タスクに落とし込むということ

こちらの記事を読みました。

今の時代、「ふわっとした仕事を具体的なタスクに落とし込むスキル」だけで十分食えると思う
https://blog.tinect.jp/?p=52516

僕は機会に恵まれて、オーダーメイド型のサービス提供と定型化されたソリューションサービスの提供の両方を仕事として経験しているけれど、「サービスのクォリティ担保が方法論に内在している」というのは英知というか、素晴らしいことだなあと思う。この手順に乗ればかなりの確率で顧客が満足してくれる、というのがあらかじめわかっているというのはとても有り難い。

逆に言えば、そう考えてしまうくらいには「タスクに落とし込む」というのはなかなかどうして難しい。特にサービス提供型のビジネスでは顕著で、「ちゃんと期間内に終わる」ことは最低条件で、そこに「顧客の期待値を満たせるか、超えられるか」というやや読みづらい条件まで加わってくる。そこに他の利害関係者や協力先なども絡んでくると、随分と曲芸めいた状況になってくる。

しかし、今後はそういった状況に対応しなければならないケースは増えるのだろう。画一的な工業製品を大量生産していればよかった時代はとうに終わり、どの企業もイノベーションという名の火の鳥を追いかけるのに躍起になっている。働き方の多様化、技術のコモディティ化を背景にした競合環境の激化と差別化の難易度上昇…ビジネスの変数はどんどん絡まり合い、定型化された業務では対応しきれないケースがきっと増えてくる。今でもプロジェクト型の働き方は増加の兆しがあるのではないだろうか。

定型業務からワンタイム業務に比重が移るにつれて、タスクに落とし込むスキルというのは「食える」というところから、本当は「あって当たり前」くらいに移行すべきなのだろう。
しかしそう考えたときに、「この複雑でややこしいスキルを果たしてどれだけの人が上手く身につけられるのだろう」と感じてしまう。

何でも人の手によって遂行されることが前提だった時代は、あらゆることが仕事になった。人付き合いが苦手な人にも、こだわりが強すぎる人にもそれぞれ生きられるスペースがあった。

技術が進歩すると人の居場所がなくなる。だからといって、職が無くなるというわけではなく質が変わるのだとは思うけれど、求められる質の種類に多様性は果たしてどの程度存在するのだろうか。

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