話数単位で選ぶ、2023年TVアニメ10選
みなさんこんにちは、さくらひじりです。
今年も年の瀬ということで、昨年に引き続き、今年もaninado様主催の「話数単位で選ぶ、2023年TVアニメ10選」に参加させていただきます。
レギュレーションにつきましては、
の通りとなっています。
また、本記事の内容上、ネタバレを含んでおりますので、各自で自衛をお願いいたします。目次を用意したので、こちらから跳んでいただけると良いかと思います。
①もういっぽん! 第13話「もういっぽん!」
柔道をするという選択をした女子高生の青春を描いた本作より最終話を選出。
このアニメの第1話では、主人公の園田未知は、痛い、ダサいなど様々な理由をつけて高校では柔道を辞めるつもりだったけど、結局柔道をするという内容でした。自分が最終話で非常に魅力的に映ったのはCパートで、柔道部の4人で寝転がりながら話すシーンなのですが、ここでは高校でも柔道をやって良かったねという内容を話しており、柔道を辞めようとしていた女の子が柔道をやることを選び、柔道をやって良かったと言い張れる、という内容でアニメ全体を通して一貫していることが非常に素晴らしく、柔道部の女の子の青春として非常に美しく感じます。また、第1話のサブタイが「いっぽん!」なのですが、最終話のサブタイ「もういっぽん!」と対応しており、”もう”と付くことで柔道が続くことを示唆しているような気がするのですが、こういうセンスはもうすごいとしか言いようがありません。
柔道の戦略性、早苗や姫野先輩の活躍を描いた第10話も魅力的ではありましたが、作品の一貫性を尊重して最終話を選びました。
②君は放課後インソムニア 第1話「能登星」
不眠症の2人によるボーイミーツガール、ラブストーリーとして魅せてくれた本作より第1話を選出。
不眠症であるが故に夜に眠ることができず、夜に対して負の感情しか抱いていない主人公の中見丸太が、同様に不眠症を抱える曲伊咲と出会い、2人で夜を散策することで、夜起きていることに対する楽しさや喜びを覚え、夜起きることについて肯定的に捉えることができるようになるという内容が描かれています。このアニメのタイトルにもなっている不眠症(インソムニア)であるため、夜は眠れないけれど、夜に起きていることで得られる良さもある、と夜に起きることを肯定することで、夜に対する印象を1話の中でネガティブからポジティブに変えた、非常に綺麗な導入だった思います。
また、話数は跨ぎますが、個人的にはこの2人が天文部として活動をするわけで、この天文部というのも夜に活動する部活で、これも夜だからこそできる設定だと思います。
③事情を知らない転校生がグイグイくる。 第7話「遠足と味玉の魔法」
クラスメイトに虐められてしまっている西村さんと少し変わった高田くんのラブコメより第7話を選出。
第7話の後半で、西村さんのお弁当に入っている味玉からお弁当のおかずの話題になり、西村さんが会話の輪に入っていくという心温まるお話になっていました。この味玉の背景には、お父さんが友達作りが少し苦手な西村さんの話題作りのために入れたということがあり、学校という親の手が届かない環境において、少しでも親が子供にしてあげられることとして描かれていて、親の愛情、親子の素晴らしさを感じられる内容に思います。
や、良い話なんですよね…。
④江戸前エルフ 第10話「みっつの都のエルフと巫女の話」
エルフと人間における日常を描いた本作より第10話を選出。
第10話はストーリー性のある話数ではなく、ただただ作中に登場した3組のエルフと巫女の日常シーンを描いた内容になっていますが、エルフと人間における寿命の違いを軸に日常の刹那性、尊さを描く本作において、こうしたありふれたエルフと巫女の日常を描くことが日常の大切さを汲み取ることができると共に、登場した3組全てでそれをやることで、誰においてもこの関係にいつかは別れが訪れるいう宿命の儚さ、寂しさも感じ取ることができる非常に優れた一話だと思います。
⑤おとなりに銀河 第11話「久我くんと刺抜き」
恋愛初心者2人の“婚姻契約”から始まるほんわかハートフルラブコメディより第11話を選出。
第11話は意図せず契約を結ぶこととなってしまった2人の契約を解除をし、契約上の恋愛から柵のない本当の恋愛へと変わっていくという大きな転換点となるエピソード。ここで五色さんに好意を抱いている京吾くんも出てくるのですが、彼と久我さんを比較すると、前者は五色さんを姫と呼び肩書きを気にしている、顔色の変化に気づけていない、しかし後者は肩書きや契約関係なく好き、顔色が悪いことに気づくといい、対比的に久我さんが五色さんのことをよくわかっているという彼の良さが出ていたのではないかと思います。
また、このエピソードは最終話にしても良いくらいの山場であるにも関わらず、第11話であることに意味があると思っていて、最終話では関係の改まった2人のデートを改めて描くということもしており、非常に倫理観が高いことが伺えます。
⑥絆のアリル 第12話「〜運命のステージ〜」
春クール及び秋クールを通して、バーチャルアーティストを目指す女の子たちの成長を描ききった本作より、1クール目の最終話を選出。
1クール目では主にWonder heartという曲の歌詞を変えることで個々のキャタクター性を表すという非常に目新しい演出がなされていましたが、5人の歌詞を組み合わせることで、今までと同様のメロディーながらPathTLiveとしての新曲SHININGiを作り、5人が合わさることで更なる曲を生み出せたことの良さ、ライブシーンの3DCGの圧倒的なクオリティの高さが魅力的に映りました。
2クール目のクリス回、ノエル回も良かったので迷いましたが、絆のアリルといえばやっぱり同じメロディーで歌詞を変えるアレだろ❗️と思ったので、こうした演出の集大成ともいえるこちらを選びました。
⑦贄姫と獣の王 第15話「少年と幼子の邂逅」
人間と魔族における隔たりから和解を描いたラブロマンスである本作より、第15話を選出。
この話数はAパートBパートで別の話になっており、Aパートではアミトさんとヨルムンガンド隊長のラブストーリー、Bパートではサリフィの幼馴染であるイリヤが魔族マアトと出会う話となっています。Aパートもアミトさんという恋する女性の良さ、ヨルムンガンド隊長のカッコ良さが伝わってくる良いエピソードなのですが、今回注目したいのはBパートの方で、サリフィ、王様との邂逅を経て仇である魔族に対する印象が少しずつ変わってきたところで、マアロというアルマジロのような見た目をした魔族が人間に虐げれている場面に出くわし、それを助けるということが、イリヤの魔族に対する向き合い方、価値観における変化の象徴として映るとともに、人間と魔族の和解という本作が扱う大きな話題に合致した非常に素晴らしいサブエピソードであるとも言えるでしょう。
⑧BanG Dream! It’s MyGO!!!!! #10「ずっと迷子」
匿名バンドにはじまり、今年大いに盛り上がったバンドリコンテンツの新バンドの新アニメより第10話を選出。
個人的にこのアニメにおける一番の功績は、既存のMyGO!!!!!の楽曲にさらなる文脈を与えたことだと考えており、MyGO!!!!!には、音一会や潜在表明のようにポエトリーリーディングを用いる楽曲が存在しますが、歌詞に高松燈の心の叫びという文脈があることを、第10話の詩超絆ができるまでの、燈の詩から始まり、楽器陣が徐々に加わり完成するという過程から汲み取ることができ、ポエトリーリーディングを音楽的に採用する意義が明確にあることを示すメディアミックスコンテンツの手つきとして非常に上手かったと思います。
第10話の中で、もうどうしようもない状態において、CRYCHICのトラウマに怯えていた燈が第一に動き出せた成長を描いた1話、また、手の施しようのない状況だった長崎そよを、諸々をすっ飛ばして詩超絆一筋で説得したことによる燈の詩、音楽のポテンシャルを示した一話としても大いに評価できるでしょう。
⑨AYAKA -あやか- 第12話「恥ずかしいこと言ってんじゃねーよ」
“あやかい”という造語が話題になった本作より最終話を選出。
出身の綾ヵ島に引き取られたものの馴染むことが出来ずにいた幸人が島に馴染んでいく過程の中で、先に述べた”あやかい”という言葉が非常に上手く作用していたと思います。”あやかい”という形容詞は、本作において、
という意味があると公式サイトにありますが、当然島に来たばかりの幸人はこうした意味を理解できず使える訳もないわけですが、最終話では島に友達もでき、馴染み始めた象徴として幸人が”あやかい”と声を発するシーンは、演出として完璧であると共に、視聴者として望んだ展開である面白さもあったと思います。
⑩ポケットモンスター リコとロイの旅立ち 第18話「そらとぶピカチュウ、どこまでも高く!」
アニポケ新作リコロイより第18話を選出。
この話数は、キャップこと空飛ぶピカチュウとフリードの出会いのエピソードとなっています。空飛ぶピカチュウからインスピレーションを得てライジングボルテッカーズという名前が決まったこと、そしてピカチュウとの出会いを通じてフリードがデータや観察だけでなく、実際にポケモンの元に赴きポケモンについて知ろうと旅立ったことが描かれた非常に良い話であるとともに、アニポケというビッグタイトルも主人公が変わり変革を迎えても、こうした高クオリティの話も見れるというビッグタイトルの偉大性をも感じられた一話だったと思います。
終わりに
いかがでしたか?
今年も10選を行い、我ながら割と納得のいく選出が出来たのではないかと思っています。MyGO!!!!!やアニポケ、おと銀のような、明らかにこの話数で勝負に出たなという回から、逆に言えば贄姫や転グイのようなサブエピソードまで幅広く拾えたのではないかと思います。
心残りに感じているのは、秋アニメから選べなかったこと。候補に上がる話数はいくつかあったものの、選ぶならアリルかなあと思いつつでもそれは春の第12話の方が良いよなあと考え、最終的に、冬1、春5、夏3、長編1という少しバランスが悪くなってしまったな〜と思います。結局は自分の好みなので、春に偏っただけかもしれませんが、バランス厨ぶりたかったところもあります。
来年もアニメ、声優共に良い感じにバランスよくやっていきたいなと思っています。現状、1月に控える岡咲美保さんの1stライブが非常に楽しみです。ずっと待ってましたからね。
今回はここまでです。
おまけ:選ぶか迷った話数10選
10選を決める際、候補に上がった話数も軽く理由など込みで記しておきます。
こちらも同様にネタバレがあるので、各自自衛をお願いいたします。
・冰剣の魔術師が世界を統べる 第5話「セカイ最強の魔術師である少年は、戦場で邂逅する」
今年のアニメを統べた怪作こと冰剣の第5話、レイホワイト君の過去回で、これを踏まえると彼が良い級友に恵まれたことに感慨深くなれます。
・D4DJ All MIx Jul. 「ミンナカワイイ」
フォトンメイデン回、一期の方では福島ノアにあまりフォーカスが当たっていなかったので、福島ノア回になっていることに嬉しく思うと共に、一期同様、事務所というバックがあるフォトンが自分達で行動を起こすという文脈が、自己紹介ソングを作る中ではっきりしていて良かったです。
・もういっぽん! 第10話「勝つ以外ある?」
スポーツ物のサブタイとしてカッコ良すぎるだろ…。
柔道の戦略性をしっかり描いており、かなり見入ってしまいました。早苗、姫野先輩の活躍を見ることもできます。
・お兄ちゃんはおしまい! #12「ましろのおしまいとこれから」
ましろが今の関係を維持するために、あえて男に戻らない選択をするのが印象的。嘘を突き通すことになるわけですが、この選択も一つの正解なのではないでしょうか。
・アリス・ギア・アイギス Expansion 第4話「お祭り騒ぎだヨ!成子坂!(準備編) /お祭り騒ぎだヨ!成子坂!(当日編)」
なかなかトチ狂ったソシャゲアニメでした(褒め言葉)。クリーチャー団子作りに始まり、謎のクイズ大会(?)など色々トチ狂っていましたが、そんな中、高幡のどかのストーリーを進めているのも良い手つきに感じます。
・BIRDIE WING -Golf Girls’ Story- Season 2 #25「蘇る約束」
サブタイがセンスありすぎる。2クール目は様々な逆境に苛まれながらもイヴと葵がゴルフをするという約束を叶える、という観点で一貫しており、この集大成といえばこれだと思います。個人的にはバディゴルは葵と雨音の関係性を描いた20話も考えていましたが、どちらかは選びたかったな〜とも思います。
・BanG Dream! It’s MyGO!!!!! #12「It’s my go!!!!!」
ちゃんとバンドを結成して初のライブ。居場所を求め彷徨い続けた要楽奈が見つけた新しい居場所で、とても気持ちよさそうに奏でる迷星叫のギターソロ、それを見て微笑むおばあちゃんの構図が素晴らしい。
・デキる猫は今日も憂鬱 13缶め「デキる猫は明日も憂鬱」
公園で凍え死にそうだったところを幸来に拾ってもらった諭吉が、仕事で大変そうな幸来におにぎりを作ってあげるという心温まる内容でした。諭吉目線の恩返しのような文脈がいいんですよね。
・ 絆のアリル 第15話「〜わたしだけのザイル〜」
2クール目のクリス回、見てたらわかる通りクリスはなかなか個性の強いキャラクターなのに、ミラクミラクと言っているのは自分らしさが弱まってしまっていると感じていたので、作曲というオリジナリティに着地して強く納得がいきました。
・聖女の魔力は万能です Season2 Episode 12「Blessing」
セイとホーク団長の恋愛を真っ向から描いた最終話。団長の告白シーンも美しく、二期で2人の恋愛を描き切ってくれてありがとうという気持ちに尽きます。