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盲目
目に映るものしか信じないときみが言うなら、きみの目をひとつくりぬいてぼくのものにすれば、きみの心の半分を奪えますか。きみのようになりたいと思いながら、きみみたいになりたくないと願っていた。きみを恋人と呼んでしまったら何か大切なものが消えてしまうような気がしたから、きみの呼び名さえ知らなかった。ぼくの顔にはめ込まれた黒いふたつの玉、激しく弾けてどちらもきみのものになればいい。どちらもきみになればいい。あの頃、教室の前で待つきみを気付かないふりをしてしまうくらいに不器用だった。離れたくなくてわざとつまらない嘘なんてついてしまうくらいに不器用だった。放課後きみが歩く車道側、ぼくは手を繋ぐことすら恥ずかしくなって、くだらない手遊びで誤魔化していた。まだ爆発する程の恋を知らなかった。
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