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3: Edinburgh フリンジフェス参加の記録

CHALLENGEについて


NONSTYLE石田さん率いる「CHALLENGE」
以前のnoteにも書いたけれど、このエディンバラ公演は4回目の再演です。

初演は2023年11月の銀座博品館で1ステージ。
再演は今年2024年2月に大阪なんばのYESシアターで3ステージ。
再々演はエディンバラ公演のプレステージで、渋谷∞ドームで1ステージ。
4回目はスコットランド、エディンバラのAssembly George Square Studios, Studio Two で10ステージ。

公演毎にどんどん変更を重ね、脚本は毎回少しずつ変化しています。
3回目と4回目はプレステージからの本公演なので、台本自体に変更はないものの、ばっさりカットしたシーンなども含め、芝居のテンポもかなりアップして、最終的なランタイムはプレステージから10分以上短くなりました。

役者にとっての台詞とは

ノンバーバルコントというスタイルに出演するのは、私にとってCHALLENGEがほぼ初めて。

それまで当たり前にあった「台詞」がなくなることに最初は戸惑い、台詞というものがいかに役者にとって武器で、これまでいかに役を形作るうえでヒントになっていたのかも痛感。

物語におけるルールを、台詞があることで自由な解釈をしてOKな範囲と、決められた物語の枠組とをはっきり区別しているのだなと気づくきっかけにもなりました。
ステージを重ねる毎に、少しずつ台詞がないことの自由さを楽しめるようになったり、自由であるゆえに自分の中で引くべきボーダーラインを見失いそうになったりと、壁にぶち当たりながら、今回も体当たりの日々。

喉のケア

表現の上では台詞がないことに難しさを感じる部分もあったけれど、喉のケアという面では救われた点もありました。
私は肌が強いタイプなのですが、飛行機内とヨーロッパの乾燥には本当に悩まされたので、会話重視の芝居ではかなりのケアがないと思うように声が出せなかったんじゃないかなと思います。
CHALLENGEは台詞がないにもかかわらず、本番中1ステージで5個はのど飴を消費していました。
袖に入るたびに飴をほうり込んで、お水をがぶがぶ飲んで、ステージに上がる前に噛み砕いて、、の繰り返し。
ロンドン暮らしの長いスタッフさんにオススメしていただいたのど飴はこちら。

36個入りで£5.75

ドラッグストアは18時前に閉店するのですが、遅くまでやってるスーパーにも気軽においてあるので助かります。
私はBootsやセインズベリーズで購入しました。
円安なので36個で1000円越えとやはり高いですが、とてもオススメ。
ドラッグストアには少量パックもあります。

台詞がないとはいえ、喉をやってしまうとそこから風邪やウイルスが入る原因になるので、シビアに体調管理をしておいて損はありません。
海外で風邪なんかひいたら大変!

観客について

フリンジフェスは世界各国からパフォーマーがやってきて、観客には演者や観光客も多いのですが、とにかく日本、特に東京と違って歓声が多い!
他所の舞台でもお客様いじりやコールアンドレスポンスが多く見られたし、お客様はみんなノリノリで、ステージから質問を投げかければ我先にとたくさんの声があがるのに驚きました。

これまで自分が出演して反応が大きい!と感じた大阪や韓国での公演よりも、断然エディンバラの方が大きなリアクション。

CHALLENGEでもヒューヒューとかワーオとか、ウォーといった歓声が飛び交い、手拍子に拍手、スタンディングオベーションも。
良くも悪くも観客の反応がわかりやすく、終演後に劇場外でフライヤーを配ったりしていると手応えを感じた日にはめちゃくちゃ声をかけていただくし、あまり刺さらなかった場合の反応もわかりやすかったです。

集客について

嬉しかったのは、私の場合おうちから劇場までヘアメイクを完成させて通っていたのですが、たまたまCHALLENGEを見たというエディンバラ在住のフランスの方が街で声をかけてくれ、何度も何度も面白かったと伝えてくれたこと。
その後もバッタリと何度か出くわし、平日は仕事があるけれど、土日には友人を誘ってまた行くよと言ってくれた。
昨年フリンジでジャルジャルさんを見たらしくお笑いや吉本が好きだそうだけれど、私達のことを全く知らない人がたまたまステージを見て、こうして楽しんでくれることが本当に嬉しかった。
リピーターのお客様が日を重ねるにつれて多くなりました。
台湾人のシャイな女の子は3回も見て、千穐楽にはついにラストだね、と寂しそうに声をかけてハグしてくれた。

日本では公演を打つ際にキャストがもともと持っている集客力に頼る宣伝やキャスティングをしがちで、出演者や団体のことをひとりも知らない舞台に出かける文化自体がほぼないけれど、
フリンジフェスでは通りすがりや、ポスターを見たり、街でもらったフライヤーをみて、これまで縁もゆかりもない人がたくさん訪れてくれた。

私自身も、あえてあまり下調べせずにポスターにピンときた演目にふらっと立ち寄ることをたくさんしました。
当たり外れももちろんあって、それがまた楽しい!
自分と同じ劇場の演目で「THE Magic」というのがあったのでマジックショーと思って入ってみたら、「THE Magic」というタイトルの本を書いた人気小説家を取り上げた、作家兼コメディアンのブックレビューだったこともあります。
面白おかしいトークショーだったし、作者の名言も素晴らしかったので楽しかったのですが、「この作家の本の中でなにが一番好きー?!」と盛り上がっている中で、一冊も読んだことのない私は縮こまってしまいました。笑

お客様の声

CHALLENGEではちょっぴりドキドキなシーンや風刺的なシーン、サムライの殺陣などの場面もあって、UKではどういう反応があるかなとドキドキワクワクしましたが、大歓声で歓迎された印象です。
例えば、以前殺陣の団体で別の海外公演を行った際に日本の時代劇の文化ベースがないため、悲劇の印象を与えすぎてしまった話を聞き及んでおり、やはり国によって価値観や文化の違いは大きく影響します。
笑いの起こるポイントやタイミングも、渋谷とはかなり違って興味深かった。

(これは見て下さった人にしか伝わらない話だけれど)CHALLENGEの中で殺陣のシーンがあるのですが、歓声と共に殺陣が暗転し、明転後にドカンと笑いがきて、その後すぐ悲鳴が起きました。
日本ではあの衝撃の明転時にドカンと笑いが起きる日は多分来ないと思います。笑

フリンジの他の公演にはかなり風刺的だったり過激でショッキングなショーが多いのにも驚きました。
特にスタンダップでは私の中学生以下の英語力でもすごいこと言ってるな~と感じることが多かった。

私自身は、初演から悩み続けていたシーンが他の団体のショーを勉強したことで明確にブラッシュアップされたなと実感した場面があり、役者として本当に貴重な体験をしました。

CHALLENGEはたくさんのレビューをいただきました。
是非見るべき素晴らしいショー、たくさんの笑いと高い技術、誰にでも楽しめる、喜びに満ちていてユニーク、家族全員で楽しめる、笑いが絶えない、その後の一日を楽しい気分にさせてくれる、絶対に楽しめるショーなど嬉しい言葉がいっぱい。

出演者としてもいち役者としても観客としても、学ぶことの多い貴重な滞在でした。
表現者としての横の繋がりも多く得られたし、フリンジは継続して出演することにかなり意義があるフェスだなという印象です。
昨年好評をもらった!とポスターにでかでかと表記している団体も多く、人気の団体は初日から超満員。
実際、各国のプロデューサーが招聘を視野に交渉している話も多くあるそうです。

これからフリンジに参加しようかと考えている皆様には、是非参加されることを強くおすすめします!
日本での知名度がなくたって、良質な作品でさえあれば必ず評価される場所だと感じました。


つづく。

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