7ヶ月

義母に庭で山椒の実がなっていると教わり、嬉々としてとらせてもらう。山椒は大好きだけれど、山椒の実がどのようになるのかは、この歳になって初めて知った。

"冷凍できるのだから、ついでに木の芽もたくさんとっていきなさい"と言っていただき、山椒の木の葉のことを木の芽ということも、恥ずかしながら初めて知る。

爽やかな香りを放ち、遠くからでも"美味しそう"と感じさせるこの木は、身を守るためか、たくさんの棘を纏っている。

ちょっぴり棘にさされつつ、てんとう虫の幼虫のような虫たちと分け合いっこしながら、綺麗な葉っぱをいく枚もいただいて帰宅。葉をきれいに洗い、すりつぶし、酒みりん味噌と合わせて木の芽味噌に。

その晩は、出来立ての木の芽味噌と、冷蔵庫にあった食材、市場で買った水茄子と漬物、近所のスーパーで買った天然ものの鯛の刺身で、料理好きのパートナーが美味しい和食を作ってくれた。
豆腐とそら豆のカクテル、水茄子のお刺身、鯛の漬け丼、鯛出汁茶漬け、香の物、お味噌汁。
香りも見た目も、もちろん味も最高。美味しすぎた…。

庭に質の良い山椒の木があることも、スーパーで美味しい刺身が買えることも、市場に水茄子がおいてあることも、この土地ならではだなあと思う。

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福岡に越してきてから、この恵まれた土地と、パートナーはじめ家族や親戚のおかげで、もともと好きだったことにより磨きがかかり、豊かだなあ、満たされているなあ、と感じることが増えた。

そう思いながら、「豊か」とか「満たされる」って本来どういう意味なのだろう?と、久しぶりに辞書を開く。
「豊」は象形文字で、食器である豆の中に、稷の類を盛った字。大きい、多い、という意味をもつらしい。「満」は形声文字で、膝掛け全体に刺繍がほどこされている様からできた文字だそう。(白川静『常用字解』)

うーん、違うなあ。そういう、たくさんあって立派できらびやかな感じからは、どちらかというとかけ離れている、地味で手間のかかる生活が楽しいのだよなあ…なんて考えながら、生きるに、活きるを重ねる「生活」って言葉って面白いな、と、また辞書をひく。
すると「生活」の第一義は、「生きること」(広辞苑)と書いてあってびっくり。

生活を楽しむことは、生きることを楽しむこと。
生きるのが楽しくなった!とまでは思わないけれど(笑)でも、ちょっとした手間をかけて生活をすると、自分の土台がちゃんとすることを、ずっと感じている。

#山のある暮らし

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