寝返れども寝返れども

一日中、雨。朝起きたときには頭の右側が痛かったけど、昼過ぎには左側が痛かった。あらゆることが手につかず、ソファに横になるのだが、しっくりこない。仰向けになったり、右側を下にしたり、足を曲げたり伸ばしたりどれだけ体勢を変えてもなんともしっくり来ないので、横になることを早々に諦めては適当なストレッチをしてみたりするのだけどほんの気休めにしかならず、いつも暮らしている自分の部屋なのにまるでここには自分の居場所がただの1箇所もないような気分にさえなる。
諦めたようにそうめんを茹で、諦めたように仕事のメールを返し、諦めたようにエアコンの除湿のスイッチを押す。7月まではエアコンをつけない、と心に決めていたはずなのに。

先週末は2日続けて名古屋でラジオの早朝生放送。前日はいつもほとんど寝られないので自ずとテンションが変になる。遠征、早朝、生放送、寝不足、という普段と違う条件がいくつか重なって、どれだけ冷静を装っても浮き足立つような感じになってしまう。スタッフと笑い合い、読み切れないほどのメールが番組に届いてあっという間に放送は終わり、楽しい時間の後に必ず訪れるのは恥ずかしさ。一人ホテルに帰って、ちょっとはしゃぎ過ぎだったのではないか、もっと語るべきことが他にあったのではないか、と見る見るしゅんとなっていく。
「私はステージで2万5000人と愛し合って、それでも家に帰れば一人ぼっちなの」という旨のジャニス・ジョプリンの名言を一瞬思い出しては、いや、2万5000人も聞いていないし、何もかもがそれとは違うような気がするけれど、それでも独りというのはどこまでいっても割り切れないのだから、そういう意味においては同じ孤独。ひどい雨が降っている、というただそれだけで会ったこともないジャニスにこうも簡単に想いを馳せてしまうのだから、とても単純。




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