クイズ大会の作り方(2023.09.04更新)

※この原稿は2021年に公開した「Re:Q 2021」に掲載した「オフラインクイズ大会の作り方」というコラムを再掲載したものです。なので時代にそぐわないもの、浅慮ゆえに間違った知識があるかもしれませんが、その場合は(できれば優しく)ご指摘いただければと思います。

また、もしよろしければこちらの問題集も購入いただけると嬉しいです。載っている内容は全く同じですが・・・
https://sasuquiz.booth.pm/items/3532832

「大会をどうやって作りたいか知りたい!」みたいな声をちらほら聞いたので、2年前に出した「千葉高校生クイズ交流会」という問題集に掲載した「クイズ大会の作り方」というコラムを再掲載します。皆様の大会開催の一助になれば幸いです。
ただ、コロナ以前に書いたものなので今とは多少事情が変わるものもあるかと思いますのでその点だけお気を付けください。
 
クイズ大会を行うにあたって、「これさえあれば、とりあえずエンディングまで無事にたどり着いて大会を完走できる」ことを目標として、私がこれまでにスタッフとしてかかわってきた大会・自身が主催した大会の経験をもとに作成したものです。
これまで大会のやり方は基本的に経験者の間で、またはスタッフの間でのみ伝わり、そういう人とのコネクションが取りやすい人(クイズが強い人、またはコミュニケーション能力に優れた人)で共有される一方、クイズを始めたばかりでどうしたらいいのかわからない方、そもそも大学生・社会人とコネクションが取りづらい新興の中高生などは「大会の作り方」がわからないのではと思い、「大会をやってみたい!」と思う人に対して開催のハードルを下げたいという思いから、このようなものを書かせていただきました。
なので、「これを守れば大会は成功する!」というものでも、「これを読めば参加者全員が感動する素晴らしい大会を作れる!」というものでもなく、あくまで「大会は開催してみたいが、なんの手がかりもないので途方に暮れている」と感じている方を対象に、「とりあえずやってみるための手がかり」となるようなものを目指して作成しております。また、私個人の考えも多く含まれるため、そこのところをご承知おきください。


大会開催を決めるまで

「大会を作りたい!」と思ったら

大会を作る前にお勧めしたいのが、まずはいろんな大会に出てみることです。特に最初のうちはあまり出る大会を固定せず、mono-seriesや変化球、ジャンル別大会など様々なタイプの大会に挑戦してみると視野や発想が広がるのでお勧めです。
最初のうちは参加者のニーズを深く考えずに自分がやりたいことをやっていくのがいいと思います。特に「自分が出てみたい!」と思えるような大会を思い描き、そこから構想を膨らましていくと、大会の土台ができるはずです。ここら辺は自分の思想によるものが大きいので、あまり「前例がないから・・・」「参加者が集まりそうにないから・・・」と縮こまらずに、自由に考えていった方がいいと思います。
作りたい大会が決まったら、次に行うのは「会場を探す」ことと、「スタッフを集める」ことです。

会場を探そう

まずは大会を開催するための会場が見つからないと話になりません。まずは近隣の会場を探しましょう。「(地名)+会議室orホール」で調べてみるといろいろ出てくると思うので、いろんな会場のサイトを探してみましょう。会場を探す際にポイントとなる点、注意すべき点は以下の通りです。

キャパシティについて

まずは想定参加者が入るような会場が必要となります。どこの会議室・ホールも定員が設けられるので、まずは「参加者定員」+「スタッフ数」+「10名程度」くらいの定員がある会場を探しましょう。誘導スペースなども考えると、なるべく定員数にはゆとりを持たせた方がいいと思います。
注意すべき点は、会場に定められた定員を超えてはならないということです。定員数は安全のために設けられているため、定員以上の人数を入れようとすると会場から注意が入ることがあります。

会場の設備

次にチェックするのは設備です。チェックすべき設備は主に以下の通りです。

1.マイク

問読み・司会用のマイクは用意しておいた方がいいです。小さい会議室ならば地声でもなんとかなりますが、やはりのどを痛めるのでマイクの使用を推奨します。
できれば無線マイクを使用しましょう。有線マイクも借りられる場合は、無線を司会・問読みが使用し、有線マイクを解答者用にするとよいです。また、マイクスタンドの有無も確認しておきましょう。特に問読みはマイクを持ちながら問題を読むのは大変苦しいです。
また、大きなホールの場合は早押し機の音量も聞こえにくくなるため、早押し機の音をホールに響かせるために、音量口にマイクを置くとよいです。

2.プロジェクター

得点表示を使用する場合やビジュアルクイズを出題する場合に必要となります。借りられる会場も多いですが、できれば普段部活などで使っているプロジェクターを使用した方が良いです。会場のものを使う場合は、必ず事前にちゃんと表示が移るかのテストをしましょう。PCの画面で見るのと、プロジェクターで表示するのでは見え方がだいぶ違います。
 

3.ホワイトボード・ペン

会議室ならばプロジェクターを使わずにホワイトボードを得点表示として使うのもお勧めです。ホワイトボードのペンは会場に備え付けられている場合と、受付で借りるパターンがあるので、会場に備え付けられていなければ受付で聞いてみましょう。

音響設備について

大会でBGMを流したい場合、たいていの場合はPCから流すことになるかと思います。会場にはCDプレイヤーがあることは多いのですが、PCにつないで音を出す装置があるとは限りません。会場を借りる際は、PCにつなげて使える音響装置があるかは必ず確認するようにしましょう。
小さな会議室でやるならば、自前のスピーカーで流すという手もあります。部屋の広さによってはそれで十分な場合もあります。
会場の装置を使うにしろ、自前のスピーカーを使うにしろ、解答席からどう聞こえるかは必ず確認するようにしましょう。特に端の方の関と真ん中の席で聞こえ方に大きな差があると、問読みの声が聞きづらかったりと参加者間での不公平につながりかねません。
 

電源について

会場によっては電源料が徴収される場合もあります。必ず会場の設備規約を確認しましょう。
気を付けるべきは電源の位置です。何も考えずに会場のレイアウトを決めると、早押しの電源コードが足りなくなる場合もあります。延長コードがあれば対応できる場合もありますが、コードが踏まれる可能性も考えるとなるべくコンセントの位置に近い場所に早押し機は置きたいです。下見の際はコンセントの位置を必ず確認するようにしましょう。

会場費

会場費は支払い方・金額によってさまざまなルールがあるので、必ず会場の規約を確認するようにしましょう。支払日は会議室の場合は大会当日に支払えばよいというパターンもありますが、大きなホールでやるとなると支払期限が何か月か前に設定されている場合もあります。必ず確認しましょう。
支払金額についても細かくルールが決められている場合が多いです。特に「会場がある市・区外に在住の人が借りる場合」「物販を行う場合」「参加費を徴収する場合」は会場費が割高になる場合が多いです。特に「参加費を徴収する場合」はほどんどの大会にかかわることなので必ず確認しましょう。「参加費が1000円上回ると会場費が1.5倍」など割高の仕組みについては様々なパターンがあるのでよく確認しましょう。参加費の件については「運営に利益が出ない範囲で、会場費のシェアとして行う場合は割高にならない」パターンと、「参加費をとるならば問答無用で割高」になる場合があります。この辺りは会場を借りる際、受付の人に聞いてみるといいと思います。
 
【今回追記】
過去の私のしくじりとして「その場で払う会場代とは別に、照明とか音響代を後から請求される」という事態にあったことがあります。どういうことかというと会場を使うにあたり基本的に必要になる照明や音響設備が「会場代とセットになっている」ケースと「会場代とは別に請求される」ケースがあることを把握しておらず、前者のケースのつもりで言うがまま設定をお願いしたらその時に使った会場は後者のケースで、後で高額な会場費を請求されたという事件がありました。
これに関しては相互の認識の相違や連絡・確認不足などがあるので互いに落ち度があるとして若干の設備費の値下げで放免されたのですが、今後会場を借りる人はくれぐれも「会場代以外に支払うものはあるか」「会場代の前払いをする場合は、当日にこれとは別に支払う使用料金はあるか」「支払日は当日か、前払いか」は細かく確認してください。

予約の日付

いざ会場が決まったら、次は予約です。使用するのが会議室かホールかで予約日が変わる場合もあるので、大きめの会場になればなるほどかなり前から予約を入れることができますが、小さな会議室などは3カ月前など、開催直近になるまで会場が確定しないこともあります。
また、会場予約の際に個人として施設利用の登録をしたか、団体として施設利用の登録をしたかなど、自身の施設利用登録の区分によっても予約開始日は変動する場合があります。会場を確定できるのがいつになるのかを考えながら、運営のスケジュールを組んでいくといいです。

会場規約

以上の開催にかかわる事項以外にも、会場を使用するにあたって、会場のルールや周りの方に迷惑をかけないための配慮に気を配る必要があります。
このルールを守らないと、自分が再びこの会場を使いたいと思っても断られたりペナルティがつく場合、さらに言えばその会場でのクイズイベント開催自体が禁止され、自分だけでなく多くの方に迷惑をかける結果につながりかねません。会場を借りる際は必ず規約を確認し、会場側に迷惑をかけず、気持ちよく貸してもらえるような姿勢が求められます。
 
【今回追記】
特にコロナな世の中においては感染症対策についての会場側の考えを聞いておくようにしましょう。具体的には「飲食の可否」「参加者間の距離」「何人まで人を入れて良いか」「消毒はどうすべきか」「そもそも発生を伴うイベントを開いてよいか」などがあげられます。

音量について

施設が防音であるかないかにより、大きな音を出すと他の方に迷惑がかかる場合もあるので、大会BGMを使用する場合は特に気を付けて、音を出す場合は会場にどれくらい響くのか、受付で聞いてみた方がいいです。ただ、早押し機の正解音程度でしたら、基本的に大丈夫です。

飲食の可否

会場によって飲食の可否は変わってきます。必ず会場を借りる際に確認し、大会開催に際して参加者にアナウンスをするようにしましょう。また、飲食の可否にかかわらず、会場を汚さないというのは大前提となります。そのあたりに気を配るようにしましょう。

物販の可否

参加者の中から問題集の頒布が可能か聞かれる場合があるので、あらかじめ物販の可否も聞いておくとよいです。会場によっては、物販を行う場合。または頒布するものの価格によって会場費が割高になる場合もあります。
 

併設されている施設

例えば、図書館が併設されている場合は大きな音を出すと施設からの注意が入ったり、子供向けの施設が併設されている場合は、逆に子供の声が会議室まで聞こえて、問読みの妨げになる場合があります。借りる会議室・ホール以外にも、どのような施設があるかを確認しておくとよいです。

使用可能な時間

借りる時にも申請しますが、どこの会場も借りられる時間は決まっています。そしてこの借りられる時間は「片づけを含めた時間」であることにも注意です。どんなに長引いても、会議室ならどんなに致命的な遅れが生じたとしても期限の30分以上前、ホールなら1時間以上前には大会を終了し、片づけに移れるようなプログラムを組むことが求められます。期限までに片づけが終了できないと会場側に多大な迷惑をかけ、場合によっては次回以降借りることができなくなる場合もあります。十分お気を付けください。
 

下見

初めて大会をやる、又は初めて使う会場の場合はできれば会場の下見を行って、雰囲気をつかむのも重要です。空いている会議室ならば、会場を借りる時、質問をしに行くときに頼めばたいていは見せてくれます。万全を期すならば、会場予約システムで空いている時間帯を探し、その時間帯を狙って会場に行くといいです。 
また下見の際は会場の使用ルールが書いてあるパンフレットや会場のレイアウトももらっておくと役に立ちます。
会議室の場合はあまりありませんが、ホールを借りる場合はリハーサルや会場側との打ち合わせが必須となる場合もあります。

周辺の店舗

いざ大会当日になった時、意外と「あれがない」「これがない」という不測の事態は起こりがちです。特に確認しておきたいのが「コンビニ」と「100円ショップ」の有無です。特にコンビニは印刷するものの不足が発覚した場合に頼れる味方となるので、会場に一番近いコンビニはどこにあるのかは調べておくとよいと思います。
 

仲間を探そう

並行して探すのがスタッフです。会議室レベルでなら1人で問題作成等すべてを担当し、得点や誘導などを、プレイングスタッフを募集してやる手もあります。しかし、どうしても1人だと問題や進行に関する見落としなどのミスが起こりやすいのも実情です。なるべく部活やサークルの仲間などに声をかけて手伝ってもらえないかお願いするのが良いです。Twitterで募るのも一つの手ですが、あまり会わない人だと意思疎通が困難で会ったりするのでお勧めはしません。
また、スタッフは自分の多くの時間や労力を割いて仕事をしてくれています。スタッフへの感謝は忘れないようにしましょう。

告知をしよう

大会の方針が決まり、スタッフが集まり、会場の目途もたったらいよいよ告知です。告知の際にポピュラーなのはやはりクイズナビゲーションサイト「新・一心精進」でしょう。(「一心精進 クイズ」で調べてばすぐ出てきます。)クイズ大会を検索する際の入り口となっているので、まずはここに告知をお願いするのがおすすめです。告知の仕方についてはサイトの方に詳しく乗っており、わからない場合でも問い合わせれば丁寧に教えていただけます。(私もお世話になりました。)
他にお勧めの告知手段は「Twitter」です。クイズプレイヤーは比較的Twitterを多用しています。毎日一心精進を確認する人は少なくても、Twitterならば毎日確認する(主観)ので、目に留まりやすいでしょう。 
Twitterで告知する際の何よりの利便性が「拡散」と「何回も投稿できる」点で、スタッフ全員にリツイートしてもらえればそれだけ多くの人の目に留まり、また告知は何回でも行えるため、しつこく告知を行えば、それだけ見る人の印象にも残りやすくなります。特に告知は最初の1回だけで満足せず、定期的に告知を行わないと印象が薄れてしまうので、しつこいと感じても何度も告知をツイートした方が良いです。
 
【今回追記】
最新情報は何処から発信するのか知らせておいた方が良いかと思います。Twitterで告知するのが主流化と思いますが、SNSをやっていない人に対してもここだけは見てほしいなど。
 しかし、どれだけSNS告知・ブログ告知・メール連絡をしっかり行っても見ない・確認しない人間は残念ながら一定数います。これまでは狭いコミュニティである程度ルールやマナーが暗黙の了解のうちに伝わっていて、それでなんとかなっていた面もあると思うのですが、これからはQuizKnock等の活躍でさらなる人口増加が見込まれる中で、右も左もわからず無意識に迷惑行為をしてしまう人、これまでの常識からは考えられない参加者が増えてきて、運営の過失ではないが大会の進行・準備に大きな影響を与え、結果として善良な参加者にも不利益を与えてしまうケースが出てくると僕は予想しています。そうした行為をした方にはどういうペナルティが生じるのか(当日のペーパーの受けられる時間が減る、など)を示すことも今後は大事になってくるかと思います。ただこれに関してはこれから問題が増えてくるところだと思うので、クイズの企画者みんなで考えていけたらなと思っています。

大会の準備

大会をすることが決まったら、次は思い描いた大会構想にリアリティを持たせる段階に入ります。どんなに立派な構想を思い描いても、実現できなければ意味がありません。
次はやると決めた大会を、無事に最後までやり遂げるための準備に入っていきます。

企画作成

まずは決定したコンセプトを基にルールを最初から最後まで組んでいきます。最初のうちは実現の可否を考えず、自分のやりたいことを全て持たせた案を練るといいと思います。
そうして自分の思い描く大会の全体図ができたら、次に「各ラウンド毎にかかる時間」を概算で見積もり、受付開始、第1ラウンド開始から終了まで何時間かかるかを計算します。1形式にどれくらい時間がかかるかはルールによりますが、abcなどで採用されている12人の5○2×では1組につき15~20分ほどかかります。かかる時間については事前にそのルールをスタッフのうちで試しにやってみるといいと思います。
そうして計算していくと、予定終了時間よりオーバーしているのではないかと思います。そこから勝ち抜けのためのノルマや限定問題数を調節し、会場を借りた時間内に会場を開けて準備~受付開始~本戦~片づけ・撤収のすべての流れが収まるようにします。そうしていけば大会の大枠は出来上がってくるはずです。
しかし、大会当日は頭の中で思い描くよりも1組に大幅に時間をとってしまったり、予期せぬトラブルによって時間が取られてしまう場合もあります。そうした事態に対応するために決めておくべきなのが「短縮ルール」です。
各ラウンド・企画ごとに大方の予定時間を決めておき、予定時間から30分以上遅れるような事態になれば、次のラウンドの勝ち抜けに必要な正解数の減少や、限定問題数の削減などの対応をします。
特にここは「会場の使用可能な時間」にもかかわってくる点で、スタッフの気持ちを尊重したい気持ちもあるかと思いますが、時間が差し迫っている中でもそのまま続けてしまうと片づけが間に合わなくなり、会場に多大な迷惑をかける結果になりかねません。自分の思い描いた大会を最後まで完遂したいという気持ちはわかりますが、大会運営において大事なのは「会場に迷惑をかけないことが第一」です。どうしても進行が上手くいかなかったら縮小ルールに切り替える勇気も大会責任者には必要です。

問題作成

企画が決まったら、コンセプトに合う問題を作成する段階に入ります。1人で問題作成をすべて担当するのであれば特に悩む必要はありませんが、多くの人から問題を募り、良質な問題群を仕上げようとするならば、「企画作成」の際に計算した「必要な問題数」の1.5~2倍くらいの問題を集めた方が良いです。
いくら集めても、特定ジャンルに偏ったり、かぶる問題は出てくるもので、特に学生が大会を開催しようとするとどうしても学問分野の問題が偏り、芸能やスポーツといった問題が不足しがちになります。他にもスタッフ内の文系・理系が偏っていたりすると、文系問題・理系問題で難易度に大きな乖離が生じてしまうこともあるため、注意したいところです。
また、作問スケジュールは絶対に問題提出は遅れるものと考えて、本戦よりもだいぶん余裕を持たせて問題セットを作れるスケジュールを組んでください。必ず1人以上遅れて出す人がいるはずです。(私はこれまで大人数でスタッフ体制を組んだ大会で、スタッフ全員が期限内に問題を提出した大会を見たことがありません。)

人事・進行

スタッフを多く募る大会であれば、作業配分を振り分ける必要があります。一番注意すべきは一人に偏りすぎないようにすることです。仕事を割り振るときはついつい有能な人間に仕事が集中してしまいがちですが、人間だれしもミスはあり、仕事が偏り負担が重くなればなるほどそのミスは多くなります。そのため、なるべく仕事の負担は分散するようにしましょう。特に当日は大会長の仕事はなるべく最小限にして、いざという時に柔軟に動ける体制を作ることが望ましいです。
大会の規模が大きくなればなるほど、自分(大会長)以外にも指示ができる人間を作っておいた方がいいです。決定権や指示の出せる人間が1人だけだと、トラブルが起こった際に一人に質問が集中し、その分トラブルへの対処が遅れます。大規模な大会になるほど指示系統は複数用意すべきです。
当日の進行については詳細な進行台本を作っておいた方がいいです。なぜかというと当日誰でもテンパって間違った判断をしてしまう可能性があるからです。あらかじめ決められた動きは台本を読むだけで動けるようにしておくと、トラブルなどに対処するための「余裕」が生まれるので、台本はしっかり書くべきだと私は思います。
 
【今回追記】
 台本ですが、基本的にスタッフがすべて読み込んできてくれるとは考えない方が良いです。クイズ大会のスタッフに慣れている人ほど、その場のノリでなんとなくできてしまう人も多いので、当日になってこんなこと書いてあったの?と言われることも結構あります。僕もぶっちゃけ何十回も開かれている大会のスタッフやる時はそういう気の抜け方をしてしまうときがあります。
そういう意味でも「当日いきなり読んでも動ける」台本がベストではあるのですが、「役割毎にやることを絞った台本」を作成するなどの工夫も、時間があればやると各スタッフがどう動けばわかりやすいかと思います。今回の「Re:Q」ではスタッフに任せる箇所については色付き表記をするようにしました。
 それでもどうしても読んで欲しい箇所・把握しておいてほしい仕様については直前で細かく指示を出した方が良いと思います。大きな大会であれば一度スタッフ会議として読み合わせの機会などを設けるといいかと思います。具体的には「得点表示は実際に動かしてわからないところがないか確認してほしい」などです。各々の役割についても台本とは別にシフト表を作成すると分かりやすいかと思います。

予算について

忘れてはいけないのがお金の問題です。前述した会場代のほかにも印刷代などでお金はかかります。まずかかった費用は全部メモし、誰か一人が赤字を抱え込むことがないように心がけましょう。
予算の捻出方法は2つあります。一つは参加費です。参加費を挙げれば楽に赤字を解消できますが、参加費の高さが参加者離れを招く恐れもあるので注意しなくてはなりません。特に学生対象の大会は注意です。あえて参加費を高くする代わりに、当日使用する問題を提供するなどのオプションを出すパターンもあります。
もう一つは大会の問題集を出すことです。モノクロで100部ほど売れば印刷代を差し引いても1~2万は黒字が出るはずです。(この辺は印刷会社によりまちまちです)売れ行きが良ければスタッフの交通費を出したり、打ち上げ代を出すくらいはできます。
ただし、問題集の編集がそもそも大変だというハードルに加え、昔よりも多くの人が問題集を出すようになったため、昔よりも買う人の目も厳しくなり、なかなか一見さんの問題集が変われるケースも少なくなっていると感じるため、今の環境では問題集を売り切るのは大変かもしれません。そうなった場合はより多くの赤字を抱え込んでしまうので注意が必要です。
問題集を多く売るコツは、元も子もないことを言ってしまうと、何らかの大会で結果を出すなどして知名度を上げることです。知名度の高さは問題集の売れ行きに直結します。頑張りましょう。
 
【今回追記】
問題集頒布の事情も大分変わってきていて、今は「冊子として纏めて頒布」から電子書籍として「BOOTH」や「Q宅」などのサービスを利用しての販売に変わってきました。
昔は問題集頒布の場で、一見さんであっても会場で目にしていると買ってくれる人が一定数いて、学生時代の無名の私でも100部頒布するのはわけないレベルだったのですが、多くの有名プレイヤーが信じられないスパンで問題集を電子書籍で頒布する時代、少し問題集を頒布するくらいではあっという間に埋もれてしまうのが私の感じている現状です。SNSが巧みな方は宣伝を駆使して売る方法もあるかと思いますが、今から大会作り初心者が問題集を作って売る!というので赤字を全回収するのは難しいかな?と思っています。
電子書籍は冊子として作る場合の印刷代ほど費用が掛からないので、問題集印刷分の赤字は考えなくてよくなるというメリットもあります。あくまで問題集売上分はスタッフ還元と考え、赤字分は参加費を上げてそこで全てペイできるようにするくらいが良いかと思っています。

大会当日

大会設営

いよいよ大会本番です。まず会場のいすや机をセッティングする前に、初めて使う会場では、会場の最初の状態の写真を必ず取っておきましょう。会場は「元の状態に戻して」初めて返却となります。いすや机の配置がわかっていないと、撤収の時間が延びて、最悪の場合超過ということもあり得ます。撤収をスムーズにするためにも必ず写真は撮りましょう。
会場の設備については、職員の方に使い方などをよく聞いておきましょう。特に音響設備はわからないところが多いと思うので、よく確認するようにしましょう。
設営に関してはまずは最初に受付スペースのセッティングを行いましょう。早押し機などのセッティングは、参加者が入ってきてからでも十分できます。
早押し機は、できれば養生テープなどで固定しておくと、参加者が早押し機を落としてしまうなどのトラブルが防げるので、やっておくことをお勧めします。ガムテープでもできますが、はがすのが大変なこと、はがし方を失敗すると会場にあとが残ってしまう可能性があるため、あまりお勧めはしません。
長机は必ず2人以上で運ぶようにしましょう。大会開始前にけが人発生は大会の開催そのものに影響を与えます。時間が迫っていても、設営は安全第一、最悪開始時間を後ろに伸ばしてでも丁寧に行うようにしましょう。
設営がスムーズに済んだらスタッフ間でのミーティングを行うとよいと思います。参加者に聞かれてはまずい話(問題に関する話など)をできるのは朝の時間だけです。ただし、気の早い参加者がすでに会場の外でスタンバイしている可能性もあるので、その点には注意しましょう。僕は早く来すぎて問題に関するかなり致命的なネタバレを食らったことがあります。(当日僕の参加したラウンドに影響なかったのが幸い)

受付

設営が済んだらいよいよ受付を開始し、参加者を受け入れる段階となります。受付を始める前に、参加者にみられてはまずい資料(当日使用問題など)が散らかっていないか必ずチェックし、場を整えてから参加者を受け入れるようにしましょう。
いつまで受付を入れるかというのはあらかじめブログで告知しておきましょう。「まだ来てない参加者がいるから」といつまでも受付をオープンしておくと、その分時間内に来た参加者に迷惑をかけることにもつながります。気持ちはわかりますが、遅刻者には厳しい姿勢で臨むべきだと思います。
特にこれまでにあまり大会が行われていない会場、最寄りの駅から遠い会場など、場所がわかりづらい場合は、告知ブログなどに道案内の記事をなるべくつけるようにしましょう。参加者が間違わずに会場に来れるように配慮することで、その分遅刻者が減り、スタッフの負担を減らすことにもつながります。

進行中

いざ本番!きちんとした台本を書いていれば、書いたことを見ながら粛々と進めていけば大筋は何とかなります。
急にさじを投げて申し訳ないのですが、当日の動きに関してはやってみないと分からないことも多く、具体的なアドバイスが思いつきません。
前にも述べましたが、当日は絶対慌てます。なのでどれだけ準備をしっかりしたかがすべてだと私は考えています。当日は心理的余裕をどれだけ持たせられるかが勝負です。
最終的な判断は大会長が背負うべきですが、迷うことがあったら当日でも遠慮なくスタッフと相談したりして決めた方が良いです。時間に追われて焦ると普段では考えられないような間違った判断をしてしまうこともあります。
なので、誰かしらは余裕がある状態にしておいて、判断に迷ったときに相談できるスタッフを作っておいた方が良いです。

解散指示

無事大会を終え、エンディングを迎えました。しかしここで気を抜いてはいけません。最後に「会場を返す」という大切な仕事が残っています。
まず行うことは、参加者に早めに帰ってもらうように伝えることです。時間に十分余裕があるなら構いませんが、いつまでも大勢の人が会場に残っているとそれだけ片づけが遅くなり、おしゃべりを終えて気が付いたら返却時間が迫っている、そんな事態にもなりかねません。また、しゃべっている間にもほかのスタッフは片づけを行っています。スタッフであるなら最後まで自覚をもって片づけに参加するようにしましょう。
会場の復元に重要になってくるのは、設営の際に述べた「会場の初期配置の写真」です。これをスタッフ間で共有し(LINEグループなどが便利)、会場の復元を行いましょう。また、この作業の間もけががないよう、机や重いものは多人数で運ぶといった安全対策は徹底しましょう。
撤収が一通り済んだら会場の忘れ物、ごみのチェックです。いすが最初から設置されているホールなどでは、しっかり確認しないとペットボトルが落ちていたりするのに気が付きません。スタッフ総出で確認するようにしましょう。
最後に会場の職員の方に確認をしてもらって会場の返却完了となります。遅くとも会場を借りた時間の30分前には「会場の職員に確認してもらえれば会場返却が完了する」という状態に持っていくようにしましょう。
以上で大会終了です。お疲れ様でした!


最後に

ここまでつらつらと述べてきましたが、実際はここに書いてないことでわからないことも多いと思います。そこのところは今までのクイズの経験が強く生きてくるので、良い大会を作りたいと思ったら、まず「多くの大会に参加する」「小さくてもいいので企画・大会をたくさん作る」など、まず実行してみることを心がけてみてください。
大会の作り方や問題集の作り方など何か相談したいことがあれば綾take (@Ayatake_q)までご一報いただければ、時間の許す限りは相談に乗りたいと思っているのでぜひお声掛けください。
大会を作るのは新しいクイズの楽しさを発見できる場でもあり、とても楽しいです!皆さんもぜひ大会を作ってみてください!

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