無自覚であったことを自覚する瞬間。

子育てのゴールは何処ありや、てな感じで、日々模索しつつ気づけば娘は成人し、就職し、世間的には一人前の様相を呈している。
働きながらの育児は過干渉になることもなく、放任主義で、大学も奨学金やらバイト代やらで、自分でなんとか卒業してくれたし、自立心のある大人に育ったと思って安心したのも束の間、ここに至って致命的な問題が発覚した。
家事が出来ないのである。正確に言えば、やればできるのだが、やらない、やろうとしない。食事はやむを得ない状況になれば作ることもあるし、掃除も気が向けばするが、洗濯だけは何があってもしない。理由を聞けば、

「どうやればいいかわからない」

全自動なので洗剤と洗濯物を放り込めばいいだけ、といくら説明しても、出来ないのである。
もしかして、この子は頭にどこか欠陥があるのだろうか?それで理解できないのだろうか?と言う方向に納得してしまっていたのだけれど、ふと、

「もしや、過保護だったのだろうか」

と、気付いた。
娘に言うと、

「え、気付いてなかったの?ビックリだわ」

と言われてしまった。

真面目な話、過保護って無自覚なことが多い。周りからは、呆れられたりしていても、渦中の本人は気付いていないのだ。
よく、人様を見ていて、過保護だなあ、と思っていたのだけど、まさか自分が過保護だったとは。

「干渉はされないし、世話はしてもらえるし、楽だよね」

とは、息子の弁。

こうなると、子育てに成功したのか失敗したのか全くもってわからない。
夢から覚めたような、衝撃的事実に唖然とするのだった。

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