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運の話し 

 貧乏三代続かない、金持ち三代続かないと聞いたことがあります。
 聞いたことが立証できるか?
 歴史を紐解いたり、ニュースを見聞したり、ご近所さんの栄枯盛衰の噂話を小耳に挟んだりと情報を収集し続けております。
 当たっているような気もしますが…。
 天皇家、徳川家のような恵まれた家系もあれば、大衆から抜きんでることがない一般家庭的な家系のほうが圧倒的に多いんですよね…。

 清水の次郎長のような博徒の男が歩いていると、総髪の男が寄って来た。
丁寧な挨拶をして聞きたいことがあると云う。
 あまりに丁寧に接されたので、質問を聞く気になり博徒の男は耳を傾ける。
 総髪の男は自身は占い師を生業にしていると立場を明かし、数か月前に、どこどこの町であなたとすれ違いました。
 その時のあなたは死相が出ており、これは永くないと観相判断しつつすれ違いました。
 それが今日生きた貴殿と出逢えたのも奇跡であるし、何より貴殿の死相はすっかりと消失し、むしろ素晴らしい相となられている。
 この数か月の間にあなたは何をしましたか?
 私は観相、手相で占うことはできるが、読み取った運命をこれまで変えられたことはありませんでした。
 劇的に変わったその心当たりを是非とも知りたいと無礼かと存じますが、お声をかけさせて戴きましたと伝えた。
 博徒の男は数か月前に確かにその町に居た。
 どこで観られていたのか、完全に一方的に観られており、自身に目の前の男の記憶はなかったが…。
 言われた日からのことを考え込んだ。
 あ、といつもと違った行動を思い出した。
 溺れている母子を助けたことか?何か良いことをしたと問われれば、それくらいしか思い当たることは無かった。
 答えられた占い師の男は大きく頷いた。
 死ぬ筈の運命の母子を助けたことが、殺される運命だった男の運命を変えたのだと云う。
 私は実話として聞いたお話しです。
 これまでに私が運に関連するなと思い、ずっと覚えているこんな話を語りたいと思います。

 
 
 
 
 

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