よく分かるメカニカルキーボードの基本
この度キーボードを新調しました。
これまでは比較的安価なメンブレン式やパンダグラフ式を使用していたのですが、コロナ禍で自宅環境を整える必要もあり、この機会だからということでメカニカルキーボードを選択しました。
メカニカルキーボードの特徴として、パーツや配列の選択肢の広さ、拡張性の高さが挙げられます。
そのために必要な知識が結構あるのですが、あちこちを調べるのに時間がかかったので、そのメモを記事としてまとめてみました。
キーボードサイズ&レイアウト
キーボードには使用するキーの種類によって、大きくキーボードサイズの分類があります。ここではその中のいくつかを紹介します。
なお、キー配列やどのキー種類、キーの形に関しては製品によって異なります。
また、よくフルサイズキーボードと呼ばれるものがあるようですが、これはキーピッチ(キー同士の間隔)が約19mmの規格のものを指すらしいです。メカニカルキーボードは基本的にはこの規格に則っているため、ここで紹介するものはすべてフルサイズ(フルピッチ)キーボードとなります。
フルキーボード(100%キーボードとも)
テンキーがあるレイアウトのキーボードです。
デスクトップ型PCを購入した差異にはこのような配列だったのではないかと思います。
数値入力が多いユースケースの方におすすめです。
テンキーレスキーボード(75%キーボード、80%キーボードとも)
数値入力があまり多く無く、テンキーが必要無いと思っている方はテンキーレスキーボードがおすすめです。
また、フルキーボードからテンキーを取っただけの形ではなく、上下の余白とキーの形を調整したものもあります。
コンパクトキーボード(60%キーボード、65%キーボードとも)
テンキーレスキーボードから、更に矢印キーやファンクションキーを除いたものがコンパクトキーボードと呼ばれているものです。
より小型なので持ち運びにも優れていると思います。
HHKBキーボード
上述してきたくくりではないのですが、プログラマならば誰もが一度は耳にしたことがあるHHKBキーボードも掲載しておきます。
コンパクトキーボードと比較しても更にキーの数が少なく、正に玄人向けといった印象を持ちます。
キースイッチ
キー部分(キーキャップ)を外すと現れるこの部品がキースイッチです。
キーボードの根幹とも言って良いほど重要なパーツで、このパーツの構造の差によってキーボードは分類されます。
・メンブレン式:ラバードームによるキーの支持構造
・パンタグラフ式:ラバードームの周りにパンタグラフがついた支持構造
・メカニカル式:スプリングによるキーの支持構造
このうち、メカニカル式は①接点接触式と②静電容量無接点式に分かれます。
①接点接触式
いわゆるメカニカル式というのはこちらの接点接触式を指します。
スイッチ内部の板状のバネが接点となって、キー押下によって電流が流れる仕組みです。
メカニカルキーボードと呼ばれるものはこちらの方式のキースイッチを搭載しています。
接点接触式キースイッチは各社が販売しているのですが、ドイツのCherry社が出すCherry MXが最も有名だと思います。
軸と呼ばれる種類が存在し、これによって自分好みの打鍵感を選ぶことができます。
種類としてはざっと下記な感じです。ちなみに荷重とはクリックするときの重さを表します。
・黒軸:クリック感なし、キー荷重60g
・青軸:クリック感あり、キー荷重60g、音結構出る
・茶軸:クリック感あり、キー荷重55g
・赤軸:クリック感なし、キー荷重45g
・静音赤軸(ピンク軸):クリック感なし、キー荷重45g、赤軸より静か
私個人としては茶軸あたりが今の所の好みです。
自分の好みがわからない人は実際に店頭で触ってみることをおすすめします。
②静電容量無接点式
接点接触式が接点を持つのに対して、静電容量無接点式はその名の通り、接点を持ちません。スイッチ内部のスプリングが変形する際の静電気を感知することによって、キー押下に反応します。
PFUのHHKBシリーズや東プレのREALFORCEシリーズに搭載されている方式になります。
ちなみにキー荷重という観点でいうと、HHKBシリーズは固定荷重と呼ばれるキーボード全体が同じ荷重のキー荷重となっているのに対し、REALFORCEシリーズには変荷重と呼ばれる位置によって異なるキー荷重をかけているキーボードが存在します。
このあたりも好みがありますので、どちらかの購入で選ぶ際には参考にしても良いかもしれません。
キーキャップ
キーボードの指に当たるキーの部品をキーキャップと呼びます。
キーキャップは前述のキースイッチの規格が合っていれば、簡単に付け替えをすることができます。
以下のサイズやプロファイルや素材を理解できると選択しやすくなると思います。
サイズ
上述していますが、フルサイズキーボードのキーピッチは約19mmです。
キー間の遊びを考えて約18mmほどのキーキャップが最小単位となるのですが、この最小単位のキーキャップサイズを1U(1Unit)と呼びます。
他のサイズはこの1Uと比較してどれほどの大きさなのかで呼んでいます。
基本は0.25U刻みで販売されているようです。
プロファイル
キーキャップはサイズが合えばすべて同じ形状をしているわけではありません。
プロファイルと呼ばれる種類によって異なる形状をしています。
実はキーボードには行の概念があって、下記の画像のようにR1~R4という呼び方をしています。
なお、F1の行はR1、Ctrlの行はR4(スペースのみ別の形)のキーボードが多い模様です。
基本的にはR1→R4は上から順番のルールなのですが、キーキャップメーカーによっては逆順で決めているところもあるようなので、注意が必要です。
キーキャップはこの行によって形を変えるプロファイルのものが多いです。
例えば私の所持しているOEMプロファイルのキーキャップの場合、下記の画像のようになります。
左から順にZ(R4)、A(R3)、Q(R2)、1(R1)のキーを並べています。
形がそれぞれ異なるのが分かるかと思います。
キーキャップにはOEMやDSA、Cherry等、数多くの種類がありますので、今あるキーボードのキーキャップを一部変更しようとしている方はプロファイルをご注意ください。
プロファイルが異なると、そこだけ違和感のある打鍵感になってしまいます。
素材
キーキャップ素材として市場に出回っているもののほとんどがABSかPBTのものです。
・ABS:比較的安価、比較的耐久性が低い、ツルツル
・PBT:比較的効果、比較的耐久性が高い、サラサラ
プロファイルと行、サイズが合っているキーでも素材が違うとやっぱり見た目や押し心地も変わってきます。
最後に
雑にメカニカルキーボード欲しいなって思っても、自分のこだわりを追求するには意外と多くのことを知る必要がありました。
しかし、その分、自分好みにカスタマイズしたりキーキャップのカタログを眺めたりする楽しみもあり、そういうところを感じられるのもメカニカルキーボードの良さなのかなと思います。
この記事が、今なにかで迷っている方の参考になれていたら嬉しいです。
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