308号室、月明かり、太陽

車のヘッドライト、残業中のオフィス、送電線、
海沿いの工場、レインボーブリッジ。
もう真夜中なのにライトが光る。
隣を見ると、運転する君の目にそれが映る。

ねえ、今日はどこに連れていってくれるの?
心の中で呟き、君に問う。
今までを振り返る。
火曜は暖炉のあるレストラン、
金曜日はプラネタリウム。
今日は月曜日、もしかして、海?

やっぱり、海だった。
浜辺に座って、ぼんやり月を眺める
水面に映る、歪んだ月。

何も話さないけれど、安心する。
時折不安になるのは、二人の間を通る冷たい風のせい。

「もし、」
私が口を開く。君は黙ったまま歪んだ月を見る。
「私が君のこと好きって、1番になりたいって言ったら、どうする?」
君はゆっくり微笑む。
「どうするも何も、僕は人に優劣なんてつけられないんだ」
「なにそれ。ずるい。」
また、言いくるめられてしまった。
AM1:30 静かに私の手を取った君は
私を助手席に座らせる。
どこで習ったの?そんな素敵な仕草。

気づかない間にうたた寝していた。
君に優しく肩を叩かれ、入り慣れた自動ドアを抜ける。
もう覚えたの、308号室でしょ?
無機質な中に、どこか感情のある部屋。
この部屋に、他の誰かなんて入ってこなければいいのに。

いつもの様にベッドに腰掛ける。
柔らかいシーツ、少しだけ冷たい。
君が隣に座る。さっきとは違う手つきで私の肩を寄せる。
君の甘い匂いが私の鼻腔を抜けて、脳に直接届く。
はや過ぎずおそ過ぎず、私をベッドに寝かせる君。
私の視界に、いっぱいに映る君。
その後のことは、もう覚えてないの。
部屋番号よりも大切で、濃い時間。

小さな鳥が精一杯鳴く声、真っ白なカーテン
そこから覗くあったかい太陽。
やっと朝が来た、長かった。
隣で寝ている君の顔を照らす。

「またね」
私の家の前で手を振った君は、車に乗り込む。
エンジン音が私の耳を刺激して、ようやく目が覚めた。
「また」なんて、いつ来るのかわからないのに言わないで。
いつか、君の1番になってみせるから。
それまで待っていて。

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歌詞を書こうと思ったんです。
句読点の多さ、セリフの多さのせいでボツ
曲にしようとすると長すぎて無理なのです。
あ、これ、○フレのお話。では。

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