私なら、こう書く

私は小説家になりたいという気持ちはまったくなかった。
実際、文章を書くといえば実態調査結果や決裁書類ばかりだったし、小説は読むものであって書くものではなかった。ところが今男と女のあれやこれやを書いている。本当に、人生って面白いなと思う。

読書は好きだ。窓際のトットちゃんから始まった遍歴はいまだに続いている。保管していた本のなかで一番多いのはクリスティ。そう、アガサ・クリスティのミステリーだ。情報開示のタイミング・登場人間同士の複雑な関係性などなどに魅了されミステリー大好き人間に育ってしまった。で、結婚した夫氏もミステリーが好き。結婚後の本棚は夫氏が出張の際買ったミステリー小説だらけになった。

夫氏が転勤になり、私は仕事を辞めた。専業主婦となり夫氏が買った本を読みあさった。それだけでは足りず、実家から本を送ってもらった。
とにかく時間がありあまっていた。2016年のことである。紙の本オンリーだったわたしが電子書籍と出会ったのは。このときから8年が過ぎて、それまで読者だった自分が書き手になった理由を思い返してみた。まずは「自分だったらこういう風に書く」その次が若い男女のロマンスではなく、ある程度酸いも甘いも知った男女のロマンスが読みたくなったからだった。

世間的にTL(ティーンズラブ)と呼ばれるジャンルや海外ロマンスの「現代物」に絞ってヒロインの年齢を調べれば、ほぼほぼ20代だと思う。ちょっと上でも30代前半だろう。それを過ぎたロマンスは、ほぼなかった気がする。

自作のヒロインとその相手役の年齢を調べてみたらこうなった。

鈴のアンクレットー29才と40才

別れた相手とよりを戻すまでのことー35才と35才

コンクパールの指輪ー29才と35才

眠れぬ夜ー32才と44才

イヴのめざめー29才と35才

蛇は密やかにそのときを待つ-32才と38才

それは甘くほろ苦く/雨のあとは、きっと良い日がくる(SWEET&BITTER)ー
26才と35才

まあ年齢高いこと高いことw
実は以前実施した読後アンケートで読者さんの年齢構成がわかったのだが、自分とほぼ同じ年代の女性が多かった。
ちなみに現在無料投稿サイトで連載している「12本のバラをあなたに」は32才と45才だ。二人とも離婚を経験し、ある部分で対極の立場にある。そんな二人の恋愛模様に加え、若い男女と熟年夫婦の話もあるから実はプロットを組み立てるのがとても大変だった。

なぜ青春ものや、若い男女の恋愛ものが売れているのかには諸説があるが、作中の主人公の年齢に立ち戻ることができるからという説が有力らしい。なるほどそれは納得できる。が、書く方に回ると、30代以降の自分の気持ちや考えしか思い出せない50才なので、それより若い男女の話は本音を言うとお手上げである。

だから、これからも年齢高めの男女のロマンスを書いていこうと思う。同時に「あの頃の自分の気持ち」を整理していくつもりだ。文章を書く、お話を作る。それらは皆、私にとって終活の一つなのです。

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