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ビバラロックとBE:FIRST

わたしが彼らと出会ったのはビバラロックというフェスだった。

わたしは2016年頃から邦ロック(邦楽ロック、J-ROCKともいう)というジャンルの音楽が大好きで、有名なフェスは大体参加していた。

年間を通して5〜6回は平均してフェスに行き、気に入ったバンドはワンマンのチケットを取って行く、今はもうすでにその名も聞かなくなりつつある、いわゆる"ライブキッズ"である。

わたしがそうなったきっかけはback numberという超有名バンドが関係してくるのだけど、それはまた別のときにでも。

とまぁ、そんなゴリゴリの邦ロック畑で育ったわたしですが、ビバラロック(以下、ビバラ)もほぼ毎年参加しているフェスのうちの一つ。

ビバラは毎年GWにさいたまスーパーアリーナで開催されているフェスで、2023年には10回目を迎える、邦ロック好きなら誰もが知っているフェスだ。

GWはもう一つJAPAN JAMという、ロッキンやCDJなども企てているロッキング・オン主催の屋外フェスがあるのだけど、観たいアーティストによって、行く日を分けているような感じだった。

とくにビバラはロックという括りの中でもさらに音楽性が似ているアーティストを日程によって固めているイメージがあるので、「この日もこの日も行きたい!」というよりは、「行くならこの日だな!」というのが判断しやすいフェスだと思う。

2022年の参加アーティストの日割りが発表されたときも、すぐに行きたい日が決まった。

チケットを取った日付は4/30。目当てのアーティストはビッケブランカ 、Lucky Kilimanjaro、Awesome City Club、Vaundyあたりが有力で、他は時間があったら見ようくらいのスタンスだった。

この日は"ゴリゴリの邦ロック"系のバンドというよりは、チルいだとか、オシャレなシティーポップだとか、そんな表現をされるようなアーティストが集まる日のように思えた。(もちろんそんな表現をされがちだけど、"ロック魂"はどのアーティストも持っている)

わたしもこの日はディッキーズはタンスにしまったまま、スカートなんか履いちゃったりして、いつもよりかは比較的ライトな気持ちで当日に臨んだ。(ちなみにディッキーズはちゃんと別日のJAPAN JAMで活躍した)

朝一、元々お目当てだったアーティストは、予想通りに、いや、予想を超えるほど良いライブをみせてくれて、もうすでに元とったな〜なんて思っていたのだけど、
今日はいつも見ないバンT?そもそもバンドじゃない?Tシャツを着た人たちが目立つことに気づく。

真っ黒のTシャツに白いロゴで「BMSG」と書かれたデザイン。(最初はSも読めなくてなんとか解読)
早速、なんのアーティストぞ、と調べてみると、どうやらSKY-HIが設立した事務所の名前らしい。

あ〜今日SKY-HIでるもんね!と思いながら、「いやそれにしては数が多くないか…?」とBMSGというワードについて調べ続けると、最近この事務所から新しいボーイズグループが誕生したとの情報が。そのグループの名前は「BE:FIRST」

あーそういうばタイムテーブルにそんな名前があったような。ちょうどこの時間、めちゃくちゃ観たいアーティストが他にいなかったので、一緒に来ていた友人とほんとに軽いノリで、「ちょっと見てみようか?」となってスタンド席の1列目くらいだったかな、そのあたりでBE:FIRSTの出番を待つことにした。

この時の判断がわたしの音楽人生に大きな影響を及ぼすことになる。

少しの待ち時間にBE:FIRSTを検索してメンバーの画像を見る。
友人とただのフィーリング(というか顔の好み)で、わたし、この子推しにする!となんともまぁひどいノリで、推し()を決めて、ライブを待っていた。

今思うとこんな冷やかしみたいな客ほんとに嫌だよな、と思う。苦笑

でもほんとにパフォーマンスを見るまではめちゃくちゃ斜に構えてたし、どうせアイドルでしょ、って気持ちだった。

そして13:25、BE:FIRSTの出番が始まった。

まず初っ端感じたことは「いや、歌うまくね…!?」という驚きだ。
(後にその曲はBF is…という曲で、ビバラ出演決定をきっかけに作られた、躍らずに、歌だけで勝負するナンバーだと知る)

しかもさらに驚くべきことに、全員の歌唱力が高い。7人もいたら1人や2人下手な人か、歌わない人がいてもいいだろうと思うけど、このグループは全員がハンドマイクを持って代わる代わりに歌を繋いでいく。

まだ感情が追いつかないまま次の曲にいくと、今度はエレキギターの音が印象的な、まさにロックっぽい曲に。なにこの曲カッコいい!とライブキッズの血が騒ぐ。
曲によって全然違う色を魅せてくれて、飽きることなく、セトリが進む。

そして歌と同じくらい驚いたのがダンス。
元々ダンスをそんな見たことがないわたしですら、彼らのダンスが凄いことはわかった。テクニック云々のことはわからないけど、何より「カッコいい!!!!」の一言に尽きるダンスだった。

段々と、こんな激しいダンスを踊ってるのに歌も上手いって正気か…?という気持ちになってくる。

それとラップめっちゃ上手い子いる!って思ったり、この子めっちゃ高音綺麗!だとか個性が分かれてて、持ち時間の中でもメンバーを覚え始めれるくらい、一人一人が主人公だった。

どのタイミングだったかは忘れてしまったが、メンバーのうちのリーダーっぽい子が、(のちにBE:FIRSTにはリーダーがいないと知るのだけど、このとき喋っていたのはLEOだった)

「今日僕らのことを初めて見るって人も、興味ないよって言う人もいるかもしれません。でもせっかく今日音楽好きとして仲間になれたので…」と言っていて、わたしはもうすでにあの時に仲間になっていたんだな…と思う。

これまでもフェスで所謂アイドルと呼ばれる人たちだったり、自分がいつもいる界隈とは違うジャンルのアーティストを見る機会は少なくなかったし、決してその人たちを良いと思わなかった訳ではない。けど、こんなにもわかりやすく「心がときめいた」のは初めてだった。

あの瞬間、確かにわたしはドキドキしていて、ワクワクしていて、気分が高揚するのを身体で感じていた。
何よりこれまで自分は、楽器を持っていなくて踊りながら歌うようなアーティストっていうのに、強く心が揺さぶられた経験がなかったから、心をときめかせてる自分に一番驚いていた。

すっかりスクリーンに釘付けになっていて気づいたら彼らの出番は終わっていた。
あんなに早く感じる時間がかつてあっただろうか。
斜に構えて、完全に油断していたわたしにとって、思わぬ角度から殴られたような衝撃だった。

直後、早速サブスクアプリからBE:FIRSTを探して、トップに上がっている何曲かをライブラリに追加した。

その後も、お目当てだったアーティストを楽しんで帰ったのだけど、何よりもBE:FIRSTのパフォーマンスが強烈に印象に残っていて頭から離れなかった。

もうその日の夜からSNSを全てフォローして、彼らがどうやって誕生して、どういうメンバーがいて、どういう音楽を作っていて…という情報収集が始まった。

数日後のテレビ出演はしっかり録画してリアルタイムで観るほどに好きになっていた。

そこから少し経ち、彼らが誕生したオーディション「THE FIRST」を見始めて、BE:FIRSTのことをますます好きになっていくのは容易いことだった。

気づいたら、BE:FIRSTの音楽はわたしの生活の一部となり、生きる糧となっていた。

フェスの時だけ「あーよかったね〜」ってなることと、日常に戻った後も聴きたくなるような、自分のそばにいる音楽になることって、とんでもなく大きな壁があると思っていて、

もちろん一時でも心を奪うのでもすごいことなんだけど、結局その場限りの感情で、日常に帰ったら聴かなくなってしまうことなんてごまんとある。

わたしにとって、BE:FIRSTの音楽は「その場限り」で終わるものではなかったのだ。

あの時ロックフェスという場でBE:FIRSTに出会えたことが、奇跡でもあり、反対に必然だったようにも思える。

その出会いの場を与えてくれたビバラロックにも感謝したいし、BE:FIRSTの出演を鹿野さんに直談判してくれた日高社長にも感謝したい。

そしてなによりも、あの場で素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれたBE:FIRSTの7人にありがとうと言いたい。

後に、ビバラへ向けての密着映像を見ると、彼らにとってビバラ出演が大きな挑戦だったことがわかる。そして自分でも思わず笑ってしまうくらいゴリゴリのターゲット層で、そんなやつがBE:FIRSTのパフォーマンスを目の当たりにして、まんまと沼にハマってしまったのである。

彼らの過去を知れば知るほど、またTHE FIRST FINALのライブ映像なんか見てしまった日にゃ、どうしてわたしはもっと早く彼らの存在に気づかなかったのだろうと自分を責めたくなる。

しかし、あの場でBE:FIRSTに出会ったことは必然で、あの時の自分に必要な音楽だったのだろう。

日頃から思っていることだけど、
結局、人も、音楽も、言葉もなんだって、世の中に散りばめられたものから、自分に必要なものを知らず知らずのうちに自ら取捨選択しているのだと思う。

だからあのタイミングで彼らに出会えたことは偶然のようだけど、実はそれは自分の意思で選んだもので必然だったんだと今になって感じる。

邦ロックという音楽ジャンルが好きになったことから、いろんなフェスに行くようになったこと、あの日のビバラロックに行くことを決めたこと、BE:FIRSTを見ることを決めたこと、
すべての歯車が噛み合って今BE:FIRSTの存在がわたしにとって欠かすことのできない存在になっているのはなんて感慨深いのだろう。

そして、2023年のGWもビバラロックが開催されることが決まり、今年もBE:FIRSTが出演することが発表された。

今となっては紅白出場アーティストにまでなった彼らだが、きっとビバラに来る客層には、まだそこまで認知度は高くないように思う。

きっと名前だけは知っていたり、なんとなく自分が好きなアーティストとは一線を引いている、なんて人も多いだろう。

そんな人たちにこそ、また一年経ってより成長したBE:FIRSTのパフォーマンスを見せて欲しいと思う。

そして、観客の心をときめかせてほしい。

もちろん、今年もわたしはビバラに参戦する予定だ。

彼らに出会ったあの場所で、一年ぶりにステージで輝く彼らを見たらどんな気持ちになるだろう。

BE:FIRSTにとっても一年ぶりのビバラのステージ。

どんな"ロック"を魅せてくれるのか、今からもう楽しみで仕方がない。

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