お金がなさすぎて、泣けてきた。

帰宅して1番にポストを覗く。

たいていは、マンションの広告や、デリバリーのチラシが入っているだけなのだが、この1年ほど、役所からの手紙が入っていることがある。
中でも赤い字で、『重要』などと書いてある封書は要注意だ。
重い気分になり、封筒を開けると、中からは期限の短い納付書と『督促状』と言う文字が現れる。

昨年、敗血症となり入院して、退院後半年近く療養していたものだから、当然収入はなく、年老いた母や、娘に頭を下げ、なんとか食い繋いできたので、カツカツなんてもんじゃないくらい、生活に困っている有り様な現状に情け容赦なく送られてくるソレ。しかも、数ヶ月分をまとめて請求してくるのだから、たまったもんじゃない。払えるわけがなかろう。

そんなところに、母が軽い認知症になって施設入所をすることになった。
先日、生活費として銀行から預金を引き出してくるように頼まれたのだが、それがほとんど手付かずのままで残っており、預かることになった。

悪魔がささやく。

このお金で払っちゃいな

天使がささやく。

自分で働いたお金で払いたい

督促状をじっと見つめる。

結局、届いた納付書を握りしめ、コンビニのレジへ向かう自分がいた。

払い終わって、ほっとすると同時に苦い想いが胸の中に満ちていった。

チクショー…
チクショー!
チクショー!!

心の中で叫びながら家路につく。
歩きながら、涙がにじんでくる。
玄関を開け、部屋に入り、荷物を置く間もなく、わーわーと大声をあげて泣いた。

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