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【囲碁本レビュー】ヨセの強化書 基礎編

一ヶ月近く止まっていた囲碁本レビュー。

今回は寺山怜六段の「ヨセの強化書 基礎編」をご紹介します。

こちらは元々、日本棋院が発行している級位者向け月刊誌「囲碁未来」に掲載されていたものでした。(それらに本書用の問題や改良されたものがプラスされたかたち)

続編として「応用編」もあります。

1.どんな本?

ヨセの最善手順を問う問題集です。
問題はすべて9路盤で作られています。

収録問題数は100問。
「初級編」「中級編」「上級編」の3つのレベルに分けられていて、初級編のみ40問、残りは30問ずつです。
同じ章の中でも徐々にレベルが上がって生きますが、五段階の星マークで難易度がわかるようになっています。(星一つから半分ずつで移り変わるので、厳密には九段階ですね)

章の切り替えのときにヨセにまつわるコラムも挟まれています。

2.対象棋力の目安

個人的には10級以上くらいからというイメージです。

ヨセは詰碁や手筋と比べると、何が問われているのかを理解するのに棋力を要するジャンルだと思っているので、ある程度碁を打ち慣れたレベルの方からが良いと思います。

ただし初級編の問題は、これといった難しい手筋は出てきません。その点では15級くらいからでも大丈夫かと思います。

一方、上級編はヨセの手筋もバンバン出てくるので、有段者にもオススメです。

3.オススメポイント

・ 手順と手筋が同時に学べる
ヨセは手筋も大事ですが、正しい順番で打てるかがかなり重要です。
しかし手筋を扱う問題集はあっても、手順にスポットを当てたものはあまりありませんでした。

本書では手筋を学びつつ、ヨセの手順も一緒に勉強できます。
特に上級編は、前述の通り、手筋のオンパレード(笑)。それを実戦でどう活用していくのかを学べるのが本書です。

同じ系統の問題集では「勝つヨセの絶妙な手順」というのがあるのですが、あちらは難易度が高め(私は読みかけでストップ。笑)。
その点、本書は級位者でも手を出せるのがポイントです。

・ 範囲が狭くて考えやすい
19路盤で「最後までヨセなさい」という問題を出されたら、それだけでやる気がなくなりそうですが(笑)、本書は9路盤での出題なので、考える範囲が狭く、気軽に取り組めます。

ヨセの勉強は様々な理由で軽視(敬遠)されやすいので、勉強しやすいというのも良いですね。

・ 問題数が多い
100問とボリューミーな収録数。
レベルが上がっていくので、初級レベルの方には、最初それほど多く解けるものがないかもしれませんが、逆に言えば後々まで使うことができます。

4.教材資料としてのオススメポイント

オススメポイントにもありましたが、手順を問う問題集はあまりないので、ヨセのトレーニングをさせるときは重宝します。

中級レベルからでも解けるものが多いので、級位者のうちからヨセに触れさせることができるのも良いです。

5.個人的な使い方

こちらの本は、こども教室の講義の出題に使わせていただいていました。
うちの教室では講義の締めに9路盤問題を出すのが恒例なので、ピッタリだったんですよね。

主な出題担当は私ではありませんでしたが、いつ解答確認で話を振られるかわからないので、一応、自分も事前に解いていました。
上級編は……解答を見て時々叫んでましたね……(笑)

それと私、著者の寺山先生と同じ新宿こども囲碁教室の出身の同期(私のほうが後から入ったので正確には兄弟子ですか)なんです。
寺山先生が入段したときは、師匠の藤澤一就先生のご厚意で祝賀会にも出席させていただきました(ちょうど全国大会で上京している日だったので)。

なのでこの本を手に取ったときは、やたら感動しました(笑)


自分もそうですが、普通のアマチュア(プロ志望・全国系プレイヤー等を除く)でヨセを一生懸命勉強される方は少ない印象です。
周囲に差をつけるため、この本でヨセの勉強にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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