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VRASMRって凄い!!!

 皆様こんにちは。VRchatを初めて早三か月が経とうとしている一般VRChatterの重です。

 本日はフレンドに誘われてVRASMRなるものを体験したため、その感想をしたためようと思います。最初に言っておきますがこれは記事と呼べるようなものではなく、ただVRASMRに脳を溶かされた人間の歓喜の叫びです。心得てお読みください。 


VRASMRへの誘い

 まずは今回の経緯を軽く説明しましょう。

 時は清明。不意に現れた休日を無為に過ごそうかと思っていた折、フレンドがX(旧Twitter)でこんなことを言っていました。

 「ASMRの練習台になってくれる人を募集しています!」

 ASMR、練習台……。何やら卑猥な物語の冒頭のような呟きですが、仮にもフレンドの関係性。私もこの発言の意味は分かります。

 私がプレイしているゲームのような何か、VRChatはいわゆるメタバースと呼ばれるジャンルのVRSNSであり、ゲーム内では有志によって様々なイベントが催されています。

 VRASMRもその一つ。毎週金曜にASMR集会という団体が催している体験イベントで、フレンドはそこのキャスト(ASMRをする側)をやっていると聞いていました。

 さて話は戻って。以前から興味があった+極めて暇だった私はフレンドの募集に勢いよく手を挙げ、あっという間に私のVRASMR初体験の日取りが決定しました。これが三か月のVRChat歴を一変させる大イベントだとも知らずに……。

そもそもASMRとは

 VRASMRという亜種の話をする前に、原点であるASMRの話を挟んでおきましょう。

 ASMRは自律感覚絶頂反応(autonomous sensory meridian response)の略であり、耳かきや水音などの音を立体的に収録することで聴き手の脳に実際にその音を間近で聞いているかのような感覚を与える音声作品の総称、というのが端的な説明でしょうか。

 未だ科学的根拠はありませんが、「ASMRを聞くと癒される」という人はかなり多く、Youtubeなどの動画投稿サイトでは多種多様なASMRを無料で聞くことが出来ます。

ASMRをテーマに制作されたアニメ作品
180秒で君の耳を幸せにできるか?(https://180-kimimimi.jp/)


 また有料の物では、最近何かと話題のDLsiteにて高田憂希さんや高橋李依さんなど有名声優の方々がCVを務める音声作品が多数販売されており、ゲームや漫画などのコンテンツを押しのけて総合ランキングを埋め尽くしています。

 かくいう私も、ASMRの虜。DLsiteで購入した作品数は百を優に超え、その合計再生時間は最近200時間を突破しました。一週間ぶっ続けで聞いても聞き終わらない計算です。(その全てが成人向けなことには目を瞑りましょう)

 勿論Youtubeもテリトリー内。周防パトラさんや奈羅花さんなど上質なASMRを提供するVtuberはメンバーシップに加入するなどして応援していますし、バーチャルメイド喫茶『ますかれーど』やあおぎり高校などASMRコンテンツを多く提供している事務所は箱単位で応援しています。

 そう、言うなれば私はASMRマイスター。耳を完全に開発された歴戦の猛者なのです。

いざ決戦へ

 さてASMRとは何か、私がいかにASMRを愛しているかを語りつくしたところで本題に戻りましょう。

 昼下がり、私は件のフレンドからinviteを受けASMR会場へと赴きました。

 今回訪れたワールドは普段先ほど紹介したASMR集会が開催されているASMR集会会場というワールド。

 ワールドに入ると凄まじく可愛らしいメイド服に身を包んだフレンドが出迎えてくれました。そもそも僕が真冬ちゃんの愛好家なこともあって、既に感情が爆発しそうでしたが、ここは決戦の場。冷静さを保ちながら椅子に座ります。

着席

 防音機能が付いているらしいブースに腰を掛けると、体勢の調整が行われ、VRとリアル双方の私がごろんと寝転がります。
 隣にあるのは怪しげな器具達。どうやらこれらの器具の先端からASMR音声が流れ、それを耳に近づけられることで施術は進んでいくらしいのですが、この時点で私はVRASMRを多少侮っていました。

 私が普段聞いているのはASMRのプロ達によって製作された有料のASMR。収録機材はKU100(ASMRでよく使われる強強マイク。お値段約130万円)が当たり前で、作品の販売価格も2000円ぐらいは当たり前の世界です。
 値段だけでいえばハリウッド映画を見るのと変わらないわけで、制作側もそれぐらいの気合を持って作っているはず。


最強ダミーヘッドマイクKU100(1,374,800円税込み)

 対してVRASMRはVRゴーグルさえ持っていれば完全無料。作っているのも有志でしかなく、どこまでいっても個人製作……。

 そう思っていたのが、間違いでした。

施術開始

 今回のコースは美容室をイメージした散髪からシャンプーの工程+耳かき。
 寝転がった私の頭にはまず霧吹きが吹きかけられ、カット、シャンプー、洗髪と続いていきました。
 その後には数種類の器具を使った耳かきが行われ、ASMRとしてはまぁ定番の流れです。

用意されたギミック達

 誰かが何かを囁いてくる訳でもない。卑猥な演出などこれっぽっちもない清廉潔白単純明快なごく一般的なASMR。の、はずだったのですが。

 あれは開始から一分程だったでしょうか。私は今回の対戦に敗北したことを悟りました。

 「あいつ、ワシより強くね?」などとのたまっている暇はありません。スピード感でいえば、シャウアプフを目にしたノヴ並。完全なる再起不能です。

 霧吹きをかけられた瞬間、私の全身は未曽有の快楽により振動を始め、打ち上げれたキハダマグロのようにビチビチ跳ね始めました。普段成人向けASMRでオホ声を聞いていた側が、あっという間に奇怪な叫びを上げる側。とてもミュートを解除できる状態にはなく、約40分ほどの施術はただ唸りながら終了しました。

 どうしてASMR界の呂布奉先を自称するこの私がああも無残な敗北を喫したのか、この溶けきった頭を回しながら必死に言葉を紡いでいきましょう。

新時代のASMR

 ASMR集会のグループ説明にはこんな文言があります。

 「新時代のVR ASMR体験で今週の疲れを癒やし、癒されに来ませんか?」

 新時代のASMR体験。今時Adoか居酒屋でしか聞かない文言ですが、体験した身からするとこれは一切の誇張なき真実です。

 VRASMRはASMRを構成する二つの大きな要素、その両者を大きく覆した革新的な代物であるとここに断言しましょう。

視覚情報という力

 いうまでもなく、ASMRは聴覚に依存したコンテンツです。

 音だけで聴き手に状況を理解させる。

 このハードルを乗り越えるべく、高いマイクを使って音質を向上させたり、環境音を充実させて没入感を高めていくのが通常の手法でしょう。そうした技術や資金がない場合は声優さんに「今○○をしていますよ~」などと若干冷める発言をさせる場合もあります。

 それぐらい、聴覚だけで情報を与えるというのは難しいことなのです。

 しかしここはVR。VRASMRはある種チートともいえる方法でこの問題を克服していました。

 VRASMRでは、実際にアバターが横に立って聴き手のアバターに施術をしてくれます。シャンプーをする時はちゃんと頭を撫でてくれるし、髪を切るときは後頭部を覗き込んだりしながら限りなくリアルにASMRをしてくれるのです。

画像はない。何故なら感動しすぎて取り忘れたから

 こうなってくるともう現実と大差はありません。現実でちょっと香水の強い美容師のおじさんに髪を切られる体験が、より快適な音声と可愛らしいアバターによって再現されていきます。

 視覚情報という暴力とそれを織り込んだ施術者の繊細な心遣いと技術。これによってVRASMRは次元の壁を破壊していました。

ASMR定位

 音楽用語の一つに定位というものがあります。「音が鳴っている位置」という意味の単語で、定位が優れているイヤホンはFPS等の業界では足音が聞こえやすいとして重宝されています。

 ASMRにおいても定位はかなり重要視されており、どれだけ音質のいいマイクで収録しても定位が整っていないと、足元で鳴っているはずの音が耳元で聞こえるなどという不可思議な状況が生まれてしまうのです。

 VRASMRは、この定位という概念においても新時代を迎えていました。

 そう、そもそものギミックを動かせば音量等の調整をせずとも定位が整ってしまうのです。
 ASMRの収録ではわざわざダミーヘッドを用意したり、そもそも人間の頭部を模したマイクを使用することで必死に定位を調整している都合上、どうしても耳元以外の定位が弱い傾向にあります。
 後頭部を撫でる、という行為一つとっても、人間によって体形や骨格は様々。聞く人の体勢などからも「その人にとっての後頭部」は変化してしまいます。

 しかし、VRASMRならギミックをアバターの後頭部に持っていけば定位の調節が終了。あまりにも簡単な解決です。

施術者の技術

 ここまでVRASMRをVRという環境だからこそ出来るとんでも体験のように紹介しましたが、実際に体験して何より感じたのは施術者の技術力です。

 先述の通り、VRASMRはワールドギミックの先端からASMR音声が流れることで体験できるのですが、そのギミックの扱い方にプロの技術が現れます。
 ただの均一な音声に聞こえないよう、耳に近づけたり話したり、耳かき自体の角度を変えたり。耳から離すときは「耳に触れていないのに耳かきの音が聞こえる」という状況が生まれないよう気を使ってくれるのです。

 定位に関してもそう。リアルタイムな体験だからこそ、手早くギミックを動かして適切な位置にギミックを動かし、違和感が生じないよう施術する。
 未だにカメラを取り出して写真を撮ることすら覚束ない私には真似できない芸当です。

 一度完璧を叩き出して収録してしまえばそれが完成品となる通常のASMR作品と違い、一回きりで最高値を叩き出さなければならないVRASMRは新次元の努力の賜物なのだと感じました。

まとめ

 今回の体験を一言で表すとすればただ一つ。

 VRASMRってスゲェ!!!!!

 あの革新的なギミックを生み出した制作者の方々、没入感を高めるワールドの制作者の方、そして何よりテクニックを積み上げたキャストの方々。

 あらゆる人々の技術と執念が込められた53MBの空間。

 それを体験できるASMR集会は毎週金曜22時から!一度体験するともう逃れなくなるぞ!皆行こう!


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