十二国記プレゼント短編 感想


いまさらながら、先日十二国記の日にプレゼントとして新潮社さまより配信された短編の感想です。
ネタバレありの感想ですので、未読の方はご注意を。


落ち着いてゆっくり読めたのはメール届いてから数日後、読了後の心の雄叫びを言葉にできぬままさらに数日過ぎちゃいました。読み返しながらとりとめもなく書き散らしています。


タイトルと表紙絵から、もしかして泰麒の話では?!?と動悸息切れしていたら、冒頭で泰麒の名前、それどころか李斎、陽子まで登場して声にならない叫びを何度もあげました。狂喜乱舞!歓天喜地‼︎ 天帝に、小野主上に感謝申し上げる…


暗黒の岸辺に佇む彼の姿…泰麒と書かれていたにも関わらず、私が脳内にイメージしたのは蓬莱の制服を着た高里くんの姿でした。魔性の子のラスト…あの岸辺に彼の心は今も立ち尽くしているんだと思えてならない…


泰麒を蓬山へ連れてきた場面、ということは白銀本編の最後で李斎が「うさんくさい」の一言で済ませていた天とのやり取りのところか。李斎は天に対して完全に不信感を拗らせまくってるけれど、ある意味その姿は一般の民が官吏や王に対して抱く感情と同じなのだろうなと思う。黄昏で陽子も李斎の叫びを聞いて、これは民の叫びだ、と感じていたよね。
「どうせ偉い人たちは何も助けてくれないんでしょ」と民は雲の上の人々に不信感を抱く。でも、李斎を含む国政に関わる仙や陽子、驍宗たち王も一般の民よりは力はあるけど決して万能ではない。一朝一夕に全ての民を幸せにできるわけじゃない。玉葉さまが言っていたのはそういうことなんでしょうね。
でもそんな上の人々の事情なんて、民は知ったこっちゃない。不信感をもったり、批判を口にするのは当然だし、それでいいんだと思う。だから李斎も、天に対してやさぐれ李斎のままでいてほしい。そのままの君でいて…
「この世界に奇蹟なんてものはありはしない」玉葉さまのこの言葉は、十二国記という物語の根幹をなすものなんだろう。


慶の雲海は翠の色なんだね…!陽子様の瞳と同じ色…!!
ぶんぶん手を振る陽子さま、我らが主上、可愛いすぎじゃない?!?超絶可愛過ぎじゃない?!?!
陽子のhugーーー‼︎からの「おかえり」ーーー‼︎‼︎
びっくりしてる李斎も可愛いーーー!
黄昏の岸ラストの別れからこの二人が再会するまで、作品の中の時間軸では一年、私たちの時間では20年近く経っていることを思うと、この「おかえり」と「ただいま戻りました」は本当に胸が熱くなる。


桂桂、良い子にそだったなぁ。飛燕の訃報を聞いて「一瞬顔を歪ませ、すぐに顔を伏せて李斎に抱きついた」きっと泣きたかっただろうに、自分よりも李斎の方がずっと辛いはずだと察して涙をみせまいとしたんだね。「お辛かったでしょう」って真っ先に李斎の気持ちによりそう桂桂がほんと優しくて、良い子で……この時点でもう咽び泣く。
そして李斎、あなたやっぱりちゃんと泣けてなかったんだね…。驍宗様に再会できたときも、飛燕の死にも、涙を流せなかった彼女が桂桂に縋って泣く。その姿に李斎の強さと弱さを感じられてひたすら胸が痛い。李斎、あんたってひとはもう…!


泰麒を正論で叱る景麒がまじ景麒すぎて笑っちゃう。でも女仙のように困惑や複雑な表情を浮かべて遠巻きにされるよりも、景麒のお叱りの方がずっとずっと温かい。風の海で「正論ばかりでは人を傷つけてしまうこともある」と玉葉さまに注意されていた景麒だけど、彼のその正論が今の泰麒を救っているんだよね。
そして膝ぽんぽんからの膝枕ーーーー!!!
景麒、お前いつのまにそんな器用なことできるようになったのーーー?!?
いや、これが蓮麟や供麒あたりのほんわか麒麟だったらね、違和感ないんだけどさ。まさかのあの景麒が、っていうのがね!インパクト大過ぎて、ええ、もう。


そしてこの後の景麒の大大大衝撃発言。
「どれほど主上を寝かしつけたかわからない」

私、ほんとここ、理解が追いつかなくて、六度見くらいしてたんだけど。
え、待って待って。景麒が主上と呼ぶ人って、過去を含めても二人しかありえないけど「慶に戻られたころ」っていうのは陽子が蓬莱から慶に帰還したってことを言ってるよね。そもそも予王のことだったら、以前の主とかそういう言い方をするだろうし…ってことはやっぱりこの「主上」って陽子のことだよね…?

景麒が??? 陽子を????

寝かしつけた??????????

完全に宇宙ネコ顔になるワタクシ。
実際に聞いてた六太くんや耶利もスペースキャットになってたんじゃないかな……


景麒、お前…まじか。そうかーそうくるかーーー
いや、景主従は最大推し主従なので、めちゃくちゃ嬉しいよ!?でもなんか嬉しさより衝撃の方がデカすぎてさ!!!

いろいろな方の感想を見る限り、この「寝かしつけ」の解釈は人それぞれみたいだけど私が思い付いたのは以下3パターン

①眠れるまでそばにいてあげる
②眠れるまで膝枕
③眠れるまで正論で諭す

………③かな(私の中の景麒像とは)
いや、直前の泰麒への膝枕がインパクト大きすぎて、その文脈から読むとこの寝かしつけ発言「陽子にも膝枕してたってこと?!」となるけど、どうなんでしょうね…本人達のみぞ知るってことで、あとは読者が想像するしかないのか。うわーうわー、まさかこんなところで景主従爆弾が落ちてくるとは思わなかったわーー

あ、あと何気に景麒が陽子のことを「私の主上」と言ったことに後からじわじわ来てる。私の主上かぁ〜そっかぁ〜なんかニマニマしちゃう〜
陽子もすっかり景麒のこと信頼してるしね。本当この二人いい関係になったなぁ。


驍宗様も最後出場してくださいましたね。
この場面、おそらく漕溝城にいるとき驍宗様がお見舞いに来てくれたのを泰麒が覚えていて、それを夢に見ているってことだよね。驍宗様もまだ蓬山まで飛んでこれる状態ではないよね。
責めるでもなく、慰めるのでもなく、共に歩もうとする驍宗様の姿に、ああ泰麒はもう岸辺にひとりぼっちで立っているわけじゃないんだ、とようやく安心しました。


この短編が出た事で、私が以前書いていた二次創作シリーズの一部に原作との矛盾ができてしまったのですが(だって李斎が陽子と再会する話を公式で読めると思ってなかったんだもの!嬉しい誤算!)作品はそのまま残しておこうと思います。二次創作ってことで、そのあたりはどうか多目に見て頂けると助かります。


あ、あと最後にちらっとだけCP(驍李)的な話をしてもいい??
短編を読んでふと私の中の驍李脳が囁いたのですが、李斎を慶で休ませるように手を回したのは六太君だけど、もしかしたら驍宗様から六太君に、李斎を休ませるように頼んだんじゃないかな〜〜という妄想。
驍宗さまは李斎がずっと気を張っていることに気づいていて、でも休むように自分から言っても彼女は固辞するだろうし、命令で休ませてもかえって気が休まらないだろうし、だから蓬山に行くという六太くんにそれとなく頼んだんじゃないかな〜李斎を蓬山で休ませてやってほしいって。で、六太君が、だったら慶の方が李斎も落ち着くだろう、陽子達も会いたがってるし、と気を回してくれたんじゃないかな〜〜
「李斎には休息が必要だ」って陽子にもわかったんだもの、驍宗様だって気づいてると思うの、李斎がぎりぎりのところに立っているということに。李斎が周りに決して見せまいとしている脆さに、驍宗様は気づいていて、気づいていることを李斎に悟られないようにそっと影から彼女を助けていたらいいな、という妄想。ええ、すみません、全ては驍李脳が見せる妄想です!


他にも考えさせられることはいろいろあったんだけど(陽子の言っていた罪と罰の話とか…)ひとまずこのへんで。
小野先生、本当にありがとうございました!!短編集の刊行、心より楽しみにしております!



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