村上春樹『ノルウェイの森』後編
前編を読んで後半にきていただいた方、本当にありがとうございます。
さっそく解説に入らせていただきます!
まずはざっくり前回のおさらい。読み飛ばしても全然大丈夫ですよ!
高校生のころに、親友「キズキ」を自殺でなくした主人公「ワタナベトオル」は、その虚無感から地元を離れて東京の大学へ進学。そこでかつての親友の恋人「直子」と再会します。次第に仲良くなっていき、ちょっとした恋人同士のような関係になったふたりは、直子の誕生日に彼女の部屋でふたりだけのささやかなパーティを開きます。夜もそこそこ更けていったころ、ふたりはどちらからか誘うまでもなく、関係を結んでしまいます。しかしそこでなんと、直子はじつは初体験だったことが判明するのでした!
ではなぜ直子とキズキは寝なかった(村上先生はあまりセックスとは言いません)のか?
読んでみるとわかるのですが、直子とキズキは、ものごころついたころからほぼ一緒で、どんな悩みも正直に語り合っていたのです。たとえば直子が初潮のときとかも。
そういう関係の恋人同士ってどうなると思います?
いわゆる幼馴染で、ものごころついたころから一緒で。しかも小中高ずっとカップル同士。
たぶん、恋人というよりは『家族』にほとんど近い関係ですよね?
そうなんです。ふたりはお互いに恋人だと思っていたのですが、あまりにも一緒にいすぎたせいで、心は『恋人同士』だと思っていても身体が『家族』として反応してしまっていたんです。
『恋人』を家族として反応してしまうと、どうなるか。
ちょっと突っ込んだ表現をすると『濡れなくなってしまう」んです。こんな言い方しかできなくてすみません。なにぶん、文章技術が未熟なもので。
そうです。直子は、キズキと寝たくてもできない。ずっと一緒にいすぎて身体が『家族』として反応してしまっているから。
ほぼ同年齢の異性の兄弟を持つようなものですね。フィクションとギリシャ神話とかではそういう恋人同士の設定があったりしますが、まぁ普通はないですよね。
これはけっこう悲劇ですよ。ほんと。
だって好きな人とセックスできなんですから。
まぁ、別にできなくてもいいよ、ってひともいるかもしませんが、直子とキズキはお互いに「寝たかった」わけです。関係を持ちたかったわけです。ひとつになりたかったわけです。何度も何度も試したんです。
でもできなかった。
これは相当つらいですよー!
私だったらもう破裂してしまいますわ。それも4回くらい。
なんだか直子とキズキの話ばかりになってしまいましたが、主人公もこれはこれでつらいわけです。
かつての親友の恋人を、真剣に愛そうと決意したのに、彼女の心は自殺した親友に縛られている。17歳で死んでしまったキズキがしつこい雨雲のようにいつも付きまとって離れない。
でもいちばんつらいのは直子ですね。
だっていちばん好きだった、限りなく愛していた恋人が自殺してしまって、けれどもなぜか彼の親友とは「濡れてしまった」わけです。できちゃったわけです。悲しいことに、作中彼女は一度も主人公を愛すことができなったわけです。わたしだったら灰になってます。それもかなり細かく。
このようにして『ノルウェイの森』は、だいたいこの3人の登場キャラクターで進んでいきます。
そしてストーリーは、もうひとりの登場人物である『緑』という、めちゃくちゃ魅力的で個性的なキャラクターの登場により、さらに熱を帯びていきます。機会があれば、もっと掘り下げたいですねー。
今回はほんとこの『ノルウェイの森』の愛読者の方たちからしたら、怒られるくらいざっくりした説明になってしまいましたが、未読の方に「どんなお話?」と聞かれると、あんまり長々と話してもしょうがないし、だからといって深く突っ込んでもなんだかよく伝わらない。私なりに「おいしい」ポイントをこうやって紹介するのがやっとですね。
けど「ちょっと気になってはいた」とか「読んでみたい思っていたけど、どんな話かわかんないから保留していた」という方にはその推進力になっていただけたらとてもとても幸いです!
これからもこんな感じでどんどん書評をやっていきたいと思っています。
なにせ読書はすきでしてね。
ここまで読んでいただけた方、本当にありがとうございます!
また近いうちに違う作品の書評を書いていきたいと思っています!
よろしくお願いしますね。
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