ナルシスト」を
聴いているとき、色々考えを巡らせてしまって
このnoteを書きはじめました。

「夢ばかり追いかけて だあれも見ちゃいない」

私はずっと昔から松永さんのことを尊敬していて、
松永さんの書く歌詞はもちろんですが
音楽に、言葉に向き合い、自分を貫き、もう十何年も詩に没頭し続けるその姿勢に憧れます。

松永さんがアーティストとしてそうであるように、
私はアイドルとして、
アイドルという概念と結婚するようなアイドルに、
アイドルに夢中で孤独なくらいのアイドルになりたいのです。

身の上話になるのですが、
17歳でアイドルになるために周りが田んぼだらけの田舎から上京して一人暮らしをして。
そういう背景もあり、絶対にアイドルとして売れなきゃ、やり切らなきゃ帰れないという気持ちがあります。

夢を追ってがむしゃらな時間をもう数年過ごしています。
「人気になってアイドルをやりきる、絶対に売れる」

この、夢と言えば聞こえはいいけれど
自分の中の
おもりのような、絶対的な一生涯のノルマのようなものをずっと抱え続けた数年です。

きっとこの後まだまだ何年もこいつは居続けるのでしょう。

東京でアイドルをすることに夢中になりすぎて
地元の友達で連絡を取っているのなんて本当2人くらいだし、東京の友達と遊ぶのも3ヶ月に1回くらいしかないです。
夢ばかり追いかけて誰も見ちゃいない。
寂しいことだけれど、アイドルとして私はそれもまた美しいと思います。

心の持病があるし、昔から体もかなり弱い方。
ただでさえ少ない心のキャパシティも体のキャパシティも
基本アイドルに使っているのでプライベートが疎かになって、週1のお笑いライブとアイドルとしての用事以外ずっと家にいるだけの孤独な自分、実は案外好きです。

夢ばかり追いかけて、プライベートで周りから人がいなくなっても、どこかで夢に追いついた時
そこには想像できなかった数の赤色のペンライトと大きな景色が広がっているんだって私は信じています。