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「言葉がなかったら生きられなかった星」より一部

ひとりでいるとどうして一緒にいたのかがわかる。家族のことも、友だちのことも、恋人のことも、会社のことも、町のことも、国のことも、世界のことも、この星のことも、なんとなくわかる、ううん、わかるような気がする。
もう一度まばたきをすると、あなたやきみのこと、彼や彼女のことを思う自分は今ここでひとりではないということに気づく。ひとりとひとりで一緒にいる。
一緒にいるということがたゆたいながら広がってゆく。

『観光記』(2020)収録

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