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輝きは日常の中に・バチェロレッテ3 (Final)


どうも、あやです。

バチェロレッテ3のレビューもラストです。
皆さまお読みいただきありがとうございます。

ちなみに私は今、推しが選ばれない大鬱(4年ぶり2度目)の中におります。
同じ気持ちの方も、そうでない方も、気休め程度にご一読ください。


“Don't judge a book by its cover”

5月23日、東大→METIの文武両道理系才女がバチェロレッテの主役として発表された。
知的な彼女がどのように感情を言語化し、どれほど素敵なストーリーになるのか?私の胸は高鳴った。

続いてその一週間後、男性陣が発表される。
医師、物理化学者、獣医師、ヴィオラ奏者、歯科医師、経営者…
自他共に認めるサピオセクシャル(知性愛者)である私は、泡を吹いて昇天しかけてしまった。
見目麗しいハイスペ男性陣が、彼女と織りなす心の交流は、とびきりウィットに富み高尚で幸福感に溢れるものとなるだろう・・・
その幻想は2ヶ月もたたぬうちに、インディゴブルーに染め上げられてしまった

Ep7を見終えて数日が経ち、私の頭に浮かんだのが、バチェロレッテ1のマラカイ氏が教えてくれた小見出しの言葉である。
ハイスペはみんな恋愛強者で適応能力が高いものと、なぜ思い込んでいたのだろう
インフルエンサーの卵が有名YouTuberを取り合います!という謳い文句ならば、これほど大きな期待を寄せなかった。
自身が人を見る解像度の低さが強火で炙り出され、焦げついた牛串になった気分だ。

「本の中身を表紙で判断してはいけない」。
崇高な御伽話だと思って手に取った本の中身は、あまりに悲しく見応えのあるドキュメンタリーであった。


日常と非日常は別物

本作のエンディングは、坂口さんを選び秒で別れる変則Unhappy Delicacy End であった。
アフターファイナルは、最も恐れていた失恋慰労会となってしまった。
なお、私の推しである櫛田さんは、杉ちゃんの悲劇を教訓に防衛規制で出した予想の通り、最後の最後で選ばれなかった。

はっきり言ってしまえば、本作出演者のほとんどは、恋愛リアリティショーという短期間フォーマットに不向きであった。
彼ら非日常に飲まれへんのや。強いな。と思えるような浮かれなさ、日常と変わらないと思われる姿がひたすら画面に映り続けていた。

ちなみにバチェシリーズの参加者同士で現在続いているカップルは、ラー3のしんめぐ、ロレッテ2中道君とラー5西山さんの2組である。
どちらもシリーズ終了後、日常生活で愛を育んだカップルだ。

一方、番組で結ばれたカップルは今作の亜樹さんとグッチを含め、7組全てが破局している。

他の恋リアを見てみると、元恋人5組が共同生活を送る「ラブトランジット」では4組中2組、外見の見えない相手と婚約し生活を擦り合わせて成婚に至る「ラブイズブラインド」では2組中2組がカップル継続中である。
正装、パーティー、海外リゾート、豪華デート・・・ラグジュアリー感が段違いなバチェシリーズは、旅と生活のギャップがあまりに激しく魔法がとけてしまいやすいのだろう。

亜樹さんは放送前のインタビュー記事で、「旅が終わってからが大事」「価値観に自信が持てた」とポジティブな発言をしている。
もしかしたら既に番組外のパートナーがいるかもしれないし、日常にフォーカスした婚活で手応えを感じているかもしれない。
現実の婚活では、マヌカハニーを喰わせたり、床で高速回転したり、消防車に乗ってくる人はいないから、こちらの方が亜樹さんには合っているのかもしれない。


誠実のダブルバインド

ラスト2のスペックには多くの共通点がある。
国立大理系卒で先生と呼ばれる職に従事し、芸能関係の仕事をしていないこと、面長醤油顔で日焼けが似合うことである。

対比ポイントもある。
坂口さんは、集団でのリーダーシップには欠けるが、日々患者と対話してきた経験のおかげか1対1では堂々としている。
櫛田さんは真逆で、教員やサッカーの経験からか集団に強いが、1対1ではうっかり言葉足らずな表現をしてしまう。
序盤の男性参加者が多い場面と、8話の1対1ラストデートでは2人のエネルギーがまるで逆転している。
櫛田さんのヤバイヤバイ!は、仲間がいなくなることの心許なさから出た言葉かもしれない(完全擁護)。

坂口さんと櫛田さんは、序盤から亜樹さんやセバスさんが語っていた「人間としての対等性」と、最終的に1人が選ばれて一緒に帰るという「番組の体裁」という2種類の誠実にダブルバインドされている状態だった。
両者共に恋愛感情が持てず、まあまあのデリカシーのなさとジェットコースターぶりを見せていたが、ラストまで選ばれ続けたことでどちらか一方の誠実を選択しなければならなくなったのではないだろうか。

坂口さんは「番組の体裁」をとった
道義的責任を果たす覚悟を持ち、一人の人間としてではなくバチェロレッテとして亜樹さんを見る方針に切り替えた。
好きと自分の気持ちを偽ることなく、失った時を考えさせる手紙という高等手段によって、自分にローズを渡す理由を与えたのだ。

櫛田さんは「人間としての対等性」をとった
一対一で向き合うスタンスを最後まで崩さず、やや残酷ではあるが本心を伝えることにした。
そして亜樹さんの意思を尊重するという対等性の強調でもって、自分にローズを渡さない理由を与えたのだ。

二人は結論こそ異れど、最後の最後に俺なりの誠実を見せてくれた気がする。



輝きは星空の中に・アキさん

何よりもまず言いたいのは、私は今アキさんの心の平穏を願っているということだ。
星空からたくさんの活力をもらって、健康に暮らすアキさんの姿を、私は昨夜からずっと妄想している。

1話で「この旅の基準は私になってるから」と言った通り、彼女は最後まで自分軸での判断を貫き、最初からタイプだった坂口さん、中盤から強烈に惹かれ始めた櫛田さんを残した。
飯野さんや小川さんを残しておけば、と思う一視聴者の私のことは、タラレバはないです!とイマジナリー萌子に一蹴してほしい。
あ、でもYU-YAは絶対残しておくべきだったよ。

好きになってくれそうな人よりも、自分が好きだと思った人を残す、というのは自ら退路を断つタフな方針である。
最終回に至るまで、二人の気持ちが盛り上がっていないことにも当然気づいていただろうに、彼女はひたすら直感に従い続けた。

ラストも直感で決定するならば櫛田さんだった、というのは視聴者の多くが感じていることだろう。
それでもバチェロレッテという責務を全うするため、坂口さんを最後の1人に選び番組を成立させることを選んだのではないか。
折れてまで追わないことは、アキさんにとって唯一の理性による判断だったように思う。

セレモニー後の、切ない櫛田さんとのお別れには泣いてしまった。
最後のハグの時、このまま離れたくないというアキさんの心の声が聞こえてくるようだった。
好きな人と恋人になれる可能性を放棄することは、どれほど苦しかっただろう。
私がアキさんだったら絶対彼を選んでいるし、旅の途中で好きにさせたる精神で全力行動したが、彼女はそんなオゲレツな人間ではなかったのだ。

また、最後の座談会で櫛田さんが”未練はない”と言い切った時の、縋るような表情も悲しかった。
彼女を通して、若き恋のトラウマを思い出してしまったお姉様方も少なくなかったのではないか。
私もそうだったので、山本さんや飯野さんのショーマンシップ溢れる気丈な振る舞いに心底癒された

彼女の配慮や受容の度合い、コミュニケーションについても言及しようと思えばできるのだが、そのような気持ちにはならない。
後半になるに連れて笑顔が曇り、瞳から輝きが失われていったアキさんに、追い討ちをかける言葉を今書きたくない。

完璧でない若者が、暗闇の中たった一人で光を見出そうと頑張ったのだ。
彼女を讃えること以外、私にはできない



輝きはTOKYOの夜に・グッチ

敢闘賞に値するほどの的外れな失言と自爆で、この旅を明るくしてくれたのがグッチだ。
これまでのシリーズにも普段チャラけた参加者はいたはずだが、喫煙や合コン三昧をオープンにした者は一人もいなかった。
親も出る番組で自ら不誠実アピールをするぶっ飛び具合には笑わせてもらった。
そういえばタバコ吸いの割には歯が綺麗だけど、ホワイトニングはどこの病院でしているんだろう。

一方、最後まで彼は仲間を泣いて見送ることもなく、ほぼ動かない感情にハイスペの在り方を見た。
努力で道を切り開いてきた人間特有の、根拠のある自信とメンタルが彼には漲っている。
それゆえ彼はノンデリカシーでも怖気付くことなく、等身大の自己開示を重ねていけたのかもしれない。

いずれグッチが結婚する相手は、トロフィーワイフか地元の令嬢だと思うが、彼はまだまだ独身ボーイズクラブ in TOKYOに浸かっていたいだろう。
タワマンパーティーでサトシと再会する日もそう遠くはないかもしれない。
バチェロレッテ3の覇者として、不祥事だけは起こさないでほしいと願うばかりだ。

結末は残念だったが、アキさんを手ぶらで帰らせまいと職責を全うしたことは素晴らしかった。
敬意を表し、西麻布方面に向かって、ほんまにありがとうと言いたい


輝きは筑波嶺に潜む・くっしー

自分の思っていること以外はお世辞も言わない、最もショー向きでない男がくっしーだ。
「今すぐ恋人になるのでなく、日常で関係を深めていければ」とバチェラーシステムそのものを拒絶した出演者は初めて見た。
なぜ迂闊にもこの競技に参加してしまったのか。多分、他薦で断れなかったのだろうが。

失礼を承知で申し上げると、くっしーは決して超イケメンではない。が、落ち着いた声や不思議な眼差しに謎の色気を感じる。
初めこそ価値観に興味を持たれたはずだが、全く好きな素ぶりを見せない人間が、それだけでファイナルまで残されるはずがない。
いつの間にかアキさんは、彼の朴訥と知性と男性性のギャップに沼ってしまったのかもしれない。

しかし最終回にかけて、普通事件から続く過緊張のためか、彼のアウトプットの弱さが露呈しまくってしまう。
アキさんとは根底こそ似通っているが、二人の会話のテンポやユーモアは終始食い違っており、時に不穏な空気さえ漂っていた。
最後に理性を働かせたアキさん・最後に感情が出たくっしー、という対比もまた、二人の相違を示唆している気がする。
彼と彼女の相性は、決していいものではなかったように思う。
グッチ以上にノンデリで繊細な彼には、ちっちゃいことは気にしないゆってぃメンタルの女性が合いそうだ。

My Forever推しであるくっしーだが、職業ゆえ落合陽一リスペクト一門でもない限りタレント化することはないだろう。
ビューティーイベントにも仕事の関係で出られないと公言していることから、彼はもうじき表舞台から消え、ひっそりと日常の研究生活に戻っていくのだと私の直感が言っている。
暫し亡霊と化したくっしーファンは、SNSを通してうどんを食らう姿でも見て、時が経つのを待とう。
いけすかないティックトッカーとでも付き合い始めたら、小姑みんなで泣こう

1では現代画家、2ではバスケ選手、3では物理化学者。
主人公の心を動かしファイナルで美しく散る”裏主人公”を輩出してきたバチェロレッテシリーズだが、4ではどんな業界から猛者を見出してくるのだろう?

輝きは日常に潜んでいる。
一見平凡そうなのに、唯一無二の魅力を持つ人というのはそこら中に存在しているのかもしれない。
「本の中身を表紙で判断してはいけない」。
もしかしたら近所のお兄さんが、再来年には画面を通してあなたを沼らせてくれるかもしれない。


(終)

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