十二国記 白銀の墟について、つらつら。

ネタバレありです。無駄に長いです。

初読の興奮はおさまってきたものの、今もまだこの物語について色々考えてしまう。いろんな方の感想や考察を読んで、激しく頷いたり、涙をこらえたり、目から鱗が落ちたり、とそんな日々。
大した内容じゃないですが、とりとめもなくつらつら書いてます。
あと、後半CP話になるので苦手な方はご注意。

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・李斎と飛燕
3巻を読み返しているのだけど、李斎と飛燕のふれあいの描写がなんていうか美しいんだよね…その後を知っているから切なくなる、というのもあるけど…。
李斎にとって、飛燕は自分の心を預けられる相手だったと思うんだ。言葉にしなくても、いや、言葉にできない思いでも、飛燕には伝わっていたのじゃないかな。どんな思いも受け取って彼女を包み込んでくれる、そういう存在だったのかなって。
自分の心も命も預けられる相棒。半身だったんだなって、そう思うのです。
李斎が納屋の中で飛燕に身を寄せて、飛燕が李斎を抱え込むように丸くなる、という場面。雪と風の吹き荒れる冬の夜に、互いの体温だけをよすがに身を寄せ合う一人と一頭の姿が、美しくて、切なくて、泣きそうになる。

・主公と麾下
阿選と麾下、驍宗さまと麾下、李斎と麾下。色々な主従の姿が描かれた物語でもあったなと改めて思いました。
李斎の麾下が生き残ってくれていたのが、本当によかった…!多くのものを失ってしまった彼女だからこそ、本当に…。
そして泓宏、めっちゃ、ワンコ!!「李斎様が行くといったら行くんです」って、今度こそ最期までお伴しますって…お前…!!
連行される李斎を見送った時の彼の気持ちを想像すると胸が苦しくなるし、「今度こそ一人で行かせられない」ってその思いの強さにも、ただただ涙しかないです。泓宏は飛燕に次ぐ李斎セコムだと勝手に思っている。

阿選麾下は、ただひたすらに可哀想だった…
傀儡にされても最後まで阿選のことを思っていた帰泉も、「本当はずっと嫌でした」と涙する兵士達も、みんなみんな可哀想すぎて。
恵棟も…彼はもう元に戻らないのかな…もう遅すぎるのかな。そんな、恵棟いなくなったら、友尚が脱ぎ散らかした服は誰が片付けるんだよチクショウ…(涙)
麾下の口から語られる以前の阿選が思慮深い、優しい主だからこそ、余計に彼らの心の引き裂かれようを思うと辛い。
驍宗を弑したことも、激しい誅伐も、棄民も全て阿選の罪だけど、一番の彼の過ちはやっぱり麾下の心を置き去りにして、彼らを裏切ったことだと思えてならない。心ある臣をせめてそばに置いていれば、ここまでのことにならなかったんじゃないかってそう思っちゃうんだよ。
「諌める人がいなければ、道なんて簡単に踏み外せてしまう」
風の万里で祥瓊が言っていた言葉だけど、その通りだなって。
例えば予王にはそういう人がいなかった。信頼できる臣下を得ることができなかった。だからその孤独に耐えかねて景麒に縋り付いてその末に道を失ったのだと思う。でもさ、阿選にはいたんだよ。帰選が、品堅が、恵棟が、友尚がいたんだよ。他にもたくさん、阿選を慕って命をかけてもいいと覚悟を決めていた人たちがいたのに。
麾下がいつまでも驍宗と自分を比べるのが辛かった、と言っているけど、それも含めて心を打ち明けることはできなかったのか。弱さを吐き出すにはプライドが高すぎたのか…。

驍宗さま麾下は、なんというか、安定の安心感あるよね!!安定のわちゃわちゃ感!臥信も英章も最後においしいとこどりしやがって!!正頼も酷いことになっていたけど、無事で良かった…あとは、巌趙が無事でいてくれれば……。
なんとなく、アクの強い驍宗麾下の中で、割と霜元は常識人のような印象がある…だからかな、李斎との組み合わせが落ちいて見える気がする。

・戴国民のみなさん
私、何げに葆葉さまが好きでした。善人ではない。でも悪人とも言い切れない。その絶妙な匙加減。亡くなってしまったのが惜しい…でもなんとなく、彼女は屋敷に火をかけられても逃げ惑うこともせず、「まあ好き勝手に生きてきたからね。私には似合いの最期だろう」みたいなこと言って悠然と終わりを迎えていそう。
鄷都の、前向きな明るさに作中なんども救われました。彼が死ぬとは思ってなかった…あの場面は辛くて読み返せない…
静之と朽桟のご飯談義が好き。思わずクスッと笑っちゃったよね。あの場面だけほのぼの。静之は何でもおいしい派…?なんとなく彼の主の臥信も、何でも食べそう。他の麾下たちがうへぇ…って顔してる横でゲテモノとか食べてそう(大変な偏見)
朽桟さんも…。
驍宗さまはきっと土匪の実情を知ったら、その救済に当たると思うんです。朽桟は生き残ったら、いつかそうなった時に土匪側の顔役になるんじゃないかな、と思っていました。人望があって仁義に厚い彼の元であれば、今土匪と呼ばれている人たちも王の救済を受け入れて、いつかはまっとうな生活を送るようになるんじゃないか、と。朽桟を中心に李斎や一緒に戦った仲間たちが、肩を組んでお酒を飲み交わすような未来が来るんじゃないかって。
彼の死は苦しくて受け入れがたいけど、彼の思いは息子や仲間達が繋いでくれると思いたい。朽桟が最後まで戦ったのは、つまるところ家族を守るため、仲間を守るため、なのだから。いつか、彼らが暴力や犯罪に頼ることなく生きていける未来が来ると信じたい。
失ったものが多い中で、去思が最後まで生き残っていてくれたことが救いでした。そして彼も頑張った…!彼が頑張って剣を離さずラゴウにしがみついててくれたおかげで、雁に応援を頼むことができたんだもんね。私たち読者と同じ“ただの人”である彼が、この物語の最初から最後までを見届けてくれたことに心から安堵しました。

”厳しい冬を乗り越える苛烈な戴の血”
不屈の精神を持つ戴国民のみなさんに敬礼。

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すみません、ここからちょっと様子がおかしくなります…。

私、十二国記は十代の終わりにはまって、今に至るのですが、その間自分で妄想や創作をするほどのカップリングは思い浮かばなかったのです。そもそも、原作に恋愛要素がほぼ皆無(強いて挙げるなら予王→景麒くらい?)なのですから、無理にCP妄想する必要もないのですが。(あ、でも人様がかいていらっしゃる二次創作は別物です。CPものも美味しくいただいております、モグモグ。)

それが、ここにきて、えらい深い沼に嵌ってしまったのです…
驍 李 という底なし沼に…!
ええ、それはもう勢いよく!!両足から!!ドボンと!!!

驍宗様と李斎。元々、好きな組み合わせの二人ではあったのです。なんとなくお似合いだなーと思ってました。十二国記にはまった当時、二次創作とか読んだ覚えもあります。でも、自分で想像するほどの熱量は当時まだなくて。
それがですね既刊の再読と白銀1、2巻を通して、この二人の縁というか、関係性が気になり、徐々に「これは…やばいぞ」と思い始め、そして、3巻、p98 からの一連の李斎のセリフと独白ですよ。

「ーー驍宗様なら、間違いなくそう仰る」「たとえこの場におられずとも、驍宗様の意に背くような振る舞いはしてはならない」
これが李斎の結論だった。
「これは戴よりも驍宗様を選ぶ、ということなのだろうな。ーーつまり、私は何よりもまず、驍宗様の臣なのだ」

驍李ここに極まれりーーーーーーー!!!!!!(五体投地)

衝撃で感情が振り切れるワタクシ。情緒が天に召されるかと思った…
いやいやだってさ!黄昏を読んだ時は、多分李斎にとっては驍宗様は尊敬している王だけど、彼よりも泰麒への思いの方が大きいのかなと思ってたんです。ひいては、戴そのものを救いたい、という気持ちで必死になっていた彼女が、まさかの泰麒よりも、戴よりも驍宗をとる、と言い出したですよ!?驚 天 動 地!!!
長年の麾下ならばそれもわかる。でも、李斎が驍宗様と過ごした時間は、昇山したあの夏から彼が文州に向けて発つまでのわずかに一年足らずだった。にも関わらず、驍宗様ならきっとこうする、と彼の思考を追いかけて言動し、自分は驍宗様の麾下だ、と決意する。この思いの深さはいったいどこから…?いつの間に、彼女の中で驍宗様の存在がこんなにも大きくなっていたのだろう。彼と共にあった短い時間、そして彼を失ってからの7年間。その間に降り積もった思いの深さゆえなのだとしたら…。もう言葉にならないよ…!!(身悶え)

いやでもね、ちょっと待って。待って私。
もちろんわかっているんです。
彼らの関係はあくまで、主と臣であり、男女の関係は微塵もない。恋愛を挟み込む余地はないし、むしろそれは無粋だと。そんな彼らの関係性だからこそ、胸熱な展開なのだし、これ以上になく尊いんです。
加えて、ここに泰麒が入り3人になると、恋だの何だのをすっ飛ばして、え?家族??ってなるような、そんな彼らが微笑ましく愛おしいのです。
それはもう、じゅうっっっぶんに承知してはいるのですけれども…!

あいつが、私の中で囁くの……私の中の蒼猿が…!
“いいじゃん、いいじゃん、こいつら二人が好きなんだろう〜?
くっつけちゃえヨォ。どうせただの個人の妄想なんだからサァ…”

やめてーーーーー!!!それだけはだめーー!!
と、無駄な葛藤を心の中で繰り広げつつ、さらに読み進めていく。

李斎たちが発掘するのかと思いきや、自力で出てきちゃった驍宗さま!
そして感動の再会…!!(号泣)
この時、驍宗さまが再会した最初の人物が李斎だった、というのがまたもう…!天帝に感謝申し上げる…

驍宗様にやっと会えて、幸福感に満たされる李斎。
驍宗さまが眠る横で、衣を用意して剣にお守り結んじゃう李斎。
え、え、え、李斎可愛すぎない??
(他の方のツイートで、熟年夫婦かよ、とあって、それー!!!ってなった)

そして極め付けは息の合ったコンビネーションで共闘する二人……!!!
あいやー………(無言で天を仰ぐポーズ)
なに、なに、これ!?二人ともかっこよすぎて息ができないんですけれども!!
二人の初の共同作業!?!?ケーキ入刀なの!?!?????(混乱)

驍宗さまが捕らわれて行ってしまうのを、駄々をこねる子供のように「私は行く!」と冷静を欠いて追いかけようとする李斎…(この時の彼女の心情を思うと胸が苦しくなる…ようやく会えた主をこんな形でまた失うなんて、耐え難かっただろうな…)

そして夕麗との会話で明らかになる、驍宗様との再会で李斎だけ涙を流せなかった、という事実…!
こんなん、驍宗様の前で李斎を泣かせる妄想するしかないやんか!!!!(早々に蒼猿に屈している模様)

すみません、こんなふざけた調子で書いていますが、もちろん真剣に読んでて感動していたのですよ。ただ、心の片隅で蒼猿がちょっとうるさかっただけなんです…

読み終えて茫然自失としてから早数週間。おさまるどころか、さらに増していく驍李熱。他の方の驍李創作を平伏しながら拝見しつつ、自分の中でも広がる妄想。
ついには出会いの頃から紆余曲折あって♪エンダァーーーーーイヤァァーーーーーの曲が流れるまでのストーリーがほぼ頭の中で出来上がる。試しにプロットを書き出してみたら、ざっと見積もっても15話。
長いよ!!誰が読むんだよ!!!

本当、まさかこの二人にここまで情緒持ってかれるとは思ってなかった…
でも、まだ心の中で葛藤は続いているんです。男女の関係ではなく深い絆で結ばれた二人の主従関係を尊い…と崇め奉る原作厨の私と、二人のあれやこれやの妄想が炸裂する二次創作脳の私のガチバトル。面倒くさいな自分!!
驍李の長編、書いてしまおうかなぁ…書ききれるかどうかもわからないけど。需要、あるかなぁ…。自分の中に留めておくべきか…。

長文駄文、失礼いたしました。



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