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【後編】超RIZIN2現地レポ

入試の昼休み並みに長い休憩を終えると、遂に後半のRIZINパートが始まった。

RIZINパートの特色は、なんと言ってもド派手な演出。Bellatorパートも華のある演出は多かったが、RIZINはその比ではない。


まずは、毎度お馴染みのオープニングセレモニーから幕を開ける。

RIZINの歴史を振り返る煽りVから始まり、締めに朝倉未来が映される。「王者朝倉未来の誕生」が、8年続いてきたRIZINの一つの到達点であることを暗に示しているように思える演出だった。

煽りVが終わると、全選手入場が始まる。RIZINテーマソングと共に、場内を刺す七色の光が眼前を覆い尽くし、声を上げることさえできない程に圧倒された。いつもスマホの画面から見ていた景色とはまるで違う。

オープニングから会場のボルテージは最高潮に達した。いよいよ試合が始まる。



第1試合
ヒロヤ×伊藤裕樹

朝倉未来の弟子②のデビュー戦。伊藤が圧倒して終わるだろうな〜と思ってたけど、意外と善戦してて面食らった。善戦どころか、3R通して優位に立ってた印象だった。

個人的にはあまり興味のないカードだったから、サラッと終わってくれないかなーと思ってたけど会場が予想以上に盛り上がってて驚いた。ヒロヤって人あんなにファン多かったんですね… 知らなかった。


第2試合
イゴール・タナベ×阿部大治

煽りVから薄々分かってたけど、イゴール・タナベが強すぎる。ブラジリアン柔術世界大会3年連続メダル獲得て。
また1人、日系ブラジル人の強い選手がRIZINに現れた。日本人がブラジリアン柔術選手に喰われるのは、日本総合格闘技の宿命なのか…


第3試合
瀧澤謙太×太田忍

この試合は、煽りVが一番面白かった。2人ともちゃんと実力ある選手のはずなのに、佐藤大輔のせいで今大会のエンタメ枠みたいな扱いにされててウケた。

試合結果は、太田忍のKO勝ち。レスリング出身なのに、2試合連続KO勝ちとは…
1R TKO勝ちしたのに歓声が思いのほか上がってなかった。太田忍ってやっぱあんまり好かれてない??


第4試合
トフィック・ムサエフ×アキラ

ムサエフ強すぎ。その印象しか残ってない。
11月のアゼルバイジャン大会も出場確定でしょうね。

アゼルバイジャンといいダゲスタンといい、MMAは小国から強い選手が沢山出てくるから面白い。ジャンルは違うけど、格ゲーの「鉄拳」でパキスタンから強豪が大量に輩出されてるのと同じものを感じる。

第5試合
パトリシオ・ピットブル×鈴木千裕

今大会ぶっちぎりのベストバウト。
というか、この試合に関してはRIZIN歴代ベストバウトと言っても過言ではない。

Bellator PFP1位で二階級王者のパトリシオ・ピットブルと、先日タイトルマッチでクレベルに敗れた鈴木千裕。

実績、実力共にピットブルの方が圧倒的格上。
観客の9割以上がピットブルの圧勝で終わると思ってたはず。どっちが勝つかを楽しむ試合じゃなくて、ピットブルがどう勝つかを楽しむ試合のはずだった。

しかし、大方の予想を遥かに上回り鈴木千裕が1RでTKO勝ち!!!

ゴングが鳴り響いた瞬間会場の歓声が轟音のように湧き上がり、まさに稲妻が落ちたような爆発が轟いた。あの瞬間の会場の空気は一生忘れられない。

第6試合
伊澤星花×クレア・ロペス

鈴木千裕の試合で散々盛り上がったところで申し訳ないけど、正直女子格の試合は興味がないので語ることがあまりないです…

強いて言うなら、1Rで早めに試合を終えてくれたのはありがたかった。伊澤星花強いですね〜


第7試合
フアン・アーチュレッタ×扇久保博正

ダブルメインの1試合目、バンタム級タイトルマッチ。元Bellatorバンタム級チャンピオンのアーチュレッタと、RIZINバンタム級GPチャンピオンの扇久保の一戦。

欠場した朝倉海の代打で急なオファーだったので、アーチュレッタの圧勝で終わっちゃうかなと思ってたけど、扇久保が思ったより強かった。あの短い期間でここまで仕上げてるの凄すぎる…

堀口恭司に3回負けたから霞んでる気がするけど、そういえばこの人めちゃくちゃ強かったわ。次はお互いしっかり準備期間を設けた上での再戦が見てみたい。


第8試合
朝倉未来×ウガール・ケラモフ

今大会のメインイベント、フェザー級タイトルマッチ。初期からトップ戦線で戦い続けながらもベルトに届かずにいた両者の対決。

この試合は煽りVが秀逸だった。
朝倉未来とともに歩んできたRIZINの歴史を振り返り、今回のタイトルマッチをRIZINのひとつの終着点に据えるストーリーに仕上がっていた。思い返すとRIZINは朝倉未来とともに歩んできた節があるので、そういう意味でRIZINが未来に賭けるのも頷ける。


結果は、ケラモフの完勝だった。朝倉未来は何もさせてもらえず、1R序盤で無惨に散っていった。こんな結末になるとは思いもしなかった。未来に思い入れがあるわけではないけど、あの負けによる喪失感は大きかった。

「朝倉未来幻想」の前に圧倒的な現実が立ちはだかるこの感じ…

残酷だけど、これが格闘技の良さなんですよね…

大晦日のBellator対抗戦の時も感じた、圧倒的な実力差を前に何もできない残酷さ。この残酷さ・敗北感を味わえるから、格闘技は美しい。こんな気持ちにさせられるのは、格闘技だけだ。



総括

今回の大会は、格闘技の良さが詰まった興行だった。

鈴木千裕のジャイアントキリングで、実力に大きな差があってもリングの上では何が起こるか分からない、「格闘技の恐ろしさ」を味わえた。

朝倉未来の完敗で、圧倒的な現実を前に幻想が呆気なく打ち砕かれる、「格闘技の残酷さ」を味わえた。

こういう面白さが詰まってるからこそ、格闘技を見るのはやめられない。

色んな感情が入り乱れて、また何倍も格闘技が好きになれた、そんな1日だった。

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