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ソメイヨシノとサクランボ、そしてムーミン

桜が咲き始めるこの季節、いつも思い出してはクスッと笑ってしまうエピソードがある。

日本でサクラが咲いた後にできるサクランボは、いったい誰が収穫するの?


学生の頃、春休みに、ヨーロッパ行き国際線フライトにのったとき、たまたま隣合わせになったフィンランド人の初老の女性にそんな質問をされた。

なんでもその女性は、旦那さんと初めての日本を訪れたとのこと。観光中に見かけた、あちらこちらに咲き乱れていた桜にとても感銘を受けたという。

しかし、そんな彼女には、
1つだけ大きな謎が残った。

日本では、あの満開のチェリー・ブロッサム(桜)の花びらが散った後、実るであろうチェリー(さくらんぼ)を、一体誰が収穫するのだろうか?

それはとても大変な重労働ではないか?

だって日本中、膨大な数のチェリー・ブロッサムが植えられているのだから。

彼女は眉間にしわを寄せて、真剣に悩んでいる様子だった。

私はクスッと笑いそうになるのをこらえながら、なるべく丁寧に説明をした。

日本で見る一般的な桜、ソメイヨシノには、花が散った後に実はできない。接木で、人工的にしか数を増やすことができない、と。

そのことをたまたま、その時の私は知っていた。

その説明を聞いて、腑に落ちた様子で、彼女は頷きながら、"Ah, I see..."と呟いた。

その後、その可愛らしいフィンランド人の初老の女性は、私にフライト中、延々と話を続けた。

日本での旅の話、
フィンランドでの生活の話
機内食について...

そして最後に、私に機内販売されているムーミングッズを買ってプレゼントしてくれたのだった。

桜の季節に思い出す、サクランボとムーミングッズ。

#桜 #思い出


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