作品について④
これは作品について、直接的に、というよりは
私のモノづくりの根っこについて、30歳になった今、
ようやく共通の考え方が見えてきたのでまとめておこうと思う。
結論、私のモノづくりの根っこ、やりたいことの根っこ、
面白いと感じていることの根っこは
「わからない物事(正解の無い、もしくは現在では確定できない事)との概念の共有」である。
なんか小難しく書いたけども、日常的なところでいくと、
世界中で「青」という色は視覚的にほとんど同じ認識を持てるが、
その色に持たせる意味は全く違ったりするところ。
一つの疑問や物事について、角度によってさまざまな考え方があるところ。
その考え方を共有するところに、私は面白さを最も感じるのである。
私はなんでモノづくりが好きなのか。
そもそも好きなものはこの世に沢山あるけれども、
かなり好きになるものに共通することってなんなんだろうか。
そんなことをずっと前から考えてきたが、20代前半、一番そんなことを夢想するのに時間を使っていた大学時代には明確な解答は見つけられなかった。
大きく言語化できたきっかけは、私が最も好きだと言える映画に出会ったときだったと思う。その映画のテーマを解説してくれているサイトでしっかりと言語化してくれていたおかげで、私もその言葉を自身の感情に当てはめることができた。
映画は「ARRIVAL(邦題:メッセージ 原題:Story of Your Life)」
SFだが、宇宙人とドンパチしない映画である。
そもそも宇宙人がやってきて「やべえ、戦わなきゃ!」とはならんだろうとは昔から思っていた。この映画は、SFでありながら、女性言語学者を主人公として、宇宙人と対話を重ねていくところに最大の魅力があると思う。
わからないものを解らないからと攻撃する、否定するのではなく、
何度も何度も対話を重ねて、理解を深めていく。
我慢することもその過程の中で何度もあると思う。
ただ、解らないものとの理解が深まっていくうちに、自分だけでは到達し得なかった世界が広がっていく。物事の形が複雑化し、いろいろな色が混ざって黒になる、カオスになる。そして遠くからみるとそれはとてもシンプルに見えてしまう。
そこが面白いのだ。
私は何かを選択しなければならない時の判断基準は
それが面白いか、面白くないかということを最重要視している。
概念の共有。
これが私のモノづくりの根っこである。