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『旋律月下』と『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』

本日3月25日、新刊『旋律月下』が発売されました。(電子書籍でも同時リリースです)

『月』をモチーフにした『花鳥風月シリーズ』の第七作です。既刊を読んだことがある方はご存じだと思いますが、このシリーズはすべて読み切りなので、既刊を読んでいる必要はありません。

『旋律月下』の帯付きの書影はこんな感じで、<ifの恋愛ミステリー>と紹介されています。それがどういうことなのか、少しだけ書いてみようと思います。

旋律月下_帯付

中学生になったばかりの1993年に、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』という岩井俊二監督が撮ったドラマが放映されました。(以下、すべてこのドラマの話で、アニメ映画の話ではありません。アニメの方は見ていないため、同じ話か分からないので)

このドラマは、主人公の選択によって変わった二つの未来を、どちらも描くというifの中編ドラマでした。

短編が二つといった感じの構成なので、そこまで大きな起伏があるわけでもなく、綺麗なお話だったなーくらいの感想だったんですが、二つのパターンをどちらも描くというのが、子ども心に面白かったんです。ゲームであれば、ヒロインごとにルートが用意されているマルチエンディングも珍しくありませんけど、当時は、そんなゲームをやったこともありませんでしたし、凄く新鮮だったんです。

それがずっと心に残っていたこともあり、今回、小説の中で、自分でもやってみるかと思いました。


もともと『月』の物語を書くなら、双子を中心にしようと思っていて、アイデアも実は二つ持っていました。どちらも気に入っていましたが、二つとも<双子もの>なので、さすがに一つしか書けないなということで、担当編集に相談したんです。

そして、担当さんが面白いと思うと仰った方のアイデアが、今作のifの物語でした。

花鳥風月シリーズは恋愛小説です。

双子に恋をした主人公がいて、彼は大学受験に失敗し、人生の岐路に立ちます。滑り止めで合格した大学に進むか、浪人するかです。

前者で再会した双子の妹と、後者で再開した双子の姉。

二つのルートを、それぞれside.Aとside.Bで綴ったのが『旋律月下』という物語になります。

あの日、あの時、あの場所で、もう一つの道を選んでいたら、どんな人生だったんだろう。きっと、誰もが一度は考えることだと思います。僕も考えたことが何度もあります。

主人公の二つの人生と未来を、皆さんにも楽しんで頂けたら嬉しいです。

旋律月下_POP

最後に。

物語とは全然関係ない話なんですけど。

ワカマツカオリさんに装画を担当してもらう際、意識して登場人物の容姿を描写しないことがあります。読んで頂いて、イメージした形で描いてもらった方が、その子にとって幸せな気がしているからです。

で、僕は入稿がそこそこ早い作家なので、頂いたイラストを見ながら、著者校正で本文の描写を変えたりしています。

そんなわけで、今回の表紙の双子、月乃と今宵も完全にワカマツさんのイメージから誕生しているんですけど、一つ言わせて下さい。

この世に存在するあらゆる女性の服装の中で、最も美しいのは、フットボールクラブのレプリカユニフォームを着た姿だと信じていますが、第二位が、この二人の衣装かもしれません。

月乃と今宵の衣装が好み過ぎて、僕は言葉を失いました。









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